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【感想】Nintendo Switch『Lorelei and the Laser Eyes』

インディーゲームをちょくちょくやる自分は毎回楽しみにしている任天堂のIndie World

Indie World 2024.4.17のトリを飾ったのが本作『Lorelei and the Laser Eyes』

聞けば『Outer Wilds』や『Stray』のAnnapurna Interactiveがパブリッシャーというじゃありませんか。
これは「買い」だと即決。

もっとも、ゲームに詳しい人からは「いやいや重要なのは開発スタジオがSimogoって点だろ」と怒られてしまうかもしれません。

本作は独創的なゲームを制作しているSimogoが開発する。代表作としては、エレクトロポップとゲームが融合したアクションゲーム『Sayonara Wild Hearts』、iOS向けのテキストベースのアドベンチャーゲーム『Device 6』などが知られている。

https://news.denfaminicogamer.jp/news/2404172t

恥ずかしながら自分は不勉強で今回初めてその名前を知りました。

Simogoの公式HPによると本作には重要なリファレンスが2つあるらしい。

At the time, Simon had started replaying the first Resident Evil games, and had developed a fascination for the film L’Année dernière à Marienbad.

https://simogo.com/work/loreleiandthelasereyes

ゲーム版(というかオリジナルがゲームなわけですが)の『バイオハザード』の第1作目と映画『去年マリエンバートで』

ベネチア国際映画祭1961金獅子賞。
この機会にU-NEXTで初めて観ましたが、なるほど確かに作品の雰囲気から構造までがっつり引用。
(というかこの映画自体がそもそも不思議な作りの映画)

館の内装や設計はマジでそっくり!
あの物語を女性側の視点で語り直すことでスリラー型の作劇になり、謎解きゲームに合うように改変されている。
ちなみにゲーム内にはカルト的な人気を誇る映画監督やそのフィルモグラフィーも登場。

そんな本作『Lorelei and the Laser Eyes』は海外メディアでも軒並み高評価だそうで。

注目度の高さが垣間見えます。

そんなこんなで発売日に早速プレイ。
ゲーム開始時点では状況や設定に関する説明は特に無しw
なかなかのストロングスタイル。『Inscryption』が近いテイストかも。

Perfumeのっちが選ぶ2022年ゲーム第3位

『Lorelei and 〜』の話に戻ろう。
とりあえず提示される謎解きに挑み、解けると手がかりらしき情報やアイテムが手に入る。
その謎というのもストーリー上に関わる謎を推理するのではなく純粋なパズル。
例えばこんな感じ↓

© 2024 Simogo AB. All rights reserved. Published by Annapurna Interactive under exclusive license.

ご覧の通り舞台設定やあらすじは一切関係ない。
純粋な謎解きパズルである。
仮にこれだけ切り取ってテレビのクイズ番組に出しても成立する。

説明が一切無いので自分が置かれている状況はよく分からない中で序盤はとにかくこの手の謎を解いて解いて解きまくる。
この謎解きが歯応えも量もあって面白いし楽しい。
ついつい「もう1個解けたら一旦止めよう」が延々と続いてしまうw
リアル脱出ゲームや謎解きイベントが好きな人は特にハマるんじゃないだろうか。
(逆に「簡単すぎる」とかなるのかな?個人的には割と難易度高めに感じた)

ちなみに、オープンワールドとまでは行かないけれど進め方の自由度が高いのはゲーム初心者の自分には思わぬ落とし穴だったw
進捗率70%を超えた辺りでどうにも手詰まりになってしまい、諦めて攻略サイトを見たら(といっても発売まだ1週間なので攻略サイトもそこまで充実してないんだけど)なんと序盤も序盤のゲーム開始30分くらいで通る場所にあったミッションを見落としていたというオチw
あれは拍子抜けしたなぁw
自由度が高いって難しい。

ストーリーテリングも独特。
謎を解き進めると手がかりが集まってきて全貌が徐々に分かってくる。
このゾクゾクワクワク感がたまらない。
と思いきや何か抽象的な台詞で煙に巻かれて結局よく分からないw
しかし、その台詞が「芸術・文化と産業・資本主義」という現代のエンタメを批評するかのようなテーマ性を帯びているから侮れない。
インディーゲームという本作の位置付け自体もメタ的に効いている。

で、どうやら

  1. この館では過去に何か事件があった?

  2. 劇中で書かれている脚本はその事件をトレースしている?

  3. でもそれとは全く別のストーリーも並行して存在している?

何やら入れ子構造のようなものが見えてくる。
さらにいくつかの部屋には本作のプロトタイプ(開発中バージョン)が置かれていてそれをデバッグするというメタ的なミッションまで。
分解された状態で提示されたストーリーを自身のペースで組み立てる工程は時間芸術である映画に不可能な、ゲームならではの(強いて言うなら小説に近い)快楽。

一応最終ステージの「真実に辿り着く」というミッションを通じて、これまで集めてきた手がかりからストーリーを整理してくれるのでご安心を。

© 2024 Simogo AB. All rights reserved. Published by Annapurna Interactive under exclusive license.

真実回収率100%未満でもストーリークリアは可能でした。

こういう作品に出会えるからインディーゲームはやめられない。

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