骨折して良かったと今なら思える。

（写真：Tempei）
5月23日の午後3時ごろだった。スコーミッシュのジムでボルダリングをしていた僕は足がぐにゃりと曲がるのを感じた。正確には左腓骨の末端、足首の外側あたる骨で、人生２度目の骨折だった。（１度目の時に介抱してくれた、としきとこうめには改めてありがとうと言いたい。二人ともあの時はありがとう。）

これまでクライミングを通してケガをしたことがなかったし、ましてやジムの分厚いマットの上なので「まぁ大丈夫だろ」と落ちそうなのを無理に粘っていた矢先の出来事だった。そしてたまたま落ちた角度が悪かった...と今から思うと、あきらかにアクシデントが起こりそうな考え方に笑ってしまう。やっぱり安全な環境づくりと同じぐらい、安全への意識、状況判断力も大切だと身をもって学んだ。

間違いなく、怪我をすることは辛いことだ。でも「怪我の功名」という言葉があるように、ネガティブなことばかりではない。ということをここでは伝えたい。
以前の記事にも書いたように、普段の生活の中で当たり前を疑うことはとても難しい。でもそこでケガをしたりすると、とそれを疑う絶好のチャンスになる。僕の場合、今となっては（負け惜しみなしで）本当にこのケガをして良かったと思っている。痛みと不便もあったけど、それ以上の学びを得たという実感があるからだ。
ではそんな骨折をして良かったと思うことを２つあげてみたい。

ー

骨折をして良かったことその①

それはなんといっても「周囲への感謝の気持ち」に尽きる。
自宅のソファで座っているだけの僕に変わって、妻が代わりにたくさんの家事をしてくれた。朝淹れたコーヒーですら、松葉杖だと運ぶのに苦労している僕をいちいちサポートするのは大変だったろう。また友達と会っているときも、ささやかなことの気遣いを感じ嬉しかった。ちょっとした段差があれば声をかけてくれたり、今夜呑もう！ってなった時とか、運転できない僕の自宅まで迎えに来てくれたりしてくれた。（そう、僕の車はマニュアル車なんです）本当にありがとう。

また自分自身への感謝も大きくなった。これまで当たり前のようにしていた、歩くこと、立つこと、料理すること。寝る時、起きた時に痛みが無いカラダ。僕はこれまでどれだけ自分自身に感謝していただろう...と振り返るには最高の機会だった。ということで、ありがとう僕のカラダ。これからもよろしくね。

人の優しさにあらためて触れ、感謝の気持ちに溢れるのはとても気分がいい。
（逆にいつも気づかなくてすいません。）

ー

骨折をしてよかったことその②

２つめは、時間ができたことで前から挑戦してみたかったことを始められたこと。基本的にただ座っているんだから静かに物事考えたり、勉強したり...そういう時間をたくさん持てたことも良かった。

少し前からだけど、自分がこれまでしてきたアウトドアや旅のこと、カナダ西海岸での暮らし、ここに住んでいる人たちなどを紹介できらなぁ...とぼんやり考えていた。というのも「スゴイ人」「素敵な場所」「ハッとさせられる考え方」などはまだまだ世界にはたくさんあるわけで、せめて自分の人生で出会えた「そういったこと」だけでもシェアをしていくことで、何かしら誰かの助けになるかもしれないと思ったからだ。そして実際に以下の二つの方法で発信することになった。

ーポットキャスト（Untacked Podcast）
ーウェブマガジン/ブログ (In▲habit)

書くことは作曲と同じでじっくり内省的で一方通行。対話はジャズの即興演奏っぽく、予期せぬ展開が訪れたりするのがいいと思っている。
文字通り０からポッドキャストの編集を学んだり、ウェブサイトの作り方を学んだり...(そもそもこうして発信すること自体が僕にとって勉強みたいなものだ。)

それに仲間にも恵まれた。同じくスコーミッシュに住む日本人で、写真家の竹内天平くんと一緒やれることになった。僕はあくまでも素人の文章とアイデアだけど、そこに魂のこもったプロの写真家が加わるなんて、どんなにありがたいことだろう。何かを一緒に始めれるとは思いもしなかった。ありがとうてんぺーちゃん。
これからもよろしくね！それぞれの思いが詰まった情報を発信していきたいな。

ー

以上が今回骨折していなかったら、出会えて無かっただろう事だ。
とはいえ迷惑をかけた人もいるし、次の怪我は...本当にしばらくはしたくない。
なので周囲と自分への感謝の気持ちを忘れることなく（だからこうやって書いておくのは大切なことなのだ）発信をしながらまだまだ学んでいきたい。

というわけで興味のある方は、もし良かったらこれらのメディアものぞいてみてください。

（*8月の中旬現在、ほぼ完治の状態になっているのでご心配なく。カナダの医療にまつわる話ついてもまたどこかで紹介したい。）

Masaki