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無人化社会と今の福祉

仕事の仕方が変わってきている。
少し前までは仕事は属人化しており、その人に聞かないとわからなかったり、できなかったことが多かった。
そういう人が出世して上司になり、時に部下を叱咤激励や飲みにつれていき、仕事の育成から派生して全人的なかかわりにまで言及する。
部下はそれをよしとしていた。
 
今は、仕事はなるべく仕組化される方向。
マニュアルが整備されていることがマストで、その人に聞かないとわからないことやできないことは、非効率的とされる。

 定時で帰ったり有休や育休を取りやすい雰囲気を作ることも大事で、それが会社のイメージアップにつながる。
上司は、働きやすい環境づくりのため、みんなが仕事をできるようマニュアルを作ったり、ハラスメントはやめようキャンペーンや部下の悩みを聞くケアも担う。

 働きやすさ、というのはとても必要な要素だ。ライフワークバランスを意識することは、家族を維持し、経済を回していくうえでも必要である。
 
福祉の世界でもそれは同じだが、その一方で仕事の効率化やマニュアル化を意識するあまり、自分の業務範囲をここからここまでです、と固い殻で覆ってしまうこともある。
  
福祉のサービスや社会資源をマネジメントする者は、その人の生活に立って必要なものは何か、足りないものは何か、そういうことを考える必要がある。

そこで支援者はその人の痛みを知り、共感して何かしなければいられない熱を帯びるが、その熱だけではどうにもならない時に専門性が必要になる。

決してその専門性は問題を対象化して分析して議論し突き放す自己責任論を助長させるものではない(はず)。

しかし、この熱を帯びる支援者が少ない気がする。

「余計なことはしない」「そこまでしない」「こちらではどうしようもない」≒「あなたの問題です」になっていないか。

それは、業務をマニュアル平均化した結果からくるあきらめなのかもしれないが、怖いのはそれが支援者の働きやすさとイコールになっていないか、ということ。

その先にある自己責任の論調は、人を追い詰める圧を持っている。
 
職場を機能の集まりとしてとらえるなら、「効率化」「マニュアル化」「ルール徹底」「業務範囲」を規定することは必要。

しかし、それらは明らかにAI君のほうが優秀。

いましている仕事は、近い将来AIに取って代わられるものではなかろうか。

人は人が要らない社会を作っているのだとしたら、今の働き方の風潮はAIを導入するための下地づくり。
今はそれを人間でテストしているということになる。テスト期間が終わったときに、人間は何を仕事にするのだろうか。
いずれAIに明け渡す仕事に忙殺されている場合ではないし、そこにアイデンティティを置いている似非専門家にはなりたくない。

人の幸せを考える福祉の仕事には、その問いに応える力があると信じたい。

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