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就学に向けて(その1) --- 「ダウン症があるとかないとかどうでもいい、誇りがあればいい。」

息子は来年小学生である。なんと。
小学生になるということは学校に通うことになるわけで、どうしたものだろうということを考えないといけない。
ホットなうちに都度書いておこう。

いやその前に、ダウン症のお子さんが生まれたご家庭にアドバイスはありませんかとか、どのような公共・プライベートのサービス・支援がありますか、みたいなことを整理しようと思ったのだが、いまうちは就学相談がホットなので。

さて、就学である。

まず、放置すると何がおこるかという説明を聞いてきたので、ここに書いておこう。ただし、おそらく地方自治体によって対応が異なるので、これはあくまで僕が住んでいる東京都下の自治体においてだと注記しておく。

すべての子供は秋頃に案内がきて、小学校に向けての身体測定というのに呼ばれるらしい。そこで一律の測定や検査を受けて、発達等が標準から外れる子供は別室に呼ばれ、お宅のお子さんですけどね、的な話が始まるらしい。

つまり何もしないと、秋まで何も起こらず、秋にいきなり色々言われるという流れになる。

さて、息子のように最初から知的遅滞がはっきりしている子供の場合は、就学する場所の選択肢は以下の三つがある。

・学区の小学校の普通学級
・(支援学級の)学区の小学校の特別支援学級
・特別支援学校

さいわい、我が家は学区の小学校に支援学級があり、ダウン症の子供が何人か通っていると聞いていたので、そこで通わせるつもりでいたのだが、じゃあどうすればそこに入れてもらえるのかが分からなかった。

で、妻が調べたところ、こちらから教育委員会の担当部署に相談しないと、何も始まらないということだった。先ほどの、何もしなかったケースである。

6月に入り、そろそろ相談ですかねなどということをSTの先生などに話したところ、いやもうすぐにでもはじめないと間に合わないと言われて、あわてて電話をいれた。

また同じくらいの時期に、支援学級の見学会があったので、それにも出席し、支援学級の様子がなんとなく分かった。
そこでの印象は「お客様扱いっぽい」というものであった。先生が一生懸命工夫して授業をしているのは分かるのだが、どうしても専門家っぽくないことや、教室が校舎の隅のほうにあるという印象が、あまりよろしくなかった。
説明会の冒頭で校長先生から「言語でのやりとりができることと、身辺自立ができること、つまりおむつが外れていることが前提となります」という、現場の実態とか苦労とか関係なしに、お前どこかに書いてあること読んでいるだけだろ、という種類の説明があったのも印象が悪かった。

そんなわけで、どうしたものだろうという若干あやふやな気持ちの状態で、教育委員会の担当者にアポをとり、初回の相談に行った。

そこで担当者からおおよそのスケジュールを聞いた。まず医師から診断書をとり、それを提出することで相談の正式なスタートになること。
その後は、支援学校の体験入学を9月頃に受けることができること。
10月以降にいくつかの学校の支援学級で体験入学があり、そこで相談員・担当職員・支援学校の教員などが子供の様子をみて、そこから一ヶ月後程度のところで判定会議が行われること。判定会議の結果が家庭に通知されたのち、それに反論することは可能であること。その後の議論は発生するが、最終的には親の希望が通ることがほとんどであること。

支援学校の見学については、連絡をすれば個別に対応してもらえるとのことでもあった。

タイミングとしては、悪くないスタートのようであった。

その時点では支援学校の様子が分からなかったので、それからしばらくして支援学校に連絡をしてアポをとり、見学をさせてもらった。副校長先生が対応してくれた。
支援学校は、教室も広く、子供たちの人数に対してついている教員や支援員の先生の数も多いように見えた。何より、ここでは障害がある子供が主役なので、みんなのびのびと生活しているように見えた。何より、生活に関する指導というのが実践的であるように見えた。その日は小雨が降っていたのだが、雨合羽を着て傘をさして歩く練習をしていた。
副校長先生が、すべての子供たちのことを把握していて、「この子はこういう子なんですよ」と説明してくれることも、走りよってきた子供の頭をなでていたことも好印象であった。
この学校では、障害がある子供は、お客さんではない。

ということで、支援学校の見学を終えた段階である今の時点では、僕ら夫婦は支援学校に気持ちが傾いている。

なお、ここまでの時系列は若干不正確かもしれない。諸連絡はすべて妻が行ってくれたので、正確なところは近々刊行予定の「ダウン症のある子供とともに〜序章・旅立ちの日」に収録される予定である。
嘘である。
そんな本は出ないし、旅立ちは終章である。

それよりも、息子本人はどう思っているのかについて。
これも主に妻と息子とのやりとりではあるが。
支援学級の見学の際に、おむつが外れていることがマスト的なことを言われたこともあり、息子に「みんなと同じ学校に行くには、パンツはけるようにならないといけないよ」と言ったところ、本人は頑張ろうという気になったようで、その後しばらく布のパンツで生活した。わりとうまくいっていたようではある。
ただその後支援学校の見学をしたのちに、「歩いていく学校とバスでいく学校があって、バスでいく学校は新しいお友達がいて、そっちだとパンツでなくても大丈夫」という説明をしてから、パンツとおむつとどっちがいい?と聞いたらおむつのほうを選んだので、まあ本人もそれなりに無理な頑張りをしていたのかもしれない。

それともうひとつ。
支援学校判定が出た場合でも、親が希望すれば支援学級に行くことはできる。最終的には親の希望が通るからだ。
ただ、最寄りの小学校の場合、入学してから期間未定で親の付き添い(登校から下校まで)を求められるらしい。遠足的なものやプールにも、親の付き添いが必要らしい。
あたかも「特別に支援学級に入れてやるから、親が付き添えよな」とでも言わんばかりに。
それは何か根本的に違うんじゃねーの?という疑問はある。

ひとまずは、今の時点で書けるところまで、ということで。

(2017年7月9日記)


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