男性だってピラティスを楽しむ!2年で180回やってみて変わったこと、気づいたこと。ピラティス愛をまとめてみた。
今回はピラティスの話です。これまでずっとデザインや街の話をしてきたのに、いきなり何の話!?という感じですが。(次回街の話へと続きます)
実はこの2年ほどピラティスに通っています。トライしてみたら、身体も心も暮らしそのものも、より快適になってきたように感じていて。やりながらの気づきや、楽しいこと、ちょっと苦労したことなどを、少し書き留めてみたいなと思いました。
体重だけを見ると、下のグラフのように減っていきました。
回数を改めて数えてみたら2年で180回も!?
何故こんなにはまったのか?を少しずつ。
運動が日常化しなかった人生に
元々、僕は身体を動かすことは好きなのだけど、完全に文系の部類。スポーツは中の中。中学は運動部をやめて、高校は完全音楽のみ、大学からは建築どっぷり。大人になってからは、健康のためにと、ジムの幽霊会員には何度も。にわかジョギング、スイミング、ヨガ……しっかりと通過しています。
で、30代から40代へと仕事も毎年充実し続けていく中で、いつしか何も運動をしない時期がず〜っと続いていました。
そして40台半ばも超えたある日、ある人がジムへ行くと聞いて、便乗して自分も何かトライしてみようと思ってみたら、珍しくやる気が湧き起きました。でも、ジムも、ジョギングもあり得ない。あの疲れに耐えるのか……となる。ヨガもお手本のようには身体は動かないということで却下。
その時、頭をよぎったのが「ピラティス」でした。
最近見かけるけど、あれって一体何なんだろうか?
あまねく人々にひらかれたピラティス
変なハコみたいな機械に乗って、ひもを引っ張ってる。あれで何になる? しかも、イメージに出てくるのはたいてい女性で。しかも、何かちょっとオシャレな鼻につく感じの。あの世界観は何なんだろうか?
こうなると興味は一気に増幅し、調べてみると、これがまた面白かった。
まず、ピラティスの起源は、ぜんぜん思ったのと違っていました。その昔、ジョセフ・ピラティス(1883-1967)っておじさんが、あの変な台みたいなものを含めた動き(プログラム)そのものを発明したもので! しかも戦争で負傷した兵士のリハビリなども目的だったというじゃないですか! だから、本来はさまざまな身体的状況に対して、誰にもひらかれたものだった言うのです。
ピラティスおじさんは「10回で気分がよくなり、20回で見た目が変わる。そして30回ですべてが変わる。」なんて言っていたそうで、ほんとかな?と思いつつ、どこでできるのだろう?と調べていくと、ピラティススタジオってのが、ポツポツとある。でもなんと、男子禁制のところが多かったのでした。(禁制でなかったのとしても、男子来るなオーラを放っているところがまた多い)
なるほど。日本特有の本質は外側において、ビジネスとして完全消費するアレですね。案の定、海外事例を調べてみると、やはりそこには男性もみんなニュートラルに楽しんでいる世界が広がっていて。
そして、ようやく見つけたあるピラティススタジオ。特に男子禁制は書かれていなかったので行ってみて、一度体験。
身体意識して動かすことは好きだったから、興味はさらに膨らむ、料金もそれほど高くなかったので、即入会したのでした。
99%女性の世界
まず、行ってみたら、男性はいませんでした。週1、2回行っていても見かけるのは月にひとり決まった方を見かけるくらい。この2年でピラティススタジオは日本中にだいぶ増えたようですが、最近でもほとんど見かけることはありません。
当初は、インストラクターの方々からも、女性のお客さんたちからも、「男性が!?」的な空気を少し感じることもありました。
でも、普段から自分は性別などをかあまり意識することなく、ニュートラルに女性的な世界(デパートの化粧品コーナーもコスメ屋も下着屋も、女子的雑貨屋も)を楽しめるメンタルなので、ひるむことなく回を重ねていけました。
一般的な男性には飛び込むのがつらいところがありそうですが、でも大丈夫です。入ってしまえばなんてことはない!
「ニュートラル」と「インプリント」
あの謎のハコ? ベッドみたいな装置は、リフォーマーと呼ばれるものでした。基本は台の上に寝転がったり、座ったり、立ったり、横になったりする。座ってみると、座った座面にひもが付いていて、それが奥、装置の端の滑車にひっかかり、また自分の方にもどってきてる。それを手や足に引っかけて、引っ張ったりします。メインの負荷は自分の自重、そこにバネをつかった負荷を足して調整できる感じ。
そいつを使って、いろんな動きをするわけですが、まず基本として教えられるのが、「ニュートラル」と「インプリント」。簡単に説明してしまうと、根っころがって、背中に手の平が薄く入るくらいの骨盤の角度が「ニュートラル」。寝っ転がって、背中を面に押しつける状態が「インプリント」。
これやってみたら、すぐできるんですけどね。でも、「ニュートラル」を維持したまま、身体の各部位を同時に個別に動かしていくと、どこかで「ニュートラル」が、いつのまにかできなくなっていたり。
初心者はこれがちょっとした楽しい難関なのだと思います。
すぐにわかる、姿勢が変わった感じ
いろいろな動きが型になっていて、それを何種類かやっていくわけですが、最初は、ほとんどうまくいきません。インストラクターの方に毎回修正箇所を教えていただきながら、でも回を重ねていくと、慣れてきます。上手く身体を動かせる打率が上がっていく感じ。
で、5回、10回通うあたりで、すぐ気づくわけです。
あ、何か変わったかも。
外に出て歩きはじめると、なんか背筋が伸びている感じがして、視界が良好になっていて。身体の芯、軸に何か新しいものが芽吹いている感覚。
僕は、仕事のスタイルが完全不定期、ノマドのような状態なので、予約制のところは難しい。だから予約なしで通えるところを探しました。
午後、さくっと空いた隙間時間に30分ほどやる。程よく汗をかき、最高にスッキリする。身体が変わっていく感覚が気持ちよくて、それを気づけば週1から2回ペースへと増えていきました。
「腹圧」ができるようになった嬉しい瞬間
当初から「お腹をへっこました状態で、力を入れる」「腹圧をかける」みたいなことを、よく求められました。これはインプリントの状態につながるものなのですが、維持するのが中々難しい。
お腹をへっこました状態で、力を入れて、それを維持しながら、身体全体を動かす。文字にするだけで、疲れますが、半年くらいたったある日、電車に乗りながら、こうかな?と試していると、ある瞬間できるように。
あっ!これだ!
いつでも腹圧をかけて維持できるようにがなってからは、どの動きにもより楽しくトライできるように。あの感覚をつかめたのは、大きな分岐点となりました。
落ちていく体重、謎の筋肉現る
そうやって、意識して同時に身体の複数の部位を別の動かせることができるようになっていくと、1回あたりの身体全体の負荷が確実に変わっていきます。
体重は少しずつ減っていって、筋肉量の割合が上がっていく。結果、約2年間で、体重は67キロから59キロへ。少しずつ少しずつ身体が変わっていきました。本当に薄皮1枚ずつ剥がれていくような感じで。
あるときお腹を触ってみたら、腹筋の脇の部分に手をやってみると、それまでにはなかった謎の筋肉が! 腹斜筋ってやつ? 確かにお腹に力を入れるとそれがぐっと出てくる感じで。外側の筋肉の変化はほとんど感じなかっただけに、これにはビックリしました。確実に内側から変わってきている。
腹斜筋そのものを意識できるようになりはじめたころには、たとえば信号待ちでただ立っているだけでも、足から頭の先までまで一本軸が通ってるような感じなっていて、それだけで心地良い感じにもなっていて。
なるほど、体幹(インナーマッスル)って、こういうものかと。少し長めの階段を上るのも、めちゃくちゃ気持ち良いあがることができるように。
肩こりなくなり、サウナ後の爽快感
けど一番ビックリしたのは、肩こりがなくなったことでしょうか。
それまでは、PC仕事と運動不足で、慢性的な肩こり。月に何度かはマッサージに行ったり、ひどい時は整体に通っていたことも。
でも、なくなっちゃった。肩こりが。
それ以上に、ピラティスを終えて、外に出たときのあの爽快感。サウナの「整う」にも通じる感覚がまた不思議なんですよね。少し肩こったな〜みたいな状態で、ピラティスへ行くと、帰りにはほぼなくなっています。
ピラティスは、筋トレとストレッチとヨガ的なるものと、すべてが合わさったところにあるなぁ、とも思うのですが、この肩こりが消える感じは、毎回毎回不思議でなりません。
疲労感なし、その後の時間もイキイキと
疲労感が全くないことも、最高です。
いや、結構気合い入れてやってるんですよ。その時は一つ終わる度に、ふぉぉ。。ってなっています。それでも、何故か毎回ほどよい爽快感、筋トレでも水泳、ジョギングでも、だいたいの場合、疲れるじゃないですか。あぁいう感じの疲れはない。(もちろん、事後的にほどよい筋肉痛があったりはしますあります。)むしろ終わった後は元気になるので、仕事もはかどるし、遊びに行くのも、食事に行くのもより楽しめる。だから、生活の合間に自由に入れることができる。
このあたりまでくると、ピラティスという時間を自分の日常に組み込んだことによる喜びが、いろんな物事へ広がっていく感じもあって。いつの間にか自分の生活には欠かせないものに。
だからこそ、忙しい時、長期出張時に行けないと、身体がむずむずしはじめてしまいます。
自分の身体を意識する、瞑想状態
ピラティススタジオといっても、そのプラグラムはいろいろです。僕が通っているのは、セミプライベート的なスタジオ。いろんなプログラムをサーキット形式で自分でトライしながら、たまにインストラクターがアドバイスをくれる感じ。
だから、多くの時間を自分ひとりで、自分の身体一つひとつの部位に意識を向けてやることができる。それって少し瞑想にも近い状態で。それも良かったなと。
一人の先生がいて、全員で同じ動きをするようなスタジオとか、マンツーマンのパーソナルスタジオでは、そのような感覚にはなれなかったでしょう。
常に指導されている状況は、すぐに身体を修正できるので良いように思えるけども、実は、耳が、意識が、インストラクターの声に向いてしまいます。できるだけ自分一人で、自分の身体に集中してやれるように、という方向がベストかと思うと、今のスタイルのスタジオに出会えて良かったと思いました。
そう、自分ひとり、自分の身体に向き合う時間を持てる幸せ。これはある種の瞑想的な感覚にも通じるのかもしれません。そこにもまた魅了されていくのでした。
身体が変わると楽しみが増える
そんなこんなで、ゆっくりと、1日約10グラムのペースで、シェイプしていく過程が最高に心地が良かった。
これまで特に「老い」みたいなものは感じたことは、なかったのですが、20代のころから考えても今が一番元気だと、良い勘違いを起こしている状況です笑。
身体を意識する時間がわずかでも増えるので、自然と外食が減り、自炊が増えました。別にファーストフードもポテチも、大盛りも変わらず食べます。それでも食べ物のことちょっと意識が数ミリ変わるだけで、楽しくなりますよね。
2年間やってみて、見た目は、ふたまわりくらいスリムになって、身体のラインも自然で綺麗に。すると今度は、これまで以上にいろんなファッションが楽しくなってきた。
ピラティスをはじめたくらいから、何となく仕事でどこかへ行くと、その土地の古着屋を巡るようになっていて、その都度たくさん試着しては、また新しい世界を楽しめるようになっていて。そんな嬉しい豊かさの広がりもあったり。
身体が変わると生活のいろいろをより楽しむ方向へドライブできる。この感覚、なかなかの発見です。
マットよりマシンピラティスがおすすめ
この数年で、ピラティススタジオはめちゃくちゃ増えています。YouTubeでもいろんな動画があがるようになっていて。
それでね。カジュアルにできるものに、ヨガのようにマットを敷いて行うマットピラティスがあります。僕もマシンピラティスに触れられないときは、たまにやることはあるのですが、両方やってみると、基本マシンとは全く別世界だなと。
別世界というのは、マシンピラティスは負傷した人のためにピラティスさんが発明しただけあって、身体の固い僕のような人でも、筋力が弱いような人でも、やりやすいようにできています。要はマシンは、負荷を加える装置である一方で、僕らの身体を補助、サポートするような役割も持ってる。だから、本来はお子さんから高齢の方までができるものというわけです。
マシンが身体を補助してくれる分、マシンピラティスは、丁寧に身体一つひとつに意識をフォーカスすることができます。それはそのまま効果につながると思うので、僕はマシンピラティスがお勧めです。(運動をしてこなかった、どんな年齢の人にもお勧め。)
継続させるコツは、街にあった
さて。いろんな偶然の重なりから、マシンピラティスに出会い、今なお楽しんでいるわけですが、ジム幽霊会員を繰り返してきた僕が、ここまで継続できていたのには、もうひとつ理由がありました。
それは「街」の話でもあります。
そして「関係人口」の話にもつながります。
次回は、「1階づくりはまちづくり」の話もつなげて、書いていこうと思います。
あとそう、ピラティス好きな方いらしたら、友達になってください。周りにはひとりもいなくて。
それでは、また。今日はこの辺で。
大西正紀(おおにしまさき)
ハード・ソフト・コミュニケーションを一体でデザインする「1階づくり」を軸に、さまざまな「建築」「施設」「まち」をスーパーアクティブに再生する株式会社グランドレベルのディレクター兼アーキテクト兼編集者。日々、グランドレベル、ベンチ、幸福について研究を行う。喫茶ランドリー&オラ・ネウボーノ オーナー。
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