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リリとロロ 「匂いのゆくえ」 ⑤

完結

以前までは
「おひさまの香り?太陽に匂いはないでしょ」
と思っていた。


違う。

匂いは感情だ。


彼女は色々な知識を分け与えてくれた。

私の悩みの解決の糸口を見つけ出してくれたのは彼女だった。


音楽も本も文化的側面を持つ芸術が、音や文字を介して共感覚のように伝わるのも、そこに感情があるからだ。

調香は世間的に見れば、文学でも芸術でもないかもしれない。

冷たく言えば化学の括りなのかもしれない。

ただ、感情表現としての文化であり、芸術であると私は考える。



かつて悩んでいた私の幸福の道筋を香りにする。

この気持ちを、
私だけが抱える気持ちを、
形にして届けたいと思った。



あったかい気持ちも、
冷たい気持ちも、
新しい気持ちも、
懐かしい気持ちも、
嫌だったら過去も、
変わっていく、変えていくこれからも、

あなたの鼻腔をくすぐり、
情景を魅せる芸術でありたい。




どこかへ消えてしまいたくて、どこでもない何処かを求めているあなたに、ふわっと寄り添えるように。


正木諧「匂いのゆくえ」


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