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書評

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正木が書く書評です。
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記事一覧

欲望や刺激の虜にされ、虚しさの落とし穴に堕ちないための道標|トリスタン・ガルシア…

人間の欲望を喚起し、無限なる快の追求に熱をあげさせることが資本主義的な正義だとされている…

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正木伸城
8か月前
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[書評]抗わず・焦らず・老害とも言わせず。寄る年波を輝かせたいひと必読の『人生後…

老害という言葉を聞くようになって久しい。個人的にはこの語が好きではないが、私にもそう言わ…

正木伸城
1年前
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[書評]「いつか幸せに」よりも「今を幸せに」から始める田中克成『自分をよろこばせ…

私たちは幸せを乞い、願う。「いつか幸せになれれば」と期待を未来に投影する。幸せはいつも「…

正木伸城
1年前
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[書評]お世辞抜き、転職指南書の決定版! 佐野創太『ゼロストレス転職』は佳き生き…

人材ビジネス大手・パーソルキャリア株式会社出身の私が断言する。この本は転職指南書の決定版…

正木伸城
1年前
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[書評]川上徹也『すごいタイトル㊙法則』|売れるタイトルの案出やコピーライトの勘…

ジョン・ケープルズの名著『ザ・コピーライティング』は日本での2008年の発刊以来、珠玉の書と…

正木伸城
2年前
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[書評]『絵でわかる10才からのAI入門』森川幸人|人工知能の解説を、わかりやすく。…

作家・井上やすしが語り残した言葉にこんな名句がある。 難しいことを難しく語ることはやさし…

正木伸城
2年前
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[書評]岡崎かつひろ『お金に困らない人が学んでいること』は学び本来の価値を教えてくれる書だった!

今すぐに学びを再開したい! この瞬間から学び始めたい! 岡崎かつひろ氏の著作『お金に困らない人が学んでいること』はそう思わせてくれる好著でした。題名に「お金に困らない人~」とありますが、本書は「お金持ちになりたいなら、学びなさい」とただそれだけを教えるものではありません。学びの意義や楽しさ「も」示してくれます。もちろん「社会的成功にとって学びは大事」という考えのもとに実践的な具体論も述べられますが、そこに収まらないのがこの本の骨頂です。 「人生偏差値」を上げることで人は豊か

[書評]佐野創太『「会社辞めたい」ループから抜け出そう」』|本音に生きるための導…

みなさんこんにちは。本日は佐野創太さんの『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後…

正木伸城
2年前
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[書評]インスタントな知識が求められる時代に立ち止まって考えることを勧める勇気

氏家法雄さんの『暮らしを哲学する』(明日香出版社)を読んだ。わかりやすく素敵で、得心のい…

正木伸城
2年前
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[書評]僕らの生活は国際的地位の低い国々の犠牲の上に成り立っている。ほんとうに。

まさに表題のとおりである。日本はいまだ国家的には経済大国だが、わが国の繁栄は多くの国の犠…

正木伸城
2年前
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[書評]川上徹也『江戸式マーケ』|マーケティングの「普遍」と「流行り廃り」そして…

商売といっても手法は日進月歩で変化している。マーケティングもしかりだ。だが、「それらしい…

正木伸城
2年前
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[書評]何となく広まっている「好きなことを仕事に」に一喝、目の覚める補助線を引く…

「趣味を仕事に」「好きなことを仕事に」といった言葉が、近年よく聞かれるようになった。確か…

正木伸城
2年前
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[書評]神は必要か。天国は要るのか。我々という観念は時に危険ですらある。

ダニエル・エヴェレットの著作『ピダハン』は、キリスト教宣教師/言語学者の彼が、アマゾンの…

正木伸城
2年前
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[書評]組織はなぜ活力を失っていくのか。宗教から読み解く。

高橋和巳の書をひさびさにひもときました。何の本を読んだかというと、彼の代表作『邪宗門』です。本書は、「ひのもと求霊会」という「大本教」をモデルにした宗教団体が、戦前・戦後にかけて衰退・破滅していくさまを描いています。共同体が解体していくとき、その構成員(信者)はどのように振る舞うのか。それを、これほどつまびらかにつづった作品を、私は他に知りません。 高橋和巳『邪宗門』のあらすじ物語は二代目棟梁たる行徳仁二郎の時代から始まります。教団は「治安維持法」により、軍部権力から二度の