アフターコロナと人生100年時代
ここ1~2か月ほど、様々な有識者やインフルエンサーの方々などが提唱するアフターコロナ(※)の話をインプットし続け、アフターコロナが人生100年時代に与える影響を見極めてきたのですが、大枠が見えてきましたのでここで一旦整理してみたいと思います。
※withコロナという表現もありますが、ここでは「今回の新型コロナ発生以降のNew Normalな世界」という意味で、同じ文脈で捉えていただければと思います。
大きく分けて、「人生100年時代の『根本部分』への影響」と「New Normalという『新たな制約』が及ぼす影響」の2つの視点で書いてみました。
人生100年時代の「根本部分」への影響
まずはそもそもの話として、「新型コロナによって人生100年時代の大前提は崩れるのか?」という点についてです。
まず最初の点は、「全体として100歳まで生きる」という話が「90歳」や「80歳」になってしまうのか?という点です。
これはシンプルにNOです。
今回の新型コロナによる死亡というのは、ガンや脳卒中、インフルエンザ、結核などのように「疾病で亡くなるパターン」に当てはまりますので、「そのパターンが1つ追加された」という形になります。そして新型コロナの死者数は、日本でいうとインフルエンザや結核などに比べて少ないレベルですので、平均寿命に与えるインパクトもほぼありません。
ということで「全体として100歳まで生きる時代」、もう少し詳しくいうと「2人に1人の人が100歳以上生きる時代」ということは、アフターコロナにおいても変わりないと言えるのではないかと思います。
そして次は、「日本のおける人生100年時代の大前提」である「人口動態への影響」についてです。まずは下の図をご覧ください。
人生100年時代の重要な大前提として「80歳くらいまで働かざるを得なくなる」という点があります。その要因は人口動態です。
日本の年金制度は賦課方式という現役世代が高齢者世代を支える仕組みになっていますが、上図の人口動態を見ていただくとわかるとおり、高齢者のボリュームはこの先数十年間3500万人~4000万人くらいで一定なのですが、現役世代は激しい右肩下がりになっていきます。よって、シンプルに現役世代が高齢者を支え切れなくなるので、高齢者で元気な人、具体的には65歳~80歳くらいまでは年金を払う側に回らなければ社会が持たなくなるということですね。
その点を抑えたうえで、アフターコロナでこの構造が変わるかというと、死者数のインパクトからして誤差の範囲で全く変わりません。
以上、アフターコロナでも人生100年時代の「根本部分」は変わりませんので、人生100年時代に向けた準備はこれからも変わらずに取り組んでいく必要がある、というのが私の見解です。
New Normalという『新たな制約』が及ぼす影響
書籍「LIFE SHIFT」では、人生100年時代のキモとなることは「自分が大切にする価値観」であると述べられています。なぜなら、それが定まっていないと周りに振り回され、過度に落ち着きのない人生を送ることになってしまうからです。そうではなく、「自分が大切にする価値観」という「軸」を定めて、意義と一貫性のある人生を歩んでいきましょう、と提唱されています。
そして今回、「New Normalという『新たな制約』が人生100年時代に及ぼす影響」を考えるうえで、この「自分が大切にする価値観」という軸がますます大事になってくると感じましたので、その視点で考えたことをご紹介したいと思います。
まず最初の点は、直近の制約である「3密回避」に伴う影響についてです。
これは当面、ひょっとしたら永続的に制約条件として定着していく可能性があると思っています。そうなると3密でしか成立しない事業をされていた方は3密ではない事業へのピボットが余儀なくされます。
そしてピボットを検討する際、何かしら「3密以外の判断軸」を持っていなければどこにピボットするか迷ってしまいますし、周囲からの声に振り回されてしまいます。そんなとき、人生100年時代を生きていくうえでのキモとなる「自分が大切にする価値観」という軸が定まっていると、その軸と「3密ではない事業」が重なる部分にフォーカスして効率的に探すことができます。
そして、効率面よりももっと大事なこと、この「自分が大切にする価値観」を軸にピボットすることの大事な点というのは、「感情のエネルギー」を活用できることです。「自分が大切にする価値観」に基づいた行動というのは感情のエネルギーを伴う行動となりますので、内発的動機から仕事に邁進することができ、結果として新たな才能が磨かれていきます。
このように、「3密回避」というNew Normalな制約によって事業や仕事のピボットを考える際、「ピボットの判断軸となる」「新たな才能を磨く」という2つの点において、人生100年時代のキモとなる「自分が大切にする価値観」はますます大事になってくると感じています。
そしてもう1つのNew Normalの視点は、将来の究極的な視点として、「もしもベーシックインカムの時代が来たら?」というテーマで「自分が大切にする価値観」との関連性を考えてみたいと思います。
アフターコロナの世界についていろいろ情報収集する中で、何人かのインフルエンサーの方々は「長期的にはベーシックインカムという世界がくるかもしれない」という話をされていました。今回の特別定額給付金も、超一時的なベーシックインカムとも言えますよね。
ということで1つの思考実験なのですが、もし「食べていくためには十分なベーシックインカムが支給された」とすると、もはや食べていくために働く必要はなくなります。で、そうなったとき、人はどんな生活を送るようになるのでしょうか。
参考となるのは、まさにベーシックインカムを貰っている状態の年金受給世代の皆さんの暮らしです。そこで1つの事例として、書籍「定年後」に書かれている「大企業を退職されて年金暮らしをされている方々」の話を紹介しますと、まずはゴルフ三昧だーといってゴルフに行きまくったり、旅行に行きまくったりするそうですが、半年くらいで飽きるそうです(笑)。これは大事な視点で、「消費する趣味」だけやって生きていくと人間は飽きてしまうんですね。
人間は社会性の動物ですので、「自分は社会の役に立っている」という実感がなければ辛くなる生き物です。よって、何かしらの社会貢献活動に取り組む必要が出てきます。しかし「滅私奉公」パターンだと燃え尽きてしまいますので、「やっていて楽しいコト」で貢献していくことが大事になります。そして、「やっていて楽しいコト」というのは、言い換えると「自分が大切にする価値観と合っているコト」になります。
ということで、「もしベーシックインカムになったら?」という視点においても「自分が大切にする価値観」はとても大事になってくるわけです。
少々話が長くなりましたが、このように人生100年時代のキモとなる「自分が大切にする価値観を軸にして生きていく」という姿勢は、アフターコロナの時代においては、ますます大事になってきているのではないかと感じています。
そして最後に私としましては、ライフシフト塾を通じてそんな「軸」を定めるサポートをより多くの皆さんに届けたいと思っています。
おしまい。
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