【感想】テレビアニメ『平家物語』第1話
昨年9月からFODで全話独占先行配信され、1月からフジテレビの+Ultra枠および各種動画配信サービスで毎週配信が始まったアニメ。
自分はFOD未契約なので楽しみに待ち続けて遂に見ることが出来た。
同じようにFOD契約してない人も広く見られるようになったので紹介がてら書こうと思う。
本作のスタッフは
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
キャラクター原案:高野文子
音楽:牛尾憲輔
アニメーション制作:サイエンスSARU
原作:古川日出男
山田尚子×吉田玲子といえば『けいおん!』『聲の形』『リズと青い鳥』など数々の傑作を生み出してきた黄金タッグ。
ただし、これらの作品のアニメーション制作は山田尚子自身が所属する京都アニメーションが手がけていた。
サイエンスSARUと組むのは今作が初。
アニメの絵的にはリアル路線の京アニとゴリゴリに抽象化を効かせてドラッギーな絵で魅せるサイエンスSARU。
正反対っちゃ正反対である。
まだ第1話しか見ていないので結論を出すには時期尚早だが、少なくとも食い合わせが悪いという事態にはなっていなさそうに感じた。
(単に僕がそこに違和感を嗅ぎ取れるほどアニメを見てきていないというのもあるかも)
主人公はサイエンスSARUらしいデフォルメが効いていて脇役は京アニ的なリアル路線って感じの描き分けなのかな?
今後どんな化学反応になるか楽しみ。
代名詞である足を映したカットも健在。
アバンタイトルから足、足、足。
見事。
今作はそれに加えて目・眼を映したカットも重要な役割を担ってきそう。
また、山田尚子作品といえば音楽。
牛尾憲輔は『聲の形』『リズと青い鳥』の音楽も手がけているからここも再タッグ。
劇伴だけでなくストーリーにも琵琶法師の演奏が関わってくる。
紛うことなき山田尚子作品。
ここまでの文脈だけでも十分に楽しめる作品なのだが、あれ?そういえば…と思い浮かぶ別作品がある。
その作品とは2022年初夏公開予定の劇場長編アニメーション映画『犬王』
こちらのスタッフは
監督:湯浅政明
脚本:野木亜紀子
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英
アニメーション制作:サイエンスSARU
原作:古川日出男
これまた非常に興味深い組み合わせ。
自分は昨年の東京国際映画祭で見ました。
(少なくとも『平家物語』の第1話とは全くテイストが異なっており、湯浅政明監督の剛腕が存分に発揮されています)
サイエンスSARU制作で古川日出男の原作が立て続けにアニメ化される。
これはどういう経緯で立ち上がった企画なのだろう?
さすがに「お互いの企画が立ち上がってたのは全然知りませんでした」ってことはないだろう。
ユニバース的にストーリーが合流してくるとかは無さそうだけど比較はやっぱりしたくなる。
何せどちらも琵琶法師の物語なのだから。
野木亜紀子は今回が初の長編アニメーション脚本。
吉田玲子はアニメ畑だが過去に実写作品の脚本を手がけたことはあり、今年5月(つまり2022年初夏)にはNHKでドラマをやる。
しかも重要な役どころを星野源という数々の野木作品を彩ってきた俳優が演じるオマケ付き。
ここまで来ると(当事者たちにとっては完全に迷惑でしょうが)競作という視点を持ち込まずにはいられない。
山田尚子と湯浅政明という確固たる作家性を持ったアニメ監督
アニメと実写、それぞれのフィールドでヒット作を連発してきた吉田玲子と野木亜紀子という脚本家
単に劇伴を作るだけではなく音楽が物語上も重要なテーマになる作品で牛尾憲輔と大友良英という作曲家
『平家物語』を楽しんだ人は『犬王』を、『犬王』を見る予定の人は『平家物語』を。
公式サイトを頼りに両作品のスタッフを比べてみるのもまた興味深い。
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