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未来をプロトタイプしよう!_#1 Xデザイン リフレクション

このnoteは、Xデザイン学校2024年マスターコースのリフレクション(振り返り)投稿です。毎回の授業で得た学びを1回ずつ振り返ります。


デザインは三方よし

これからのビジネスデザインとして、「ビジョン/パーパス」を中心に、「ヒューマン視点」、「モノ視点」、「ビジネス視点」の3つの視点をバランスして三方よしを実現するためのがデザインの役割であることを学びました。

人間中心設計

HCD(Human Centred Design)は、大きく4つのプロセスからなります。
①利用状況の把握と明示
②ユーザーの要求事項の明確化
③ユーザーの要求事項を満足させる設計による解決策の作成
④要求事項に対する設計の評価

HCDサイクルを回すには、ユーザーを特定することが重要です。
例えば、ipodを開発した時にappleは、PCユーザーじゃない人は捨てました(なので、iTunesをPCに接続しないと使えない)。これはデバイスで細かい設定をする必要をなくすためだったそうです。一方で、日本メーカーはPCがなくても使えるようにしました。だから、初期設定が複雑になって、ユーザービリティが落ちたと考えられています。

対象ユーザーは増やしてもいいけど、どのユーザーかを明確にしないと、そもそも「考えることができない」。すべての人のためを考えたプロダクトなんて作ることができない。どういうユーザーが・どういう「状況」の時に使いやすいかを考える必要がある。

その意味で、ユニバーサルデザインであっても、「誰にでも」ではなく、「どういう人まで対応するのか」を決めないと考えられない。

ビジネスをしていると意外と抜けてしまいがちで、もっとも致命傷な視点が、自分の仕事が、どのユーザーがどんな状況にいる時に役立つものかを考えられないことだと思いました。

自分のアクションの結果、どんな人が、どんな認識をもつか、どんな感情をもつか、どんな行動をおこすか、これを想像してから、アクションを考えていく必要があるということです。

「ユーザー」と「状況」と「便益」。何か価値を考える時は、かならずこのセットで考えるように意識づけします。

マーケティングでは、Who-What(誰にどんな価値を)を考えますが、誰を定義するのに、性別や居住地、年代では括れないと考えています。ではなく、「どんな状況」にいる人かを考える必要があり。狭義のビジネスの本質は、その状況にいる人にどんな価値を提供するのかに尽きるのではないか、と思います。

3つのエクスペリエンスデザイン

エクスペリエンスデザインは、UX(User Experience)と、EX(Employee Experience)、SX(Social Experience)。3つの体験をバランスして、よりよくしていく視点がビジネスに求められます。

特に、心地よいUXを提供するためには、EXも心地よくする必要があるという当たり前を再認識できたことが自分にとって大きかったです。

ジャパネット・タカタの事例では、お茶の間提案販売や待たせない電話注文などの独自の体験を提供するために、社員全員が電話受注を業務で行い、お客様対応を行ったり、仕事を通じた成長を支援しています。

お客様の感動が自分たちの感動に思えること。それも自発的に、働く人自身の喜びになるように組織をデザインしているところが印象的でした。戦略の実行には組織システムも整合をとる必要はありますが、それが強制的なシステムで駆動するのか、EXを意識して社員自身が自発性を持って戦略を意識するシステムになっているのか。僕は後者こそが本当の仕事の喜びにつながると思っています。

EXが良い状態だと、自然にユーザーの喜びを考えて組織が行動し、UXが良くなり、結果的にSXが良くなっていく。目の前の人も喜んでいるのはもちろんですが、社会にも良い体験を提供できている感覚が、さらにEXをよくする好循環につながる。そんなビジネスをデザインしていくことが、デザインを学んでいる動機の根本のような気がします。

デザイン思考

デザイン思考の5つの活用は以下の通りです。

  1. Wダイヤモンド・問いのデザイン
    =本当に大事なことは何か、原点に戻って考える

  2. 観察・共感・価値・インサイト
    =観察よりインサイトとユーザーの価値を抽出する

  3. 体験的発想
    =個人体験、ユーザー体験、社会体験より発想を広める

  4. ストーリーテリング
    =どのような体験になるか物語で語る

  5. 体験的プロトタイピング
    =体験できるプロトタイプを作っては体験して考える

Wダイヤモンドのプロセスは、実務でも活用しやすく、アイデアを考える前にまず「解くべき課題」を目線合わせするのに使いやすい印象です。一方で、視覚的にプロセスとして右から左に流れているので、不可逆かと思われるかもですが、時には、アイデアから、このアイデアが解いている課題は何かを考えるのもアリなんじゃないかとも思っています。

ダブルダイヤモンド

「共感」は、言うは易し行うは難しの定番みたいなもので、共感するにはかなり入念なプロセスが必要になる印象です。観察やインタビューを通して、相手の目線で物事を見れるようになって初めて、「共感できている」と言える。その視点に立てれば、「どんな体験が嬉しいか」も自分ごとのようにわかる、このプロセスを再現性高く回せるようになりたいです。

事例では、「味の素冷凍餃子」が取り上げられました。
ユーザーが手間をかけずに美味しい餃子を食べられるように、餃子の羽部分に油や水を含ませて焼くだけで、手間もかからず適度な水分で蒸しあげることが可能になりました。

その背景には、以前の冷凍餃子では、水をユーザー自身が計って入れる設計でしたが、観察を通して、ユーザーが適切に水を計って入れることできないことを知り、その問題を解消するために、この商品開発に結びついたそうです。結果、羽付き餃子を作ることができ、その羽が専門店らしさの醸成も相まってヒット商品になりました。

アート思考

アート思考の5つの活用は以下の通りです。

  1. アートの観察と造形
    =発見力、身体性、プロトタイプ、表現を身につける

  2. アートの美
    =感性を磨く、感動/美しさのヒントを得る

  3. アートの背景と歴史
    =コンテクストを知る、オリジナリティを知る

  4. アートの多様性と発想
    =視点を広げる、多様性を知る、オリジナリティを生む

  5. アートの主観性と批判性
    =自分の哲学、信念、ビジョンを生む、問いを導く

あくまで、アーティストは自分が起点となり、自分の価値観に基づいて試行錯誤して、誰も見たことがない未来を描き出す。その思考プロセスをビジネスの創出につなげるものです。

授業の中では、「美しさ」を追求することが大事と学び、コーヒーにこだわっていくにつれて、細かい淹れ方の違いや豆の種類に気づけるようになっていく、感性が磨かれる過程もアート思考の重要な方法論であると理解しました。

個人的には、プレ講義で学んだ、「美術館にいっても意味ない!」が勝手な理解に反しており、もう一度この思考法の学習にフラットに取り組みたいと思っています。

サービスデザイン

サービスデザインでは、「ヒト」「モノ」「ビジネス」の3つの整合性が大事です。

ヒトの視点は、対象となる人間(ユーザー、ステークホルダー)が、どのような「状況(コンテクスト、5Q1H)と価値」であったら良いか?を考える視点であり、

モノの視点は、人間に関わる人工物が、どのような「かたち(構造・フロー、視覚)」であったらよいか?を考える視点であり、

最後に、ビジネスの視点は、ヒトとモノを成り立たせることができるようにするためには、どのような「しくみ(企業、パートナー、おかね)」であったらよいか?を考える視点です。

この3つを整合させてはじめて、サービスデザインは成り立つわけですが、意外と実務ではこの3要素はそれぞれの担当者が分かれていることが多いように思います。

特にあたらしいサービスを作り上げる時は、この3つの視点(BTC)をプロジェクトメンバーで常に行き来しながら、サービス・プロダクトの品質をあげていく必要があると思います。

ビジョンとパーパス

デザインには「現在の問題の問題解決」と、「未来のためのビジョン提案」の大きく二つの役割があります。そして、「未来のためのビジョン提案」がより良い社会を作るためのデザイン活動として重要です。

未来のあるべき姿を提案するために必要なのが、こんな社会であってほしいという「個人の妄想と熱い想い」。
その想いをもとに、、ある状況を設定したアイデアを「体験的なプロトタイプ」をつくり、体験することを繰り返すことで、「ありたい未来の姿」が見えてくる、と学びました。

ビジョンやパーパスというものは、お上(社長?経営企画?)から降ってくるものと思われがちですが、お告げを待っている必要はありません。むしろ、ビジネスの最先端は自分だったり、自分のチームだったりします。なので、自分の手の届く範囲からビジョンやパーパスを考えてもいい。むしろ、時代に遅れないためには、現場にいる自分たちからビジョンやパーパスを経営にあげていかなければいけない(かもしれません)。

授業では、クリナップのキッチンの未来ビジョンが取り上げられていました。クリナップは「家族の笑顔」をビジョンに掲げていたが、今は、個食も多い。そこで「個人の笑顔」も大事ではないかと理念を見直しました。もちろん、「社会の笑顔」も大事な要素として考えています。

ビジョンを導き出すための、未来のキッチンのためのデザインプロセスが非常に興味深く、未来の社会の変化を考えて、自分たちができることを考え、理念に照らしながらビジョンを策定されていました。

さらに、ビジョン策定だけでは終わらず、さらに17のアクションとしてコミットまでを視覚化することで、ステークホルダー自身もクリナップの未来にワクワクして、「自分も関わりたい!」と思わせるようなダイナミクスを感じました。

とても感銘を受けたのは、ビジョンは一つに絞る必要はないということです。あくまでマップ程度にとどめておき、いろんな将来の可能性を可視化する。

大事なのはここからで、「未来の可能性をプロトタイプする」ステップを経ることで、未来への解像度が上がってくる。

ともすると正解を求めがちなビジョンですが、もっとボトムアップにプロトタイプして未来の可能性を楽しんでいいんだよ、というメッセージを受け取りました。

どんどん未来をプロトタイプしていきたい!

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