changemaker #10 探究学習(課題発見2-「見える」「見えない」)
想定外の解決策を生み出すことにより、パラダイムシフトを起こすためには、今までとは異なる課題を今までとは異なる視点で捉える必要があり、今までとは異なる課題を発見した上で、課題を解決するだけではなく、今までとは異なる課題を発見し、課題を転換した上で、課題を解決する必要があります。
【課題発見(見えている・見えていない)】
例えば、「赤ちゃんを毎月病院へ連れて行くのは大変であり、さらに病院で長時間待たされるのは嫌である」という課題を捉えたとします。
「赤ちゃんを毎月病院へ連れて行くのは大変であり、さらに病院で長時間待たされるのは嫌である」という事象において、「病院で長時間待たされるのは嫌である」、「毎月病院へ連れて行くのは大変である」という課題と捉えた場合、「長時間待たずに済む予約制の検診」、「病院へ行かずに済むリモートによる検診」という想定内の解決策となります。
しかし、病院の待合室の前を観察していると、「赤ちゃんを病院へ連れてくるお父さんがいない」ということに気付くなど、目の前に見えている「お母さん」ではなく、目の前には見えていない「お父さん」を捉えることにより、「お父さんは育児休暇や看護休暇を取得することが難しい」という課題を捉えることとなります。
【課題転換(特定の社員・全ての社員)】
「お父さんは育児休暇や看護休暇を取得することが難しい」という課題は、お父さんだけではなく、お母さんであっても育児休暇や看護休暇を取ると、「他の社員は業務に負荷がかかり不満に思う一方で、育児休暇をとる社員(お父さんやお母さん)は負い目に思うなど、両者にとって良いものではない」という新たな課題を捉えることとなります。
そこで、「結婚している人」、「子供がいる人」など、特定の社員のみ育児休暇や看護休暇などの休暇を取得できるというのではなく、全ての社員が気兼ねすることなく、公平に休暇を取得することができるようにするため、育児や看護などの特定の理由に基づく法定の休暇だけではなく、「休暇の理由を問わず長期休暇を取得することができる『サバティカル休暇制度』を積極的に企業が導入する」というように、目の前に見えている課題をそのまま捉えた解決策、また、特定の社員に対する課題を捉えた解決策とは異なる想定外の解決策となります。
※「サバティカル休暇」は一般的にはワークライフバランスを目的に企業が制度導入しています。
【課題発見・課題転換・課題解決】
「赤ちゃんを毎月病院へ連れて行くのは大変であり、さらに病院で長時間待たされるのは嫌である」という事象において、「病院で長時間待たされるのは嫌である」、「毎月病院へ連れて行くのは大変である」という顕在化した課題ではなく、現状を観察する中で、「お父さんは育児休暇や看護休暇を所得することが難しい」(課題発見)という潜在化した新たな課題を発見します。
そして、顕在化した新たな課題に対して、「他の社員は業務に負荷がかかり不満に思う一方で、育児休暇をとる社員(お父さんやお母さん)は負い目に思うなど、両者にとって良いものではない」(課題転換)というように、新たな課題に転換することとなります。
その結果、「休暇の理由を問わず長期休暇を取得することができる『サバティカル休暇制度』を積極的に企業が導入する」(課題解決)というように、転換した新たな課題を解決するなど、想定外の解決策となります。
このように、想定外の解決策を生み出すためには、事象に対して、今までとは異なる視点により、新たな課題を発見し、今までとは異なる視点より、新たな課題に転換し、そして、今までとは異なる視点により、課題を解決するなど、今までとは異なる課題を今までとは異なる視点で捉える必要があります。
【創造的思考(アブダクション)】
アブダクションにおいては、特定の事象に対して、法則を適用することにより、仮説を形成するなど、正解のない課題(事象)に対して、独自の問い(法則)を適用することによって、独自の解答(仮説)を導き出すことが重要となります。
【まとめ】
これらのように、今までとは異なる課題を発見し、課題を転換した上で、課題を解決するなど、「目に見えている」から「目に見えていない」、「一部」から「全部」へと転換し捉えることにより、今までとは異なる課題を今までとは異なる視点で捉えることができる「チェンジメーカー」になることができると考えます。
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