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#はじめてのインターネット

私が初めて「パーソナルコンピュータ」なるものを使ったのは1980年代初期のこと。
自宅でNECのPC-8800を購入し、コンピュータ言語「BASIC」で趣味のデータをフロッピーディスクに保存し、それを加工するというプログラムを作った。
その結果をキーキーと音を立てるワイヤドットプリンタで印刷するところまでいったが、そのデータをグラフ化するところまでは辿り着かなかった。

その後、会社でPC-9800を与えられ、業務に使い始めた。
ワープロソフト「一太郎」と表計算ソフト「LOTUS 1-2-3」。
OSはMS-DOS。
一度に複数のソフトを動かすことはできず、もちろん、データの互換性もない。
それでも、字の下手な私にはワープロソフトは必需品になったし、表計算ソフトはそれまで電卓で縦横計算が合わなくて四苦八苦していた悩みを解決してくれた。

そして、そのコンピュータで通信ができるようになった!
離れた相手に「電子メール」というもので「手紙」を送れるではないか。
また、「パソコン通信」というもので見知らぬ者同士が意見交換できるようになった。
ただし、これはインターネットのようにユーザー同士が直接つながっている訳ではなく、コンピュータメーカーのサーバー(と言って良いのかな)を介してのやり取りだった。
それでも、自分の意見や考えを不特定多数の人たちに送ることができ、それに対する反応を得ることができるサービスは画期的なものだった。

そして、1990年が近づいた頃、システム開発の仕事をしていた友人が、私がBACISで作ったのと同じようなデータを毎日持ってきてくれるようになった。
否、「同じような」ではない。
私が作っていたものよりもはるかにデータ量が多く、複雑な加工もされていた。
それは文字情報だけだったが、そのデータは外国の個人が作っているものだと聞かされ驚かされたものだ。
その友人が、これは「インターネット」というもので、世界中のユーザーが情報をやり取りでき、パソコン通信とはまったく異なるものだ、と説明してくれた。
しかし、私にはまったくピンとこなかった。
パソコン一つで世界中の人たちとやり取りができるなんて。
それが、私の「はじめてのインターネット」との出会いである。
その頃にはノートパソコンが個人にも手が届く価格になっていたので、私も早速買い求めた。
そして、そのパソコンと一緒に何やら訳が分からないまま「MOZAIC」というソフトも買った。
それを何枚ものフロッピーディスクを抜き差ししながらインストールして、自宅で電話回線につなぐと、ピーヒョロヒョロ、ザーという音とともに画面の上の方からチッチッチッとだんだん奇麗な画像が表示される。
パソコンで、誰が撮ったか分からないこんなに奇麗な画像が見られるとは。
そして、様々な企業が作っている広告用の(今でいう)「サイト」。
まだ大勢の人が自由に「投稿」する仕組みはできていなかったが、いろんな情報を得ることができることに驚きと喜びを感じたものだ。

そして、MOZAICよりも早く表示されるNetscapeという「ソフト」ができ、パソコンのOSもWindows95からWindows98へ変わり、どんどん処理速度が速くなっていった。
もちろん、インターネットの表示速度も格段に速くなった。
回線も電話回線ながらもISDNとかいうよく分からないものになり、画面がパッと表示されるようになった。
いろんなことをインターネットを介して知ることができる。
そろそろネット通販的なことも始まりつつあった。
「これは大変な世の中になる」と実感したのはこの頃である。

その後の「大変な世の中」は周知の通り。
インターネットのおかげで「大変な世の中」になっている。
良くも悪くも。

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