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Processingって知ってますか?


メディア・アートやプログラミング教育にも使われるプログラミング言語である「Processing」を知っていますか?

そのProcessingのユーザーが、互いの知見を共有しあう「Processing Community Day」という世界的な取り組みがあります。

今週の土曜日と日曜日、日本の有志による「PCD Japan(Processing Community Day Japan)」がオンラインで行われます。3年目となる今年は、大変光栄なことにぼくが基調講演をつとめることになりました。

講演は、「新型コロナの実像をビッグデータで映し出すーProcessingによるデータ・ビジュアライズー」と題して、昨年12月のNHKスペシャル、先月のNHKクローズアップ現代+などテレビ番組で使用された、新型コロナに関する最新のビッグデータをProcessingで解析して映像化するプロジェクトを紹介します。(この記事のトップ画像がそれです。)

ただの入門言語ではない「Processing」

思い返すと、Processingを大学で教え始めてはや14年。書籍を書いてはや8年。もちろん現在の自分の研究でも仕事でも使っています。

この十数年の間に、Processingはクリエイティブなプログラミングの入門として世界中で幅広い支持を集め、多くの人が参加し、プログラミングで思い思いの表現を楽しんでいる姿を目の当たりにしてきました。

しかし、Processingは決して入門者だけのためのものではありません。

一例を挙げると、昨年の基調講演では、杉原聡さんによる斬新な建築の有機的なファサードやオフィスのデザインをProcessingでデザインした事例が紹介されました。

また、Processingを使って最新の機械学習技術を表現に取り入れる「創造的なAI表現」を可能にするスタートアップ「Runway ML」が多くの投資を呼び込むことに成功し、これからさらなる飛躍が期待されます。

このように、AI、ロボティクス、アート、デザイン、ゲーム、映像、音楽、建築などクリエイティブと言われるほとんどの分野とProcessingは緊密につながっています。

プログラミングに触れたことのない人も手軽に始められ、奥深く、多様性があるのがProcessingの良いところです。言い換えれば、入門した言語をそのまま学び続けることが、さまざまな分野の最先端へ地続きになっていることです。このような文脈を持っているプログラミング言語はそう多くはありません。

より高度な領域へのガイドとしての「Processing」

もちろん、より専門的な領域に踏み込むためにはそれに特化した言語を習得する必要があります。しかし、Processingを学ぶことはこれらの専門領域に分け入っていくための最適なガイドにもなります。

なぜなら、各分野で使用される言語やツールの開発者達は、Processingの思想を継承していることが少なくないからです。

自然言語にはその言語圏の文化や思想が反映されるように、プログラミング言語にもその言語が生まれた目的や思想が色濃く反映されています。思想が大きく異なる言語を習得するのが大変なのは、言葉もプログラミングも同じです。

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Processingと他の言語の影響関係(引用:"A Modern Prometheus" Processing Foundation)

コミュニティは豊かな土壌

このように、プログラミングを(「コンピュータを」と言ったほうが良いかもしれませんが)より創造的に使いこなすという共通した思想が広く受け入れられ、長い年月を経てなお成長を続ける要因は、Processingコミュニティの強さ、豊潤さにあると言えるでしょう。

何かに行き詰まった時は、検索すれば間違いなくすでに誰かが実験した形跡を見つけ出すことができます。それは5年前や10年前の記事である場合も少なくありませんし、解決していない場合もあります。

しかし、そうした共有財産が分厚く豊かな土壌となっているからこそ、果敢に次の実験に進むことができるのです。

Processingの日本コミュニティは、この数年で特に成長し、関連書籍の出版も相次いでいます。運営の皆さん、執筆者の皆さんのご尽力には頭が下がる思いです。

一方で、まだProcessingの一般的な認知度は高いとは言い難い状況です。(ゲームやVJのツールのような派手さがないからかなぁ…)

今年のPCD Japanは初めての完全オンライン開催となりました。これまで東京へ足を運びにくかった地域の差がなくなり、参加のハードルもぐっと下がったことは、コロナ禍という厳しい状況の中のひとつの福音と言えるかもしれません。

当日は、最新事例や興味深いワークショップ、実践者のトークセッションなども予定されています。これを機に、Processingを知っていただき、ひとりでも多くの人がプログラミングと幸せな出会いをされることを願っています。


Processing Community Day Japan 2021
2月20日(土)17:00 - 19:00(基調講演は17:00-17:40)
21日(日)13:00 - 19:00
完全オンライン・参加費無料(donation有)詳細・参加申込はこちら
https://pcd2021.peatix.com/

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インフォグラフィックデザイナー。デザインを生業としつつ、慶應大学大学院 政策・メディア研究科にて社会人博士課程在籍。ビッグデータの可視化とデザインの研究に従事。IAMAS非常勤講師。 http://www.masakiyamabe.com/