影と実体は互いに引き合う

 4月からはじめた仕事は調理の仕事なのですが、思っていた以上に責任が重い仕事で、最初は友達に「この仕事、ぜんぜんやれる気がしない」泣き言を言っていましたが、どうにか少しずつ慣れて、だんだん楽しくなってきました。
 料理は自然に体が動くし、台所は自分のフィールドという感覚がどこか沁みついているなと思います。
 なんなく気が合うと感じていた職場の方が自宅で瞑想会を開いているそうで、思いがけないところで同じ人種(笑)に会えたこともうれしいです。
 この仕事が決まる前に、何度も同じ場所と同じシチュエーションが夢に出て来ていました。たくさんの人が共同生活をしているような場所で、自分が仲間と働いている夢です。
 この職場に面接に来たときに、あの夢はここのことだったのかと思いました。

 新しい仕事、家族のこと、プライベートのこと、次々と波がやってきますが、今はとにかく手放しで飛び込んでいくしかないという感じです。思考している暇がないのはいいことなのかも。 
 でもその中でも、自分自身の小さな声にちゃんと耳を傾けていたいなと思います。
 小さな声は、自分が認めてあげていない自分の声。きっと周りからも認めてもらえないと諦めている声。でもこの小さな声だって立派に自分を主張している。
 あなたの声をちゃんと聞くよ。すみっこに引っ込んでいないで、私にあなたの声を聞かせて。あなたの表現を見せて。どんな小さな声でも、私はあなたの言葉を大切にするよ。

 きのうは車のカーナビを修理してもらう間、カーショップのカフェコーナーでコーヒーを飲みながら待ちました。
 店内には大きな音でJポップがかかっていて正直ちょっとうんざりしていたのですが、そんな流行歌の中にも、時々すっと心に入ってくる歌がありました。メロディーや歌詞というより、歌い手さんの波動なんだろうなと思います。
 ちゃんと悲しみを知っている人の声。そういう人の声はすっと心に入ってくるような気がしました。
 たとえ派手なビートに乗っていたとしても、軽快でキャッチ―なメロディの曲でも、人生の中でしっかりと悲しみを経験して、それを人知れず内側に宿している人の声は、なんとなく分かる気がしました。それが表現の幅になっているのでしょうね。
 そして、悲しみを知っている人の声は、人の心の抵抗を解いて、すっと心に沁みて癒す力を持っているんですね。

 表現といえば、今、村上春樹の新刊を読んでいます。ちょうど真ん中あたりまで読んだところですが、今回の新作は久しぶりに(ほんと久しぶりに)アタリの予感です。読んでいて思わずラインを引きたくなる表現がたくさん出て来ます。
 意識と無意識、実体と影、出会いと喪失、世界のこちら側とあちら側、そんなテーマが散りばめられたパラレルワールドファンタジーという感じです。
 特にこの作品を読んでいて、なぜか深い安堵感のようなものを感じるのは、顕在より非顕在・・・私たちが知覚できる世界のずっと深部にうごめいている、知覚できない領域にフォーカスが当たっているからのような気がします。
 普段はキャッチできない、言語化できない潜在意識の領域は90%を超えると言います。それに対する顕在意識はたった10%未満。
 普段は自覚できないこの超大な力をもつ潜在意識を無いことにしていると、当然人は落ち着かなくなるものです。
 この作品は、そんな普段は光が当たらない領域のすみずみにまで光をあてて、丁寧に言葉にしてすくい上げてくれるような気がします。だから読んでいて癒されるのかな。
 村上春樹はそういう意味では現代のシャーマンなんだと思います。

 この作品の軸になっているのが「影」の存在。読んでいて「おー」と思った表現をちょっと抜粋してみますね。

「ときどき自分がなにかの、誰かの影みたいに思えることがある」ときみは大事な秘密を打ち明けるように言う。「ここにいるわたしは実体なんかなく、わたしの実体はどこか別のところにある。ここにいるわたしは、一見わたしのようではあるけど、実は地面やら壁やらに投影された影法師に過ぎない・・・そんな風に思えてならない」

「おれが思うに、ここにいる連中は自分たちが実は影だってことを知らないからです。自分たちは本体であって、引き剝がされた影は外に追いやられたと思っています。でも実際には逆なんじゃないか。壁の外に追いやられたのは本体の方で、ここに残っている連中こそが影なんじじゃないか。それがおれの推測です」

 現実の中でも「実体と影」のせめぎ合いのようなものはいつもあるなと感じます。ネガとポジのせめぎ合いというか。
 どちらかに極端に傾こうとすると、どちらかが引っ張る。人間関係の中でも、社会現象としても、これはしょっちゅう起こります。きっとこの二つはお互いに統合されたがっているのでしょうね。
 そしてこの「街とその不確かな壁」という作品は、読んでいるうちに自然とネガとポジがバランスされて、大きな何かの中に溶けていくような感じをうけます。


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