小さな自分
これは私の感覚なんだけれど、昔よりも心理学や統計学が身近になったような気がする。
わかりやすく噛み砕いたような文章があふれているようなイメージ。
心理学もいろんな派があるんだと知ったのは最近だ。
アドラーはアドラーでもいろいろ。
結局、心を扱うということは、これさえあればオッケーというような万能薬はないんだと思う。人の数だけ処方箋があってもおかしくはない気がする。
小さい頃、親から受けた影響は大きいと言われる。中には親がすべてだ、と言い切っている人もいる。でもだからといってなんでもかんでも親が要因かといえばそうでもない場合もある。
私の場合、親ではなく自分の体質が大きく影響していたようだ。小さい頃から酔いやすく、バスも電車も船もダメ。映画も要注意。ちょっと気持ち悪くなる程度ならいいけれど、私の場合、船なら30分で3回ぐらい戻してしまう。
家族で私だけ。私は他の人よりも弱い。なるべく他の人と同じに見せようとする意識みたいなものが作られていったようだ。
上野大照さんの講座で私はそのことを告げられ、驚いた。平気なフリをする。大丈夫なフリをする、その根っこがこんなところにあったなんて。自分では自分自身のことはなかなかわからないもんだ。
心理学の世界の深さを見せつけられた気がした。あれから2カ月ほど。
ずっと心から離れない言葉がある。
「あなたは悪くない」
さもすれば自分を甘やかすばかりになってしまいそうなこの言葉を私はずっと待っていたようだった。ずっと心に留めておく必要はないだろう。けれど、ときどき眺めたい。
お正月に絵を購入した。絵は昔から好きで、買うなら絶対にこれだ!と思ったときに、と決めていた。
この絵を見ると思い出すことがある。
小さい頃の自分。今だけを生きていた贅沢な時間を忘れたくなくて、そばに置きたくなった。
出崎嘉奈子さんの絵。春を運ぶ亀。
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