偏愛バトン 往路の1 / 本題なんかに程遠いイントロ
これはカンボジアに住むMai Yoshikawaと
ルワンダに住むmasako katoの往復書簡です
特定の誰かと深く言葉を交わすことにほんのりとした恐怖があって
それは「日本一の八方美人になる」と決めていた社会人初期時代の残り香によるものだと感じています
誰からもちゃんときれいによくおもわれたい
浅はかで深刻なテーマでした
深入りしなければ、表皮だけで付き合っていれば、
相手を傷つけることはないし不快なおもいをさせることもない
なんだこいつ?とおもわれないようにできるだけ関わる時間は短く
ボロが出ないように当たり障りのない会話だけしてサッと切り上げる
本当におもっていることを相手に伝えてしまうと
数単語で流血させてしまう
やってみないと分からないけど、そうなってしまうだろうという自分の遣う言葉に対する獰猛さに確信めいたものがありました
なんとなく互いの剣先でチョンチョンとやって
「いやぁ〜!いい剣持ってますねぇ!それじゃ!」
とすぐに(できるだけ爽やかに)去る試みを繰り返してきたので
予想外に相手が真剣に立ち向かってくると
((あぁ、、、ダメだよそんなに本気で来ちゃぁ)) と大得意の愛想笑いとコッテリとした余分な賛辞で相手の真剣さをへし折ることに必死でした
(特にはなし言葉のとき)
相手を傷つけたくないという理由を振りかざしていたのは
人に近づくと自分があっさり傷つくことがわかっていたからです
あまりにも貧弱な自分の存在を自認しないようしないよう、自己防衛の正当性を誰かに転嫁しないとその重みにも傷ついてしまうくらいふにゃふにゃな自己
星の王子さまに出てくるプライドの高いバラに出会ったとき、わーとおもったのを覚えています
すでに自衛できるトゲがついているのに更なる防護カバーまで求める
そして自分のものなのにそのトゲの扱いをうまくできない
小学校5,6年生ではじめてそれに出会って これ自分じゃん とおもってから数年に一度読み返すことにしましたが
何年たっても これ自分じゃん とおなじ感想のまま変わらずにいます
・・・というか、人との関わり合いを剣だとか戦いだとか自衛だとかに例えている時点でわたしの人付き合いへの価値観が丸見えで、これ恥ずかしいですね
でもそういう恥ずかしさを出してでもマイさんと話を重ねてみたい、とおもったのです
そのきっかけになったのが、こちらの音声配信です
わたしたちはまだ直接会ったことがないけれど、ここ一年くらいの付き合いで、マイさんの話を聞くたびに、言葉に触れるたびに、どんどん引き込まれていきました
似たようなところもありそうだけど、違うところもたくさんある
実はわたしは自分に似ていない人と付き合うことがすっごく苦手です
なので交友関係はこじんまりとしています
共感をベースに人間関係を築くことしかしてこなかったのはやっぱりこれも違う意見に触れて傷つくのが嫌だったからだとおもいます
「でも」とか
「いや、」とか
「えー、そんなの」とか
「それはちがう」とか
そういう言葉ではなしはじめることを極力避けてきたのは
相手にそういう言葉ではなしはじめてほしくないことの顕れでした
でも、今回はそういうことも越えていきたい
血みどろにしたりされたりするつもりはないですが笑、剣先チョンチョンばかりしてきた関わり方から変われそうな気がして。
本当はこの往復書簡の企画、自分だけでは触れられない仕事や生き方に対する核に対話を通して一緒に迫っていく、というテーマでやろうと話していましたが
わたしにとっては人とちゃんと向き合って話すというその前前前前段階の挑戦の意味を多分に含んでいます
三十年以上も生きているけれどこういう風に人と関わることがあまりにも少なかったので、多分最初の方は距離感や言葉の遣い方が暴れてうまくいかないかもしれません
いや、最初だけじゃないかも。
自分で自分に話しかけることがあまりにも安全で心地よかったので長らくその沼に生息していました
沼語が伝わりづらいこともあるとおもいますが、できるだけいろんな言葉ではなしたり聞いたりしてみたい
知らない言葉を意味もわからず耳に入れてみたい
その響きに何を感じるかあれこれ想像してみたい
噛み砕いた後にまた組み立てみたい
そんな気持ちでいます
もっと普段考えていることとか、最近出くわしたうゎぁとおもったこととか、心が動いたあんな出来事とかを綴る予定でいたのですが、いざPCを開いてみたら全然ちがうことが
「アタイのことを出してくれ!」
と叫びを止めなかったので
今日はそういう日なんだな、とおもいながら流れに任せています
あらかじめ、のない生活に少しずつ慣れてきたかなと感じていたけど
さらに引き剥がしてみたいな
全部つるつるに引き剥がした後に
実は世界全てが あらかじめ で動いているというのが見えてきたらおもしろいな
東京はもう桜が終わるそうです
これもあらかじめだったかも
最初の五往復、どんなはなしができるか楽しみです
以上、本題なんかに程遠いイントロをお送りします
(最初の写真は最近グッときた樹皮)
雨季のはずなのに全然雨降らないルワンダの首都キガリより
masako kato
▼往復書簡相手 Mai Yoshikawaさんのnote▼