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【第10号】本格的なことをやっていく前の静けさ

3月某日|18歳の冬のはなし

結婚式に招かれる。妻側の親戚の場。久しぶりにみんなに会う。久しぶりにみんなとお話をした。そして久しぶりにスーツを着た。

何年ぶりだろうかスーツを着たのは。このスーツは10数年前にフルオーダーで仕立ててもらったもの。今着てもサイズがぴったり。太らなかった自分をほめてやりたい。そんなわたしのスーツの歴史にはいい思い出がない。というのもわたしの体のサイズはすこしいびつ。

はじめてスーツを買いに行ったのは18歳の冬。大学入学を控えていたため、入学式までに一式をそろえる必要があった。父に連れられて洋服の青山に行った。18のわたしにとっては未知の世界。かっこよくスーツを着こなしている店員さんがまぶしく見える。

父はスーツをたくさん持っている人だったのでこの店員さんとは仲がよさそうな印象。近況を話し合っていた。そんなわたしは着せ替え人形のよう。はじめは身長を聞かれたと思う。169cmと素直に答える。身長にあったジャケットをいくつか試着。

わたしは水泳を長年やっていたせいか肩幅がある。まず165cmの成人男性のジャケットを試着。肩まわりがパンパンで前のボタンをしめると胸が開いてしまうようで不格好に見える。つぎに170cmの成人男性のジャケット。まだきゅうくつ。次に175cm。まだきゅうくつ。そして180cm。着た状態で腕を上げても突っ張られる感じがなくてちょうどいい。だけど、丈が長い。とても長い。

わたしの腕の長さも自分の身長より長いようだ。180cmのジャケットを着てちょうどよかった。胸周りはちょうどいいのだけれど、丈が長い。どうしたもんかと店員さんも父も苦笑いしてたのを思い出す。結局、妥協して175cmの成人男性のジャケットを選んだ。だけど、丈は長いまま。ズボンは170cmのものでちょうどよかった。

次は靴。はじめての革靴。店員さんに「足のサイズはいくつ?」と聞かれ、素直に23cmと応える。わたしの足のサイズは小さい。ちょっと無理すれば妻のスニーカーもはける。だけど幅がある。

店員さんから再度質問をされる。「普段はいている靴のサイズは?」。26cmと応え、はかせてもらう。革靴自体が細いのか自分の足に合わない。なので27cmの革靴にした。先っちょが少し長めの当時のトレンドらしい。つまずきそうなくらい長く感じる。

すべてが揃った。スーツ上下、ワイシャツ、革靴を身に付けて鏡を見る。どう見ても不格好。わたしがイメージしていたかっこよくてきらびやかでさわやかさ満点の自分がそこにはいない。

肩や腕はちょうどいいが丈の長いジャケット。どんだけ裾上げをするのかというくらい折り曲げられたズボン。ダイビングで使うフィンを付けてる感覚の足元の革靴。入学式でしか着ないからいいだろと父と店員さん。

大人になったらフルオーダーで仕立ててもらおうと思った18歳の冬でした。


3月某日|悲しい予告は突然にのはなし

『『VOGUE GIRL』クローズのお知らせ』

衝撃的な見出しのメルマガが届いた。なぜわたしが『VOGUE GIRL』のメルマガを購読しているかというと楽しみにしていたコンテンツがあったから。それは『しいたけ占い』。

月曜日に届くしいたけ占いは1週間の自分を後押ししてくれるようで、毎週楽しみにしていたもののひとつだった。それが終わる。

このnote「毎週新聞」のタイトルはこのメルマガから引用している。届いたメールを開いて読んで、その1週間の訓示的な意味合いとして手帳の週間ページに書いていた。それが終わる。

「今週の運勢をコントロール!」と称されたラッキーカラーも教えてくれる。パワーアップしたいとき、クールダウンしたいときの2色を毎週しいたけさんは教えてくれていた。女性向け雑誌VOGUEのメルマガなのでたまに赤やピンクなど、持っていないカラーを示されることがあったけど、取り入れられるときは意識して取り入れていた。それが終わる。

見出しだけを読んだときはショックだったけど、中身を読み進めたらこう書いてあって安心した。今後のしいたけさんの動向をTwitterから追うことにした。5月31日まではVOGUE GIRLのメルマガを心待ちにしています。

◆コンテンツ配信終了(2023年5月31日(水))後の、「しいたけ占い」の更新について
コンテンツの配信終了となる2023年5月31日(水) 以降の「しいたけ占い」の活動については、現時点で未定となります。今後の活動については、しいたけ.さんのSNSアカウントからのお知らせをご確認ください。
しいたけ. Twitter : https://twitter.com/shiitake7919
しいたけ. Instagram : https://www.instagram.com/shiitake7919/


3月某日|整理も仕事ですのはなし

パートナー先の企業の会議に参加する。実施しているプロジェクトの中身を刷新していく企画会議のような場。事業は常に動いている。正確には日々の動向を追いながら、適宜、状況に合わせて変容させていくものだと思う。

わたしの自分の仕事を思い返す。いろんな情報が錯そうしたり、お客さんの状況に合わせていると、スタート前に整えたものも散らかってしまい、整理整頓が必要になってくる。プロジェクトを動かしている本人からすると中に入りすぎて外からの様子が見えにくくなる。日々、活動を行っているからこそ散らかってしまうこともあるし、それに気づかず進んでいることも多いような気がする。

散らかっている環境に気づかなかったり、それに慣れてしまうと整理整頓の必要性には気づきにくい。やらなきゃ!と思っていても後回しにしてしまうことが多い。理由としては動いているものに向き合うことに精いっぱいで整理整頓することへの優先順位は低くなるから。

仕事はだれかとするもの。だれかと時間をともにするからこそ、整理整頓は定期的に行うことが自分にもチームにもお客さんにもいい作用を及ぼしてくれるんだと思う。


3月某日|インサイドアウト対話のはなし

「前提」とは、ある物事が成り立つためにあらかじめ満たされていなければならない条件のことをいう。「信念」とは、それが正しいと堅く信じ込んでいる心をいう。

求められているものが明確になってきた。何かシフトしていきそうな感覚を持っていたわたしは嬉しい気持ちでいっぱい。言われたことだけをすればいいのはやっぱり違う気がする。自分がこれまでしてきたことと掛け算をしていい作用を埋めれば最高だと思う。

ビジネスの世界には「インサイドアウト」という言葉がある。「内部」を基点にして課題を解決していくアプローチの方法だ。わたし自身、個人事業でお客さんに「内省」を促す活動をしてきた。もちろん自分自身の言動や経験も内省をくり返してきたつもり。

引き続き内省を繰り返し行うにしても、そのやり方はアップデートしていく必要もあると思う。習慣的に行ってきたことを改めて見つめ直していく。そのためにも「対話」はしつこくし続けていきたい。


3月某日|溢れるうれしさのはなし

終わりよければすべてよし。わたしはそうは思わない。終わりが来るまでにできることは注力したいし、向き合う時間をちゃんと作っていきたいと思う。

世の中はいま、WBC(ワールドベースボールクラシック)が始まった。今日は日韓戦。試合の中身はスポーツニュースを見てもらうとして、わたしが気になったのは9回の実況アナウンサーの雰囲気。

日本は大差を韓国に付けながら迎えた9回の表。まだ試合が終わっていないにもかかわらず実況アナウンサーから発せられる言葉から感じたのは、もう日本が勝ちました感。

9点差はたしかに簡単にくつがえる点数じゃないのかもしれない。だけどまだ試合は終わっていない。喜びを抑えられないのは理解できるんだけど、まだ声高になるのは早くないかとひとりで悶々としていた。

これがファンの声とかならまだいいと思う。やっぱり勝ちが目の前に見えているのだから言いたくもなる。わたしもそう。だけど実況アナウンサーは審判の試合終了の合図までは、試合の動向を追うのが全うな仕事ではないか。

仕事の会議でも終わりが見えてくると参加者は気が緩みやすい。ふとした時に誰かを皮切りに雑談が増えてまとまらなかった場をたくさん見てきた。最後の数分でこれまで話してきたことががらりと変わることもある。だから最後まで集中するってとても大切なことだと思う。

過去の野球の試合を見ても、9回で逆転するシーンはたくさんあったはず。終わりが見えていて一喜一憂してしまうのは仕方がないと言ってしまえばそれまでだけど、過程と寄り添い続けてきたからこそ終わりよければすべてよしになれるんじゃないのかな。

とはいえ日本が勝ったのはやっぱりうれしいね。がんばれ侍ジャパン。

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