なぜHRテクノロジーなのか〜人事部の中に専門のグループができるまで

こんにちは、DeNAでHRテクノロジーを担当している澤村正樹と申します。2019年の4月より、人材開発・組織開発を中心としたHR関連のツールを内製開発し運用するチームを率いています。こういった、人事部の中にエンジニアリングを中心としたチームを置くこと自体が業界としても極めて珍しい事例なのではないかと思い、立ち上げから3年の試行錯誤をこのnoteで書いていくことにしました。

対象とする読者としては、企業でおもにHRや組織開発等にとりくんでいる方を想定しています。ある程度組織が大きくなり、これから人材開発をさらに強めていきたいと考えている方や、いくつかSaaSは導入しているものの、もうちょっと改善の余地があるのではないかと考えている方にとって、検討を進める上でヒントとなれれば幸いです。

なお、最初に書いてしまいますが、私たちも道半ばです。HRにとりくむ以上、従業員のチャンピオンであり、経営のパートナーであり、大きな変革を促す存在になることがゴールになりますが、まだそこまで到達したとは言い切れません。しかし、ここまでのトライアルの記録や、そこで考えたこと、これから考えていることはなんから役にたつでのはと思い、開設するに至りました。

今回は初回の記事なので、わたしの自己紹介とグループ立ち上げ時の状況や考えたことを書いていきます。

私について

はじめに、簡単に私のキャリアと、なぜHRテクノロジーに関心をもったのかをお話ししたいと思います。
 わたしのバックグラウンドはエンジニアです。ウェブのエンジニアとしてポータルサイトや情報サイトのようなどちらかというとtoC領域のサービスを中心に手がけていました。DeNAに2012年に入った際も開発者向けポータルなどのウェブツールの担当からスタートしました。キャリアプランとしては、当初はエキスパートを志向していたので、マネジメントやましてや人事の領域には関心がなかったのですが、ひょんなことからマネジャーをやることがあり、様々な苦労や失敗をしつつ、だんだんと組織を動かすことへと関心が動いていきました。
 そこから数年たってキャリアに迷っている時に、人事部への異動を打診され、エンジニアから人事の領域に入っていける機会はなかなかないことだと感じ飛び込んでみることにし、そこから数年間HRビジネスパートナー(HRBP)の役割を担当しました。

HRBPを担当する中での気づき

HRBPをする中でいくつか考えることがありました。

HRという領域は、所属や年齢のような静的な情報から、現在その人のコンディション、本人のキャリアビジョン、対人の相性、強み・弱み、これまでの所属編暦をつらぬくコンテキスト等々の動的かつソフトな情報までかなり多くの情報を扱うことになります。それらはあるツールの中にあったり、エクセルにまとめられ共有フォルダにおかれていたり、あるいは、人の頭の中にしか存在していなかったりします。

それらをもっと利用可能な状態に集約することでもっと質の高い仕事が多くの人にできるようになるのではないか、というのが最初の気づきでした。

HRデータあるある

みなさんの会社でもこんなことはおきてないでしょうか?

  • SaaSはいくつか導入してみたものの、データ連携がcsvで(場合によっては手作業が発生して)つらい

    • しかも、導入を進めた方は既に退職済みで、当初の狙いや情熱が引き継がれず作業だけが引き継がれているので何かあったときに詰む

  • とある社員のコンテキストを知りたい場合に、誰かは知っていそうなのだが、いわゆるトランザクティブメモリーが小さく、誰に聞いていいか分からない

  • 重要なデータ処理がエクセルやスプレッドシートとマクロ等のスクリプトを駆使した形で行われており、コピーが散在し、どれが正しいデータが分からない

  • そうこうしているうちに、部門やチームが独自でツールを導入するのでデータのサイロ化が進み、あわせて組織運営のプラクティスも局所化していく。(そしていつか管理しきれなくなり漏洩リスクとなる)

HRデータの三大病を「ばらばら病」「まちまち病」「ぐちゃぐちゃ病」と表現したのはヤフーの伊藤洋一(@yoichi_ito)さんですが、わたしたちの状況も例に漏れず、上記のような課題が顕在化しつつありました。

HRテクノロジーの内製チームで目指すもの(目指そうと思ったもの)

2019年4月に専門の部署を作るとなった時にチームのミッションとして言語化したものが二つあります。

「暗黙知を形式知に」
「文化を仕組みに」

まずはバラバラとちらばるデータをしっかりまとめて、必要とする人がダイレクトに利用できるようにしよう。そして会社として大切にしたい文化、目材した組織のモデルを仕組みとして実装し、会社がスケールしていっても耐えうる状態に持って行こう、というのが目指した点でした。

おわりに

今回はHRテクノロジーのチーム立ち上げの経緯について書きました。次回は最初にとりくんだ施策であるパルスサーベイまわりについて書きます。パルスサーベイについては、すでに色んな書籍で書かれていたり、SaaSもいくつかでていますが、ちゃんと効果的に運用するのは意外にむずかしいものです。私たちが取り組んだことや考えてきたことについて書こうと思います。

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