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【Some Flowers制作日記 その17】

■Chapter16 トラックダウンとキー
ぼくの自宅での編集作業もすべて終わり、あとはエンジニアである玄ちゃんこと、玉井さんに残りの作業を託すのみとなった。
ここから先の作業は、トラックダウン→マスタリング→CDマスター完成と、最後の超重要な工程の連続になる。
そしてこれらはすべて玄ちゃん一人の孤独な作業となる(笑)。

ちなみにトラックダウンとは、マルチ・トラック(24チャンネルとか36チャンネルとかチャンネル数のこと)に録音された各楽器やボーカル、コーラス等の音を再生しながら、バランス良くミックスしてステレオのマスター・トラックを作る事を言う。
トラックダウン以外にも、ミックスとかミックスダウンとも呼ばれることもある。

このトラックダウンの良し悪しで、音の印象がガラリと変わるため、エンジニアもミュージシャンもトラックダウンにはとてもナーバスになる。
せっかく良い音で録れていたものが、トラックダウンで台無しになる、なんてこともままある。
そんなトラックダウンの作業が、今まさに行われている真っ最中である。

そんな矢先、早速玄ちゃんから「Carry on」と「Harbor lights」のミックスの第一弾が送られて来た。
今回のレコーディングは、トラックダウンされた音もインターネットを介したファイルのやり取りで確認している。

ぼくが玄ちゃんのスタジオに行って、そこで確認しても良いのだが、自分の家のオーディオの環境下で聴いたほうが分かりやすいため(耳がその音に慣れていて判断しやすいという意味で)今回はそのような方法を取っている。

ドキドキしながらトラックダウンされた「Carry on」を聴いてみる。

…….素晴らし〜〜い!!!

各楽器のバランスや定位がすごく気持ち良い。そしてなんと言ってもぼくのボーカルが別人のように聴こえる。声の艶や息継ぎ音の生々しさに、我ながらゾクッとした(笑)。
2000年にリリースされた曲が、まさに2023年の音に生まれ変わった。
本当にすごく嬉しい。

二曲目の「Harbor lights」も素晴らしい仕上がりである。
ただこの曲は少し手直しと、楽器の追加をすることにした。もちろん更にブラッシュアップするための決断である。

他の曲の仕上がりも楽しみでならない。

今回はセルフカバーアルバムということで、過去に発表した時の曲のキー(調号)をそのまま踏襲することにした。
例えば「明日になれば」という曲に関しては、キーをオリジナルキーに戻すことにした。

Bricksで1997年に発表した「明日になれば」は、The Fuseでやっていた時のキーよりも1音下げてやっていた。
今回は1982年当時のキーに戻して歌った。キー下げどころかキー上げである(笑)。

他の曲もすべて発表当時のオリジナルキーで歌った。さすがに今のぼくの年齢で昔のキーのまま歌うのはキツかったが、やはりそこはこだわってみたというか、こだわりたかった。

ぼくの好きな(好きだった)ミュージシャンやシンガー達が、大好きな曲をキーを下げてライブで歌っているのを聴くと、なんとも悲しい気持ちになる。
もう高い声が出ない、出るけどオリジナルキーのままでツアーの間ずっと歌い通すのはキツい、今の自分の声が気に入っている等々、それぞれ事情があっての選択なことは百も承知だけど、やっぱりオリジナルキーで歌って欲しいと思うのである。

かと思えば古希を超えても(もうすぐ古希になる方も)オリジナルキーにこだわって歌っている方々もいる。
ぼくはやっぱりそんな方々をリスペクトするし、シンパシーを感じてしまう。

また話が逸れた(笑)。

あらためて今回のアルバムに収録される曲のキー(調号)を確認してみた。
すると全10曲中、5曲のキーが「G」だったことに気がついた。
キーがGとは日本風に言うと「ト長調」のことである。

ミュージシャンやプレイヤーには、それぞれにお気に入りのキーがある。
ギターやピアノを弾くと、つい無意識のうちに押さえてしまう、弾いてしまう音やコードがある。
それがぼくの場合は圧倒的に「G」のコードなのである。そしてそれはギターでもピアノでも同じ。どっちの楽器を持ってもまず最初に弾くコードはGだ。

人によってはオレはAのコードだ、いや私はG♭のキーが好き、とかいろいろとあると思う。
ぼくの場合はもう手癖と言ってもよい、とにかくGなのである。ちなみにビートルズのジョージ・ハリスンの作る曲は圧倒的に「D」のコードとキーである。何でもかんでもD(笑)。

そんな手癖からか、ぼくはGのキーで曲を作ってしまうことが多い。前述した通り今回の収録曲も5曲がGなのである。

さらに昨夜、ジャケットデザインの第一稿がデザイナーの竹田さんから届いた。待ちに待ったジャケットである。
いや、自分でもまったく想像だにしなかったジャケットにビックリ!!!
マジで驚いた!!

竹田さんの感性が爆発したデザインに、ホントにびっくり仰天した。
まだ校正を重ねている段階なので、ジャケットの公開はもう少し先になるかと思いますが、ジャケットのほうも乞うご期待!

自分的にはちょっと恥ずかしいけど、すご〜〜く素敵なジャケットですよ。

続く。

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