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[第35節_富山vs新潟] ‐ 『流れ』はどのようにして生まれるのか?- [21/4/24]

バスケットボールには『流れ』というものが存在する。

流れを掴んだチームは面白いようにプレーが上手くいき、
逆に流れが悪いチームはことごとくプレーが失敗に終わる。

この流れをどちらか一方のチームが掴んだ時、それは1分間で6-0といったスコアリングランになり両者のスコアに表れていく。

この「流れ」はどのようにして生まれるのか?

わかりやすい要因の一つに精神面の影響が挙がるだろう。
確かにミスが続けば次もミスるかもしれないという心理が働くことはあるし、逆も然りである。

しかし、それ以前にバスケットボールの試合はプレーの出来が次のポゼッションへと影響を与えていく構造になっている
ここに「流れ」が生まれる理由が隠されている。

そしてとある試合ではこの流れが何度も現れた。

第35節_富山vs新潟_GAME1

この試合ではどちらかの連続得点によって、短時間に5点以上の差をつけるランが頻繁に発生していたのである。

GAME1。短時間に5点以上差をつけた両チームのラン

1Q 富山8-0  (5:24~4:19)
2Q 新潟7-0  (7:52~6:34)
2Q 新潟6-0  (4:33~3:19)
2Q 富山7-0  (2:14~0:28)
3Q 富山10-4(7:21~4:32)
3Q 新潟9-0  (1:30~0:17)
4Q 新潟5-0  (7:55~5:00)
4Q 富山8-1  (0:22~0:02)

ちなみにGAME2では...
1Q 富山8-0  (9:48~9:06)
4Q 新潟7-2  (8:20~7:25)
4Q 富山20-3(7:25~2:18)

攻守を連続で成功させることによって生まれるこのランを成功させたチームは「流れを掴んでいる」と言えるだろう。
とすると、この試合では実に8回の「流れ」が発生していたと言える。

今回の記事ではこの「流れ」が起こるきっかけについて紐解きつつ、新潟戦のGAME1について解説していきたい。

やや煩雑な構成の今回の記事だが、
これがわかるとあなたのバスケットボールの試合を見る目は玄人のそれに近いものになっているはずだ。


プレーの出来が次のポゼッションに及ぼす影響

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例えばオフェンスの場合。
オフェンスの期待値はディフェンスからスムーズに移行できた時ほど高くなる。

なぜならば、オフェンスへの移行がスムーズであるほどショットクロックを多く確保できるし、さらに速攻を出せたならば相手のDFが戻り切っていない状況での攻撃などイージーなシュートのチャンスが増える。

逆にシュートを決められてしまった場合はスローインからになるので速攻がほぼ無くなり、準備ができた相手のDFに対してオフェンスを開始することになる。

そして最悪の場合にはボール運びからプレスを受け、ショットクロックを削られる場合もある。

故にディフェンスの出来はそのまま次のオフェンスの期待値へと影響していく。

これを踏まえるとオフェンスからディフェンスへも同様とわかる。
シュートを決めれば相手の速攻を消せる一方、ターンオーバーをすれば相手に数多くのチャンスを与えてしまう。

「流れ」とはこうしたバスケットボールの構造によって生まれる好循環、悪循環から起こるのである。

わかりやすくするために、ここではオフェンスとディフェンスの終わり方を4段階に分け、それによってその次のポゼッションにどのような影響があるのかを以下にまとめた。

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