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噺を撮る【時そば / 二八そば】

夜になると屋台を引いて歩くラーメン屋のチャルメラを最後に聞いたのはいつのことでしょう。
衛生上の問題もあるし、もういなくなってしまったのかな?

江戸の街にはまだラーメンはなかったでしょうが、そばを売り歩く商売があったようです。
「二八そば」「夜泣きそば」「夜鷹そば」などと呼ばれています。
「二八」はそば粉とつなぎの小麦粉を8対2の割合で打ったから、とか、値段が16文だったので「2、8、16」という語呂合わせとかと言われています。
「夜泣き」は夜に売り声を上げて売り歩くから、かな?
「夜鷹」は…、う~ん、この場でご紹介するのは、ちょっと。
興味があったら、ご自身で調べてください。

その二八そば。
車がついた屋台ではなく、前後振り分けにした「屋台」を担いで歩いていたそうです。
保温できるものなどないので、材料や器だけでなく、水も火を起こすものもすべてを担いでいたのですから、ずいぶん骨の折れる仕事だったと思います。

その屋台には風鈴が下がっていました。
親バカを揶揄する「親バカちゃんりん、蕎麦屋の風鈴」はここから来ています。

また、以前、「今、なんどきだい?」という言葉が流行ったことがあります。
それは、このそば屋を舞台にした「時そば」という噺に出てくる言葉なのです。

そばを食べながら、注文してすぐにできあがった、割り箸を使っていて清潔だ、つゆがうまい、麺に腰がある、本物の麩だ、器がいいと散々褒めておいて、勘定のときに、唐突に「今、なんどきだい?」と時(とき)を聞いて勘定をごまかした男。それを物陰で見ていた、ちょっと間の抜けた男が「よし、俺も!」と翌日、真似をする。

さて、うまく勘定をごまかせますか。