話を撮る【厩火事 / 麹町】
髪結(かみゆい)のおさき。
酒ばかり飲んでちっとも仕事に行かない亭主に愛想が尽きたので別れたいと言う。
以前から亭主に呆れていた仲人は「さっさと別れちまいな」と賛成する。
すると、おさきは自分のことをどう思っているのか、亭主の料簡(本心)が知りたいのだという。
そこで仲人は二つの話を聞かせる。
一つは唐土(もろこし:中国)の孔子の話。
あるとき厩(うまや)から火が出て、孔子が大切にしていた白馬が焼け死んでしまった。
それを聞いた孔子は家来の身を案じ、馬のことには一切触れず、