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アーティストステートメントの書き方 ②

ブログからの転載です。
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このブログの中で2位になってる、かなりのアクセス数がある「アーティストステートメントの書き方」の記事。やっぱり書き慣れていない人も多いんだろう、ということがわかったので、もう少し詳しく書こうかなと思いました。
あんまり批判はよくないなとも思うんですが、インターネット上に転がってる他の方のブログの「アーティストステートメントとは」的な記事を読んでみると、びっくりするぐらい統一して間違っているので、焦って急いでここで正したいなと思いました。

すっごい失礼だな、上から目線だなということは承知していますが、敢えて言うけれど、ドイツ美大で専門的な授業や講義を受けたし、本も山ほど読んで、公募展応募もたくさんしてきたし助成金もコンペ受賞した経験があるということで、理論的には正しいことをお伝えするので、どうかどうか間違った自己流アーティストステーメント講座を参考にしないでほしい、です。

あと、ポエムになってる人が7割。小説っぽいかっこいい日本語の言い回しではなく、どちらかというと研究論文の概要を意識すると作りやすいかなと思います。

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2022年7月4日 追加記事です↓
【テンプレート付き解説】良いアーティストステートメント書こう! part 3
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なぜ間違ったアーティストステートメントが存在するのか

前提としてやっぱり私がアプローチしているのは、日本で広義化した「アート」ではなくて、「ART」なのでArtistの人たちへのアプローチであるわけで…少しそこらへんが別物なのかもしれない。という点は予めご了承ください。
簡単にいうと、この記事でも説明しているように、日本ではクリエイションとしての「アート」が普及しているので、実際の学問的な「ART」を行なっている人が少ないです。なのでそもそも作品に学術的なコンセプトが必要とされていないという点が挙げられます。ですのでみなさんArtiststatementを書こうとした時に「何を書けばいいんだ….」っていうことになって、結果的にこの記事を見ているんでしょう。もしあなたがやっている内容が「ART」じゃなければ、そもそも本当の意味でのArtist Statementは必要ないはずです。なぜならあなたはArtを扱っているArtistじゃないからと思いました。
クリエイションとしてのアートを扱っている場合は、「作品のテーマ解説文」でいいのかなと思います。他のブログ等で解説されている内容が統一してる理由は、きっとそのテーマ解説文としては正しいからかもしれません。なので西洋で扱われているARTに対しての、Artist Statementを書きたい場合はここで書いた内容を参考にしてほしいと思います。

ハイカルチャーだったARTが、サブカルチャーになって広義化して庶民に普及した時に、アートになったと同時にやっぱりArtist Statementもアーティストステートメントになったんだなということがわかりました。なので多分ArtistStatementとアーティストステートメントは別のものかも。


Artist Statementとは!!!!!!!

Artist Statement は、Artistのメインの作品群に共通するコンセプトなどを「論述する」ものです。つまり作家の思いや、作品のモチーフなどのテーマを解説するものではなくて、その作品のどのような美術的な価値が、作品の中にどう存在するのかという部分を文章で解説するものです。上で挙げた部分に美術の価値を説明する内容が一つもないのが見てわかると思います。

いいですか?もう一度言いますが、ASで一番大切なことは

作品が保有している「美術的な価値」を論述する

という点です。これができていないものは、Artist Statementとは呼ばれません。逆説的に作品に学問としての美術的な価値を保有をしていない作品は、美術と呼ばれません。美術的価値の一つは「(美術)史学的な学術的価値」です。ここら辺の記事はたくさん書いてきたので、初見の方は他記事をご覧ください。


論述するということは、ざっくり言えば学術的なアプローチのもと、「客観的な論証や根拠を用意しながら説明する」ことです。自分がこう思う。自分にとってはこうだ。みたいなことはめちゃめちゃ主観的です。なのでその主観的な自分語りを読まされてる身にもなってください。どうでも良いです。作家の解説文は別にあって、気になるアーティストがどういうつもりで作品を描いているのか知りたくなる。みたいなことはあるでしょう。ただだからそれはArtistStatementではねぇ!!!ので、混ぜない。


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