園庭に刺さる赤

ぎりぎりと歯軋りを鳴らす。
外の世界との温度差で窓は結露がついており、何もない向かいの建物はぼんやりとピントをずらしたふうに見える。
肩を撫で下ろす無力感と倦怠感。
光はじっとこちらの世界を照らし、窓についた水滴を鮮やかに、少しずつ蒸発させる。
最悪な朝だ。

外に出ると夜更けに降った雨の所為で水気を帯びた空気が二月の風と絡み合って、この薄汚い路地を寂しげにする。
毎年、この頃になると昔の恋人と近くの公園まで梅を見に行っていたことを思い出す。
お世辞にも人気のある公園とは言えないが梅の時期になると老夫婦がそれなりに居て、俺たちもいつかこんな老夫婦になりたいと思ったのは決して嘘ではない。
ただ思い出は脳から後頭部へ滲み出ていき、俺の目線を落とさせるだけで、寒空の下の立ちんぼを一層寂しげにさせる。
胸に張り付いたままの罪悪感と喪失感、それに気付かないように過ごしてきた自分の情けなさに何度も泣きたくなったが、どういう顔をして泣けばいいのかも忘れてしまった。
気を紛らわそうと取り出したスマートフォンを落とし、画面フィルムの端が欠けてしまった。
誰が悪いでもないのに誰かに聞こえるように舌打ちをし、いつものように画面を指でなぞり、Instagramを開く。
友達と呼べるかもわからない知人が出勤する風景、結婚して子供も出来た結局ヤれなかった女たち、こんなつまらないものを垂れ流してるだけのコミュニティで繋がった気でいる自分にもっと嫌気がさしただけだった。
ぷらぷらと歩き煙草をしながら、アルバイトを増やそうか、昼飯を抜けば当分はしのげるか、売れるものがあったかなど、大して焦ってもないくせに考えた。
ただ、先のことを考えると胸の奥が重くなるような不安に襲われた。

これからもう、幸せになることは一生ないのだろう。
拭い切れない負の感情をじっくりと固めながら、地を這って生きていくのにはもう疲れてしまった。
ひどく考え込んでしまう、最悪な朝だ。


これは創作か。
寝る前にざっと書いただけの文字の羅列。
フィクションとノンフィクションが混ざり合っている気持ち悪い空気感をそのまま、恥ずかし気もなく誰もが見れる場所に貼り付けている自分がイタい。

日記としての形式を保つために今日の一曲を貼っておく。
さねよしいさ子、たこやきマントマン好きだったな。

良い夜を。

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