[名古屋戦]ジュリアンマブンガの賢い抑え方 -第12節-
第10節。富山vs名古屋D。
両者とも3連勝で迎えた対戦。
結果は85-90、75-101で名古屋Dの2連勝となり、富山にとって悔しい結果となった。
今節を端的に言うなら、
「富山の内容は決して悪くない。ただ、名古屋がさすがだったと言わざるを得ない。」
というのが正直な感想だ。
今節は実況解説を担当した松藤貴秋さんが試合の大枠の内容を解説してくれていたため、皆様にも試合の全体像が伝わっているかと思う。
(岩沢の思ったことは大体説明してくれていた)
なので今回の記事は全体像ではなく、いくつかのポイントについて深く踏み込んで解説していく。
(彼のtwitterタイムラインにもこの試合に関する解説ツイートがあるので、気になる人は見てみるといいと思う)
1、名古屋の行った富山対策
まずは名古屋の行った富山対策である。
これらは見事に富山の弱点を突いたものだった。
■ノンシューターへは中で待ち構え、中に来れば2~3人で囲む
(宇都、BJ、スミスに加え、ラモスや水戸もノンシューター扱い)
■シューターのスリーは徹底チェック
(ドライブ、レイアップ、パスアウトへ誘導)
■マブンガを左に抜かせ、アーリーヘルプ
(※後ほど詳しく解説)
これらに共通するテーマが
「相手に苦手なプレーをさせる」
というものだ。
3Pの不得意な選手は無理して止めに行かない。そのかわり、中に来れば人数を掛けて徹底マークし、シュートにすら至らせない。
シューターは3Pを第一にチェックし、ドライブやキックアウトなど2点ゾーンのプレーへと追い込んでいく。
名古屋はこれを徹底し、具体的には下記のような状況に持っていくことを理想にDFをしていたと思われる。
KJ・晴山のドライブ、キックアウト
→ 水戸・宇都・ラモスの3Pシュート
VS
名古屋のローテーション
この組み合わせの精度勝負へ持ち込めれば名古屋のローテーションに分がある。
そして仮に決まったとしてもそれは気にする必要がない。
チームは自分達の得意とするプレーが決まると落ち着き、リズムに乗り、流れを掴む。
逆に、そうでない得点は波に乗れず、単発になりがちな場合がある。
つまり、名古屋は点の取られ方も非常に良かったと言える。
また、次に挙げるものは富山対策というよりは名古屋のチームカラーによるものだが、それらは同時に富山が苦手とする戦術でもあった。
■オールコートプレス
(特に上澤&マブンガのコンボガード時には効果抜群)
■1on1はあまりせず、P&Rとパッシングオフェンス主体
(ペイントタッチとキックアウトを繰り返し、全員が中と外を狙う)
今シーズン。最初に富山の得点力問題を解決したのがマブンガと上澤のコンボガード、そしてスミスの組み合わせである。
マブンガ 17.6pt 7.1A 6.1FD
上澤 3P 52.1%
スミス 14.1pt FG58.3% 5.9FD
しかし、このラインナップにとって最もされたくないディフェンスがある。
それがオールコートプレスである。
マブンガは安定感、上澤は突破力に乏しく、プレスからボールを運ぶのは得意ではない。
さらに、スミスにとっては早くフロントコートへ上がること、時にはハーフラインまで上がってボールを中継することはやはり得意ではない。
彼らが持ち前の得点力を発揮するのはあくまでフロントコートに入った後のオフェンスであり、その前のボール運びのフェーズにおいては意外と脆い一面がある。
さらに、ドライブ・キックアウト・スリーを全員が行う名古屋のオフェンスは、スミスを抱える富山にとって最も手を焼くオフェンスである。
(ちなみに、富山は狩野によくやられるイメージがあるが、それは狩野がいつもこういうスタイルのチームにいるからである)
これらについては名古屋が富山対策として用意したものではない。
彼らはいつも通りにチームカラーを出すだけでも、それが充分富山対策になってしまう相性の良さがあるのだ。
2、マブンガの賢い抑え方
今節、特に強烈だったのがマブンガ対策だ。
そもそも名古屋Dはリーグ内で最もマブンガを抑えているチームである。
・各対戦チームのマブンガの「EFF」「得点」「TO」の平均
滋賀 36.5 24.5点 3.5TO
京都 33.0 22.0点 3.0TO
川崎 25.5 25.0点 6.0TO
信州 25.3 19.0点 3.3TO
大阪 24.0 16.0点 3.0TO
三遠 20.5 17.0点 2.5TO
東京 19.5 21.5点 1.0TO
琉球 16.5 14.5点 4.3TO
名古屋 9.8 10.0点 5.5TO
※順番はマブンガのEFFの高い順
滋賀が最もマブンガにやられており、名古屋が最も抑え込んでいる。
解説の松藤氏も試合中に触れていたが、名古屋は彼を左に抜かせる守り方をしていた。
これについて詳しく説明していきたい。
①オフェンダーの利き腕側を塞ぐこと
実はプレーヤーの利き腕側を塞ぐ守り方はバスケットボールの構造上、意外と効果が大きい。
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