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shift innovation #19 (UNIVERSITY of CREATIVITY hack 4)

今回は、株式会社博報堂が発足した、未来想像の技術としてのクリエイティビティ(創造性)を研究・開発し、社会実験していく研究機関である「UNIVERSITY of CREATIVITY」に参加(2022年3月〜2022年6月)しました。

UNIVERSITY of CREATIVITYには、14のゼミがあり、その中で、私が参加した「創造性特区ゼミ」とは、自治体と連携し、地域の創造性をさらに進展させていくために必要な要素や条件を調査・研究する取り組みにより「創造性マネジメント」を研究するゼミとなります。

今回、「創造性特区ゼミ」においては、「市民が主役のまちづくり事業支援制度(以下、事業支援制度)」を活用する市民活動団体やこれらの活動に参加する市民が、創造性を発揮することによって、その目的がより効率的・効果的に達成することができる改善・改革案を提言することとします。

そして、私個人において、改善・改革案を導出した際に発揮されたと想定される創造性に基づき、既存の「創造性マネジメント」仮説をブラッシュアップすることとします。

それでは、今回を含め4回にわたり、既存の「創造性マネジメント」仮説をブラッシュアップする上で、「これまでになかった新しいモノやコトを生み出す」ための「リフレームに関する方法論」における「フレームワーク」や「思考プロセス」を踏まえ、新たな「創造性マネジメント」仮説を抽出することとします。

「創造性マネジメント」仮説 (既存)

hack1では、「リフレームに関する方法論(「シフト・イノベーション」)」、hack2「全体構想におけるビジョン・コンセプト・アイデア(構想フェーズ)」、hack3「個別発想とリフレームに関する方法論との関係性(発想フェーズ)」、hack4「新たな『創造性マネジメント』仮説の抽出」となり、今回は、構想フェーズ、発想フェーズを経たことにより抽出した「新たな『創造性マネジメント』仮説」について説明することとします。

なお、創造性特区ゼミにおいて、導出した新たなアイデアは、クリエイティブなアイデアであるかというアイデアの質を問うものではなく、あくまでも思考したプロセスを説明するものとなります。


【思考プロセスの全体像】

思考プロセスの全体像


【創造性マネジメント」仮説の各フェーズに関する区分整理及び新たなコンピテンシーの提示】

「創造性マネジメント」仮説の発想フェーズ、構想フェーズに関して、自治体の事業支援制度に関わる課題解決において、実際に思考したプロセスに基づき、「創造性マネジメント」仮説の各フェーズの区分を整理すると共に各コンピテンシーを詳細に分類した上で、新たなコンピテンシーを提示することとします。


【「創造性マネジメント」仮説の各フェーズに関する区分の整理】

「創造性マネジメント」仮説の「発想」「構想」「実装」「還走」フェーズの範囲の捉え方に関して、「実装」の捉え方を、導出したアイデアが実際に自治体において実行されるまでと捉えることとした場合、創造性特区ゼミ修了時における活動は、「発想」「構想」までになると考えられます。

一方で、「実装」の捉え方を、導出したアイデアを試作することと捉えることとした場合、一般化されたデザインプロセスである「オブザベーション(観察)」「アイディエーション(発想)」「プロトタイピング(試作(実装))」を経て、導出したアイデアを精査(還走)した上で、新たなアイデアへピボットさせると捉えることとした場合、「発想」「構想」「実装」「還走」までとなると考えられます。

また、「創造性マネジメント」仮説の「発想」「構想」「実装」「還走」フェーズの順位の捉え方として、「発想」からはじまるものであるのか、「構想」からはじまるものであるのか、また、一つの捉え方として、「構想」の中に「発想」が組み込まれているのか、さらには、各フェーズが一方向であるのか、双方向であるのかなど、「創造性マネジメント」仮説の使用方法や各フェーズの定義付けによって、異なることになると考えられます。

そして、この「創造性マネジメント」仮説を各フェーズにおいて、これまでになかったモノやコトを生み出す上で、必要となるコンピテンシーを確認(チェック)するものと捉えた場合、各々フェーズを独立したものとして捉えることとなると考えられます。

一方で、「創造性マネジメント」仮説を各フェーズにおいて、これまでになかったモノやコトを生み出す上で、必要となるコンピテンシーを確認(チェック)するものと捉えることにあわせて、発想するためのプロセスを確認(チェック)するためのものとして捉えることとした場合、各フェーズにおける関係性もあわせて掲示する必要があると考えられます。

そこで、これらのことを踏まえ、創造性特区ゼミの活動(個人ワーク)における思考プロセスに関して、思考するためのプロセスを確認(チェック)するものとして捉えることとした場合、全体のフェーズとしては、「構想」「実装」「還走」のフェーズに区分し、自治体において実際に施策が実装され、還走されるまでを示します。

そして、全体フェーズの中の「構想」フェーズを、細分化したフェーズに区分することにより、さらに、その区分の中の一つとして「発想」(全体発想・個別発想)のフェーズを設け、その「発想」フェーズの中を、さらに「発想」「試作」「還想」に区分することとします。

例えば、全体のフェーズの中の「構想」フェーズを細分化したフェーズとして、「課題発見(全体)」「ビジョン設定」「現状分析」「課題発見(個別)」「ドメイン設定」「コンセプト設定」「個別発想」「全体発想」(「個別発想」)に細分化することとします。

また、「構想」フェーズの一つとして、「発想」(全体発想・個別発想)フェーズを、「発想」「試作」「還走」に細分化した上で、「発想」に関しては、さらに、「転移」「反転」「類推」「収束」「統合」に細分化することとします。


【「創造性マネジメント」仮説の新たなコンピテンシーの提示】

「創造性マネジメント」仮説の各コンピテンシーに関して、各フェーズにおいてコンピテンシーを発揮するために必要となる「環境」、整備された環境により発揮することができる「能力(コンピテンシー)」、その能力を発揮するために必要となる「姿勢」に分類することとします。

また、構想フェーズ、発想フェーズに関しては、細分化したフェーズにおいてコンビテンシーを発揮するための「方法」、その方法を活用することにより発揮することができる「能力(コンピテンシー)」、その能力を発揮することによる「効果」に分類することとします。

なお、各フェーズにおけるコンピテンシー(「環境」「能力」「姿勢」)は、担当者・管理者共に活用できるコンピテンシーであり、また、構想フェーズ、発想フェーズにおけるコンピテンシーも、管理者が担当者の環境を整備するためのコンピテンシーとしても活用できるものと考えます。


【「創造性のマネジメント」仮説の各フェーズに関する区分整理及び新たなコンピテンシーの提示】

構想フェーズ

構想
(環境)あらゆる情報を入手できる環境にいる
(能力)全体を俯瞰することにより事象を多視点で捉えることができる
(姿勢)固定観念に捉われない

「課題発見(全体)」
(方法)クライアントの理想と現状を把握する
(能力)理想と現実の差異をイメージすることができる
(効果)クライアントの目的地を設定することができる

「ビジョン設定」
(方法)個別発想を全体俯瞰する
(能力)個別発想を概念的に捉えることができる
(効果)クライアントのビジョンを設定することができる

「現状分析」
(方法)機会・脅威・強み・弱みを捉える
(能力)捉えた機会・脅威・強み・弱みから課題感を捉えることができる
(効果)脅威・弱みを活用することができる

「課題発見(個別)」
(方法)最終消費者の理想と現状を把握する
(能力)最終消費者の目的地をイメージすることができる
(効果)最終消費者の目的地を設定することができる

「ドメイン設定」
(方法)無消費者のペルソナを検討する
(能力)無消費者本人になりきることができる
(効果)無消費者のインサイトを捉えることができる

「コンセプト設定」
(方法)無消費者のインサイトとは異なる状態を設定する
(能力)理想の状態をイメージすることができる
(効果)理想の目的地を設定することができる

「全体発想」
(方法)個別発想を機能レベルで捉える
(能力)個別発想の共通点を捉えることができる
(効果)個別発想に共通した機能を構築することができる


発想フェーズ

発想
(環境)妄想を許容できる人が周りにいる
(能力)ターゲットのインサイトから妄想することができる
(姿勢)ターゲット自身になりきれる

「転移」
(方法)解決困難なコンセプトを設定する
(能力)徹底的に考え抜くことができる
(効果)異なる事象へ変えることができる

「反転」
(方法)極限状態(事象)を想起する ※促進
(能力)事象が真実であるか疑うことができる
(効果)異なる視点から事象を捉えることができる

「類推」
(方法)事象の共通点を見つけ出す
(能力)事象の機能を他の事象に置き換えることができる
(効果)よく似ている事象に気付くことができる

「収束」
(方法)事象の目的(高レイヤー)を意識する
(能力)事象を機能レベルで捉えることができる
(効果)事象を概念的に捉えることができる

「結合」
(方法)妄想した事象を実現化する
(能力)捉えた機能を実現させる技術を見出すことができる
(効果)事象と捉えた機能を結びつけることができる

試作(実装)
(環境)アジャイル思考の人が周りにいる
(能力)UI/UXへ具体化させることができる
(姿勢)完全な状態でなくても走り出せる

還走
(環境)厳しい意見を言ってくれる人が周りにいる
(能力)失敗・改善案を受け入れることができる
(姿勢)導出したアイデアに固執しない


実装フェーズ(推察)

実装
(環境)目標達成意識が強いフォロワーが周りにいる
(能力)目標達成に向けリーダーシップを発揮することができる
(姿勢)目標達成に強い意志がある


還走フェーズ(推察)

還走
(環境)あらゆる情報を入手できる環境にいる
(能力)全体を俯瞰することにより事象を正しく判断することができる
(姿勢)固定観念に捉われない


【まとめ】

上述のように、全体のフェーズとして、「構想」「実装」「還走」のフェーズに区分した上で、全体フェーズの中の構想フェーズを細分化したフェーズとして、「課題発見(全体)」「ビジョン設定」「現状分析」「課題発見(個別)」「ドメイン設定」「コンセプト設定」「個別発想」「全体発想」(「個別発想」)に細分化しました。

また、構想フェーズの一つとして、発想(全体発想・個別発想)フェーズを、「発想」「試作」「還走」に細分化した上で、「発想」に関しては、「転移」「反転」「類推」「収束」「統合」に細分化しました。

そして、「創造性マネジメント」仮説の各コンピテンシーに関して、各フェーズにおいてコンピテンシーを発揮するために必要となる「環境」、整備された環境により発揮することができる「能力(コンピテンシー)」、その能力を発揮するために必要となる「姿勢」に分類しました。

また、構想フェーズ、発想フェーズに関しては、細分化したフェーズにおいてコンビテンシーを発揮するための「方法」、その方法を活用することにより発揮することができる「能力(コンピテンシー)」、その能力を発揮することによる「効果」に分類しました。

これらのように全体を「構想」「実装」「還走」に区分した上で、構想フェーズを細分化し、さらに、発想フェーズをさらに細分化することにより、思考すべきプロセスとして、目安とすることができることから、発想が促進するのではないかと考えます。

また、各フェーズにおけるコンピテンシーに関しても、「環境」「能力」「姿勢」に分類し、構想フェーズ、発想フェーズに関しても、「方法」「能力」「効果」に分類することにより、担当者において実行すべきことが明確となり、管理者においても担当者の環境に関して整備すべきことが明確となることから、発想が促進するのではないかと考えます。

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