見出し画像

オンラインサロンはどう始めればいいの? にコミュニティ作りのキーパーソンが応える――サロンの作り方

この記事の元となる音源「Morning House」は、音声SNSアプリClubhouseで毎朝6:50から配信しています。一週間で一人の人生が「劇的」に変わる、新感覚のライフチェンジング番組です。
https://www.clubhouse.com/club/morning-house

各界のプロにも参画していただきながら、一人の人の生き方を変える番組「Morning House」。今週のライフチェンジャー・旅するおむすび屋の香菜(かな)さんの挑戦は4日目に入った。きょうは彼女の積年の悩み、「コミュニティづくり」について語らう。具体的には、「オンラインサロンって、どうやってつくるの?」という課題に挑む。これに応じるのは、多くのコミュニティづくりに携わってきたコミュニティ界のキーパーソン・西村創一朗さんだ。また、コンセプトを一言に凝縮するため、コピーライターでもある赤坂圭子さんに妙案をつむいでもらった(香菜さんの詳細を知ったほうが本記事が活きると思うので、余力のある方はコチラをご参照ください)。

まずは目的を定める

読者の中には、オンラインサロンを始めたいという人もいるかもしれない。しかし何から手をつけていいかがわからないというケースがけっこう多いのではないか。この記事は一事例にはなるが、汎用性のある話も多く出てくるため、ぜひ参考にしてほしい。

さて、旅するおむすび屋・香菜さんは、コミュニティづくりにあたってどんなことをしたいと考えているのだろうか。

「確定していることはないのですが、"おむすび旅"で私が全国を回った際に、各地で出合う食材を毎月お送り(ECサイトなどで配送)することだったり、食材にまつわるストーリーをみなさんに届けたり食材を一緒に食べて楽しんで、思いを共有する場をつくることをしていきたいと思っています。ただ、サロンでやろうと思った時にどういう風にコミュニティをつくっていけばいいのか、またどれくらいの価格でサロンを運用したらいいのかがわからないんです。たとえば無料でやるオンラインサロンってどう考えたらいいのか……」

そう語る彼女は過去4年間で地道に"おむすびファン""全国各地の生産者のファン"そして"香菜さん自身のファン"を増やしてきた。

無料/有料の違いを知ろう

この前提を踏まえた上で、西村さんはこう指摘する。

「まず、オンラインサロンを無料でやるか有料でやるかの話ですが、無料なのであれば『何となく面白そう』だけでコンテンツとしては十分です。でも、有料なのであれば、対価というか、『私は何にお金を払うんだろう』というサロンメンバーの思いにメニューで応じる必要があります。いま香菜さんがおっしゃっていた『届ける』ということもそうですし、コラムを書いたりということも考えられる。メンバーがどうしたら喜んでくれるかを考えて、コンテンツ設計をしなければならない点が有料サロンの必須要素です」

無料なのであれば、それこそ気まぐれにコンテンツを提供したっていい。有料なのであれば、メンバーのニーズにしっかり応えなければならない。そうしなければ解約されてしまうことも多々ある。

2パターンあるオンラインサロン

「オンラインサロンには大きく2パターンあるんです」と西村さんは続ける。一つはファンコミュニティ。何かを得たいというより、純粋に応援したいという気持ちから活動を見守る、それだけでいいという人たちが集まるサロンだ。もう一つは、何かの目的を達成したい、何かを得たいという人のための『コンテンツでギブ&テイクが成立している』コミュニティである。

西村さんは「どちらで行くのかを定めて、選択して、進めていくのがいいと思う」と述べる。特に、長期的な視点で見た際に、香菜さん的にどちらで進めるのがいいかを決めておくことが大切になってくる。

LINE_ALBUM_かなさん お写真_210919_8

コミュニティのありようにも2つの型が

ここで、西村さんに質問が。「西村さんがたずさわっているコミュニティのコンセプトは何ですか?」。これに西村さんが答える。

「たとえば『朝渋』(※リンクは下方)というコミュニティにたずさわっていますが、コンセプトはシンプルで『朝早く起きてハッピーな人を増やす』です。僕自身が実は超・夜型で、『できるビジネスパーソンは早起き』と知ってはいるけど、ついつい二度寝をしちゃうキャラだったんですね(笑)。憧れているのに、早く起きられない。だったら『みんなで起きる』ことにしようと。一緒に起きる仲間ができるとピアプレッシャーがかかって起きられるようになります。『朝渋』は課題が明確です。そういう課題解決型のコミュニティと、『ワクワク』『楽しい』を届けるエンタメ型コミュニティがあることも知っておいた方がいいかもしれません」

香菜さんのコミュニティには、課題解決要素もある。だが、「エンタメの方が方向性として近い」と西村さんは言う。

「1メニューで均一価格」に縛られる必要はない

ここで、西村さんによる具体策の練り上げが始まった。

「オンラインサロンというと、1メニューで1,000円だったり5,000円だったり1万円だったりしますが、1メニューで均一価格にしてしまうより、3メニューくらい用意するのがいいのかなって思います。サロンで提供したらいいなって思うコンテンツを僕なりに整理して提案させてもらうと

①全国各地をめぐる中で出あった『人』・素敵な『食材』のストーリーを届ける『香菜さんからのお手紙』のようなワン・ウェイのもの
②(月に一回くらい?)土地土地にいる面白い方とのトークセッションや、みなで集まっておにぎりを一緒に食べるような――時節柄、難しい面もあるが――インタラクティブな場
③各地の最高の食材をお届けするサービス

になります。この3つを全部やろうとすると、金額をかなり高くしないと割に合わなくなってしまうと思うんです。香菜さんご自身もワンオペで苦しくなる。悩ましいと思いますけど、たとえばこういうメニューなら、ニュースレター的なものが受け取れる1,000円プラン、イベントに参加できる3,000円のプラン、食材も送られてくる5,000円プランといった感じに3メニュー用意したらいいと思います」(「価格は適当につけましたけど」と西村さんは言葉を添えています)

確かに、その方が「ほんとうは受け取りたいのに価格が高くて受け取れない」という人をも巻き込めるし、間口を広げ過ぎて香菜さんがいっぱいいっぱいになる可能性もなくすことができそうだ。

コミュニティ作りの初動はどうしたら?

では、何から始めたらいいのだろう。西村さんの回答は明快である。

最初から大きいことをしようとするのではなく、小さくてもいいから、できることから始めるのがいいと思います。『朝渋』もオンラインサロン化する前に、隔週くらいだったかな、朝活勉強会としてPeatix(ピーティックス)の有料イベントでやっていたんです。まずはやってみて、感触を確かめて、仮説を検証してみる。そこで人が集まるかどうか、集まった人がどう感じているのかを確認して、ニーズをつかみました」

その上で、彼はこうも付言する。

「ただ、ガンガン運用していくことになった時に、香菜さんがタレントみたいに動くとしたら、それをサポートする人が必要になります。一人多役で香菜さんがやってしまうと、本来したいはずだった『人や食材と向き合うこと』ができなくなってしまうかもしれません。香菜さんのことを二人三脚で支えてくれるコミュニティマネージャー的な存在が重要になってきます」

素敵なことに、香菜さんには紋華さんやゆいさんといった強力な味方がいる。力を合わせての活躍が楽しみだ。

LINE_ALBUM_かなさん お写真_210919_9

コンセプトを凝縮した一言にしよう

加えて大切なのが、コンセプトである。ここで赤坂さんが質問を投げかけた。「昨日、香菜さんがインスタライブをされていたのを拝見しました。どんな反響がありましたか?」

コンセプトで大事になるのは、すでについてくれているファンの心だ。インスタライブからうかがえたのは、香菜さんがおむすびをむすんでいる姿や、香菜さんのおむすびの味に感動している方々の心、そして、香菜さんのおむすびを知って『日々のおむすびがおいしくなりました』といった喜びの声や、食材自体を楽しみにしている気持ちだった。香菜さんは語る。

「自分が何かを『与えてあげる』みたいな感覚は私にはなくて、私が見ている世界だったり感じていることをみなさんにシェアさせていただいているんですね。それで、みなさんの食卓が豊かになる、または旅をするきっかけが生まれたらいいなって思っています。応援していただきながら前に進めているという感覚しか私にはないので、それこそ『旅するおむすびや屋』とつながってくれる、縁をむすべるという人がでてきて、増えてくれたら嬉しいです」

彼女が見ている世界とは、どんな世界だろうか。シェアしたい思いとは?

「食卓を通して日々が満たされていく、世界が広がっていく感覚を一緒に共有したいんです。毎日の食事が少し豊かになるだけで、人生も豊かになります。いろんな地域のいろんな人や食材、日常にひもづくことがらを通じて、世界観も広がります。これを分かち合えればいいなって思っています」

そんな彼女の話を確認した上で、赤坂さんは言葉をついだ。

「私も月曜から香菜さんのお話をうかがっていて、香菜さんはまさにさまざまなことやものを『むすぶ』役割を担っていると思ったんですね。人と人、人と食、人と地域を、です。私、ちょっと浮かんだ言葉があって、それをお伝えしますね」

これは、ドキドキの展開……。赤坂さんは以下のコピーを提案してくれた。

手と手をむすぶ、おむすび時間

「めっちゃ素敵!」と喜ぶ香菜さん。それもそのはず、彼女は「旅をする中で、手を合わせる機会がすごく増えたんです。『いただきます』『ごちそうさま』の時もそうですし、おむすびをむすぶ時もそうです。また、訪れた先の土地や人にも手を合わせます。手を結びます。その時間が人生を豊かになる時間だったんですね。そんな感覚をこめられるのが、いま示してくださったコピーだなって思うと鳥肌が立ちました」と感じたからだ。

まさにギアがかみ合うように、コミュニティのありようとコンセプト、言葉が合致した。

さて、いよいよ香菜さんはコミュニティづくりに踏み出すが、続報は――こうご期待。

[今日のプロフェッショナル]
西村創一朗さん
赤坂圭子さん

▼香菜さんのGOOD EAT CLUB▼

▼朝渋▼

▼新生Morning Houseとは▼


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?