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現在の一方的な「インバウンド再開」礼賛に物申したい

過去に観光業に携わっていた身からすると、インバウンドの再開は一つの希望の光だし、そこから日本の観光業やインバウンドが復活することをとても期待している。

だが一方で、視点が浅い記事が散見され、どうしても物申したかなってしまった。

例えば今連載されているNewsPicksのオリジナル特集「ようこそNIPPON」について。
連載3回目となる「【新】観光開国でチャンス。「起業・副業・兼業」アイデア7選」

こちらには「観光業の難しいところは、観光客と事業者と地域(住民)がステークホルダーにいるのに、それが理解されていないところ。
また誰しもが過去に旅行経験があるため、自らの体験を通して一端の意見を言えます。製造業については、誰もが半導体や製鉄の製品について、持論を展開することはないですよね?
本記事で言うと、もう一度観光バブルを期待するような浅い記事のように感じました。少なくともフードツアーを取り上げるなら、それによりどのようなマナー問題(オーバーツーリズムとは単なる混雑だけを意味しません)が発生し、地域が解決したか(できてないところも多々ありますが)についても言及するべきだったと思います。
東京の方々は知らないと思いますが、京都の錦市場は食べ歩きは原則禁止です。
今の観光業は少なくともコロナ前の観光と同じ形の観光に戻さないという論調がしっかり出てきていると感じてます。ちなみに富裕層云々の問題はコロナ前から議論されてました。
NewsPicksさんとしては、深い議論を形成していくためにも、しっかりとした取材をして、偏りのない俯瞰した記事を書いていただきたいなと思います。」とコメントさせてもらった。

また1回目となる「【完全図解】観光ランク「世界一」。これから日本はこう変わる」には、

「過去に観光行政に関わっていた身からすると、オーバーツーリズムのような局所的混雑(住民生活とのコンフリクション)をどう乗り越えるかの方策がない限りは、今の状況を手放しには喜べないなと思ってしまう。
少なくとも、安くても数がはければいいというベンチャー企業(そうじゃないベンチャーは除く)が優勢だと同じ問題は繰り返してしまうのではないか。
※どなたが問題意識を持てているか、しっかりウォッチしてほしい。

それらを解決するためには、国内のDMO間の力量が均一化していくことと、ベンチャーのビジネスが成熟していくことの両方が必要だと思う。
ベンチャーのビジネスが未だに成熟に至らない理由としては、サステナブルな観光と向き合おうとしないで、短期に回収しようとするVCの責任も大いにあると思う。サステナブルな観光と向き合えないなら資金を引き上げるくらいの気概が欲しい。
一方、DMOは自治体からの距離を置いて、地域と観光と独自に向き合う(採算も取れる)組織にしていかないと優秀な人材を確保するといった面からもこれ以上の発展はない。
1番の問題は、VCが回収を急いで、対観光客のビジネスではなく、対省庁や自治体相手にビジネスをするようになるベンチャーと、そこにお金を流しておけばとりあえず安心となっている行政の馴れ合いである。
少なくともコロナ前の日本のインバウンドはこんな感じだったなと思い返した。」
とコメントした。

こと観光に関しては、思い入れが残っているため、愛情の裏返しとして厳しい指摘をしたくなる。

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