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[質問箱]本を読んでもすぐ内容を忘れてしまいます。どうしたらいいですか。

忘れちゃいますよね。わたしも、忘れまくりです。いま読んでいる本のタイトルも忘れたりします。以前読んだ本をもう一冊買ってしまうこともあります。家に帰って、本棚をチラ見してダブりを見つけた時の、あの落ち込みようったらありません。

わたしは、「記憶力がなくて、すぐ忘れるんだったら、むしろ何回も忘れて、忘れる回数を増やしまくって、結果的に覚えてやろう」と開き直っています。「記憶を定着させる」とは「忘れる回数を増やす」ことであると決めました。だから、たくさん本を読むことにしました。一冊の本を何度も読み返すことにも味わいがありますが、わたしは、むしろ多くの本を読むことに力点を置いています。あびるように本を読みまくれば、そのうち勝手に頭のなかで知識が定着したり化学反応を起こしたりするだろう、と。わたしが速読をするにまで至った動機も、コレです。だから、わたしが同じ本を複数回読むことは滅多にありません。

ただ、そんな忘れん坊のわたしでも、記憶しやすい本があるな、とは感じています。それは、「読みたい本」です。「興味がある本」です。「惹きつけられる本」です。動機があって読む本、それは他人からすすめられた本ではなく(それもいいですけれど)、主体的に、自主的に選び取って、何なら身銭を切って手にした本こそ、内容が頭に残りやすい。図書館などで借りた本でも、関心がある書籍ならそれなりに記憶に残りますが、関心があり、かつ自身で購入した本は、海馬(脳の部位)が活性化するのか、記憶に定着しやすいのです。

まあでも、そもそも本の中身は記憶するためにあるものではないですし、知識として言語化できるようにすることだけが本のすべてではないので、あまり気にしなくていいと思います。忘れたっていいじゃないですか。誰かに知的な自分をひけらかしたいなら話は別ですが、同じ本について他人と語り合いたいくらいの動機なら、忘れたっていいと思います。共感し合いたいなら、本に書き込みをして、マーキングして、それを持参して「あの感動」を語り合えばいい。覚えておく必要なんて、ありません。

小説なんかは、曲みたいなものです。感動に、いちばん価値がある。固有名詞を覚えられるかどうかなんて、感動に比べればカスです。たとえば、オーケストラの演奏を聴いて、感動をする。その曲を口頭で再現できることに価値があるとは、あまり思いませんよね。五線譜上に再現できる必要性なんて、音楽鑑賞においてはまっっったくない(プロは別?)。ただただ、曲の流れに身を任せ、感動する、それを味わう、でいいじゃないですか。小説だって、言葉の流れに身を任せ、涙するだけで満足です。

「本の内容をすぐに忘れる、俺って一体……」と悩んでも、記憶力は高まりません。記憶法のメソッドがあるのかどうかわたしは知りませんが、記憶できないでくよくよすること自体は、「読書しても忘れる」を促進させてしまうでしょう。忘れても、気にせずにいきましょう。わたしは、「よくそんなにいろいろ覚えていられるね」とたまに言われます。でも、もしわたしの読んだ文章すべてがどこかにストックされていて、他人がそれを覗けるとしたら、その人はむしろ「そんなに本を読んでいて、よくそれだけ忘れられたね」と言うでしょう。

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