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ビジネスはビジョン/パーパスのための「しくみ」のデザイン_#2 Xデザイン リフレクション

このnoteは、Xデザイン学校2024年マスターコースのリフレクション(振り返り)投稿です。毎回の授業で得た学びを1回ずつ振り返ります。


前回のnoteでは、ビジネスデザインは、「ヒューマン視点」、「モノ視点」、「ビジネス視点」の3つの視点をバランスして三方よしを実現する、ということの概略を整理しました。
今回は、「ビジネス視点」を深掘りして、どのようにビジネスモデルを設計するのか、その準備段階となるビジネスインタビューとは何かを学んでいければと思います。

ビジネスとは?

あらためて、これだけ毎日いろんな人が自分の人生の時間を使って取り組んでいるビジネスとは何か?

それは、「目的(ビジョン/パーパス)を実現するための活動」と定義できると思います。

三方よしのデザイン

え、お金儲けが目的でしょ?と言われるかもしれませんが、単なる金儲けで本当にアナタの矜持は満たされるのか?と問うてみてほしいです。

僕自身は、授業の中ででてきた、「結果的に」利益を作り出す活動が、継続性の観点でお金が必要という理解に与します。

そしてその継続性は、目的に向かって活動し続けるためであり、社会に良い影響を及ぼすためである、と考えます。

言われるまでもない、という方も多いと思いますが。。

ビジネスデザインとは?

その上で、ビジネスデザインとは何か?

授業では、「目的(ビジョン/パーパス)のためにしくみをデザインすること」と定義されました。とてもわかりやすい。

目的(ビジョン/パーパス)の達成に向かって、それに関係する要素(ステークホルダーなど)は何か。そして、その要素をどのように繋ぎ合わせていくと、目的の達成に近づくのかを、考え、実験していく活動なのだな、と理解しました。

ビジネスをデザインするというスタンスからは、目の前のビジネスに振り回されず、自分(たち)で目的をセットして、ビジネスを作り上げていく可能性を、自分たちの手に取り戻す意気込みを感じます。

そういう意味で、僕自身はどんな環境でもビジネスデザイナーでありたいと考えているのは、外部環境が厳しくても、大きな仕組みに飲み込まれそうになっても、自分らしい範囲で、ビジネスに主体的に関わり続けたい(じゃないと、つまんない)と考えていることが、大きな理由なのかもしれません。

ビジネスデザインの好例として授業では、移動スーパーのビジネスを展開する「とくし丸」が取り上げられました。

とくし丸は、全国の主に過疎地域にいる「買い物難民(買い物困難者)」に対して、日常の必需品を届けるビジネスを展開しています。

スーパー大型化により地域のお店が撤退したり、高齢者の単身世帯化が進んだり、高齢による免許の返納が促進されることによって、買い物に困難を感じる人たちが全国に800人いると言われています。

「コンビニよりべんりな移動スーパー」を掲げて、高齢者が多い買い物難民に対して、冷蔵庫付きのトラックで約400品目(!?)の必要物資を直接届けています。直接訪れるということは顔の見える関係になるということで、とくし丸のスタッフが「見守り隊」の役目を果たしていることに、この事業の社会的な重要性をとても感じました。

感動したのは、ビジネスモデルをしっかりと構築することで、持続可能なレベルで収益性を担保していることです。HPに記載がありますが、販売パートナーの収入を丁寧にシミュレーションして、買い手だけでなく、商品提供に関わるステークホルダーにもしっかりと利益が残るビジネスを構築して、三方よしを実現しています。

とくし丸のビジネスモデル

ビジネスモデルとは?

ビジネスモデルとは、ビジョン/パーパスのためのしくみを視覚化したものです。

ビジネスモデルは視覚化が重要で、後述する、ビジネスモデルキャンバスやビジネス図解によって、しくみを可視化することでビジネスを磨き上げてくことが可能になります。

現状のビジネスモデル(as is)を確認し、未来のビジネスモデル(to be)を描くことで、現状と理想の差分(=ギャップ)が可視化されます。

その差分を埋めていく活動方針を、「戦略」と呼ぶこともできます。

これからのビジネスモデルの視点として以下の5つが取り上げられました。

  1. ビジネスモデルの中に社会視点を考慮する

  2. 既存のビジネスモデルにとらわれず、ビジネスモデルをデザインする

  3. まずはリードユーザーへの他にない価値が大事

  4. ビジネスモデルはビジョン/パーパスを実践するためのしくみ

  5. 複数のビジネスモデルの組み合わせを考慮する

特に1.は、大きく考えすぎずとも身近な業界の社会課題を解決するという視点でも良いと思っています。

例えば、私は日用品・インテリア用品の業界に属していますが、近い領域で「大工不足」が顕著になってきており、施工リソースの不足による工期の遅れや価格高騰が問題になっています。

自分たちの作る製品が、もし「施工レス」で作れたら、大工不足によって悩んでいる人たちの助けになるかもしれません。こんな風に、大きな社会問題じゃなくても、業界の「不」を解消することも、立派な社会視点だと考えます。

ビジネスモデル視覚化の方法

ビジネスモデルを可視化する方法は複数あります。授業の中では、ビジネスモデル図鑑(で紹介されている方法)、CVCA、ビジネスモデルキャンバス、ビジネスオリガミなどが取り上げられていました。

中でも、ビジネスモデル図鑑で紹介されている方法は、ステークホルダーの関係やモノ・サービス・お金の流れが視覚化しやすいので、とっつきやすいものでした。

個人的には、顧客セグメント(≒顧客課題)と提供価値を先に明確化していく必要があることや、事業の肝活動(=主要活動)や差別化に必要なリソースも可視化できるビジネスモデルキャンバスが、自身の解像度を高めていくのにとても使いやすい印象です。

ビジネスモデルキャンバス

授業での発見は、単にマスを埋めるのではなく、要素感を矢印でつなぐことで、因果関係が明示され、より強いビジネスモデルをつくっていける点でした。

キャンバスに明記されるのは、ビジネス上重要な変数ばかりのはずなので、常に他のどんな要素に影響しているか、本当に大事な変数なのかを理解するのに、因果関係を意識するのは必要だと感じました。

こういった、ビジネスモデル可視化ツールは、一度つくって完成ではなく、早い段階で仮に可視化して、新しいインプットがあれば、何度も何度も書き直して磨き上げていく姿勢が大事ではないかと思っています。

ビジネスとプラットフォーム

プラットフォームビジネスといえば、マイクロソフトなどに代表されるパソコンOSや、任天堂などのゲーム機、Ctocサービスのメルカリにいたるまで、様々なモノ・サービスが存在します。

他社・他者をサービス提供者として巻き込んでいくことで、自社だけでは提供できない価値を持つモノ・サービスであるプラットフォームは、どの部分を自社で担い、どの部分をオープンにするかが肝になります。

電子書籍のkindleは、コンテンツストアやアプリ(リーダー)は自社で担い、コンテンツ自身やアプリを動かすOSは外部にオープンにしています。

これによって、ユーザーは多種多様なコンテンツを享受することができ、アプリ環境は、iOSでもAndroidでも利用することができます。

プラットフォームのいいところは、ユーザーがどこかの会社の商品だけではなく、複数の選択肢を手に入れることで、自分のパーソナルな選択を自由にできることです。

プラットフォーマーというと、個人的には少し大きな企業の独占戦略のようなイメージを持っていたのですが、健全なエコシステムとして捉える考え方もあります。

明治大学の渡邊恵太氏が唱える「PDUモデル」

我々は、プラットフォーマー(P)、デベロッパー(D)、ユーザー(U)の3層のPDUピラミッドで構成していることを整理しました。この図で大事なことは、PとDの関係性です。よく言われる見方をすればBtoBtoCという構図です。この場合、真ん中のBはよくパートナー企業と言われてしまいがちですが、デジタルプラットフォームでは今回のDの部分には個人の開発者が入ってこれるようになったことが特徴です。Pが個人のDを巻き込むことで多様なUのニーズに対応できるようになります。この構造により、一企業が提供するには細かすぎるニッチな市場に対しても、個人Dの開発物によってUのニーズを解決できる可能性が生まれます。

https://keita-lab.jp/pdumodel

プラットフォーム(P)を開発する人たちは、デベロッパー(D)のためのエクスペリエンスを磨き、デベロッパー(D)は、ユーザー(U)へのエクスペリエンスを磨く。

このモデルは、単体では企業が提供するには小さい課題や、社会課題の解決にも経済性を維持したままアプローチできる一つのソリューションではないかと思っています。

くらしのマーケットなどは、エアコンクリーニングや不用品回収など細かい暮らしの不満をプロに依頼できるサービスですが、このビジネスモデルに近いように感じます。

私の所属する日用品・インテリア業界でも、暮らしの小さな課題がたくさんあるので、このモデルで社会性のあるビジネスを構築できないか妄想してみたいと思います。

ビジネスインタビュー

何か新しい事業に取り組む時に、自身が所属する会社でも、その企業を支援する支援会社の立場であっても、企業やそこに所属する人々のことを知ることは重要だと思います。

過去に新規事業に携わった時に、私自身も、企業のビジョンやミッション、その会社ならではの特徴、従業員の思いなどを、はじめに聞くことができたおかげで、事業のコアが形作られる経験をしました。

今回の授業では、ビジネスインタビューとして、3つの視点を学びました。

  1. 人の視点
    企業の経営者や社員の思い

  2. ビジネスの視点
    企業のビジネスモデル

  3. 社会と技術の視点
    社会における、その企業の意味や役割。商品やサービスに関連する技術

1.で、話を聞かれる本人も、日ごろ考えたことのないような「問い」を向けられることで、自身が大事にしていたことに気づく機会になることもあります。
その場で自身の熱い想いに気づけると、プロジェクトの壁を乗り越える可能性は飛躍的に高まると思うので、経営者のみならず、推進役のメンバーにも話を聞くことは有効であると考えます。

3.は、客観的な視点を持ちやすいインタビュアーだからこそ、企業の社会的意義に気づくことができると考えています。時には無責任に、「この会社の社会的意義って、〇〇なんじゃ!?」といった妄想を言葉にしてみることも、その企業の殻を破る良い機会になるかもしれません。

複数の視点で企業を理解することで、企業のビジョン(=目指す姿)を描いたり、理想と現実のギャップを埋める戦略を考えることができるので、ビジネスインタビューを通して、プロジェクトの本質的な目的や価値を理解することは、プロジェクトの出発点であり、羅針盤になると思います。

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