見出し画像

双極性障害のこと 【入浴という大作業】

今でこそ毎日こうして元気に働いていますが、前職では通算5年間、休職しました。
休職期間中は2週間に1度、会社に行き、上司、産業医、健康管理室の担当者、人事担当者と個別または複数相手に面談をしました。
面談では「活動表」を提示します。
これは起床、食事、その他やったこと、就寝の時刻を毎日記録するものです。
ある日の面談で、夕方に入浴したという記録を見て、人事担当者が色をなして言いました。
「こんな時間に風呂に入るなんてとんでもない。」
「普通は働いている時間に風呂なんて!」

そのころは反発する気力もなかったので、黙っていましたが、後日、健康管理室の担当者にメールを送って、その人事担当者を私の面談には来させないでもらいたいと依頼しました。
精神疾患のことを何ひとつ分かっていない、分かろうともしない輩とは話したくないからです。

私が失望し、腹が立ったのは、次の二つのことが理解されていないからです。
一つは、私たちにとって、入浴がどれほど大変な作業であるかということ。
もう一つは、回復のためには、なんでもいいからできることを少しずつやってゆく必要があること。

布団から起き上がり、風呂場まで歩いて行き、服を脱ぐ。
髪と体を洗う。
お湯で流す。
浴槽のヘリをまたぐ、中に入る、座る、じっとしている。
立ち上がり、浴槽から出る、体を拭く、服を着る。
髪を乾かす。
寝床まで歩く。

とてつもない大仕事です。
よっぽどの気力がなければできません。
シャワーを浴びるだけでも、それがダメならせめて足だけでも洗おう。
でもできない。
入れば、とっても気持ち良くなることは分かっているのにできない。
この大作業。
朝だろうが、昼だろうが、夜中だろうが、週に1度でも、月に1度でもできたら、大きな進歩です。

行きつ戻りつしながら、こういうことを少しずつ重ねてゆくことが、回復につながる…

…かもしれない。

辛い日々でした。