[第25節_富山vs千葉(前編)] ‐ B1制覇の手掛かり -[21/3/6]
3月6日。
Bリーグ第25節。GAME1。
富山は96-80で千葉からBリーグ発足以来初の勝利を挙げた。
この日の富山はチームディフェンス、チームオフェンス共に東京戦が嘘のように機能し、千葉を圧倒した。
しかし、千葉も強い。
富山は変則的な2-3ゾーンで抑えに掛かるが、千葉はしぶとく得点を重ねていく。
千葉も富山に簡単なシュートを許さないが、岡田侑大が止められない。
試合は一進一退の展開。
先に流れを掴み、リードを奪ったのは富山だった。
そこには富山がB1を制覇する手掛かりもあった。
今日はそんな両者の駆け引きと、富山がB1を制覇する手掛かりについて解説していきたい。
【GAME1】
15 1Q 17
29 2Q 19
31 3Q 23
21 4Q 21
富山 96 F 80 千葉
1Q _攻撃特化の富山がDFで喰らいつく
この試合はリーグ内の平均得点1位 vs 2位の対戦カードということもあり、激しい点の取り合いになることが予想された。
しかし実際はこの大方の予想に反し、1Qは15-17と両者ロースコアでスタートした。
その理由は富山の攻守にあった。
・15点と低調ながら内容の良かった富山のオフェンス
1Q、富山はFG5/16で31.3%。3Pは1/8で12.5%と低調。
しかし、この数字とは裏腹に内容は非常に良いものだった。
東京戦同様、スミス選手はこの日も身体的なコンディションが万全ではない様子でシンプルなバックダウンからのゴール下を決めきれない。
しかし彼はそんな自分の状態を理解している様子で、スペースの広い好条件の1on1以外は無理に攻めなかった。
そして、マブンガ選手にもこういった我慢は見られた。
前回の東京戦では痺れを切らし、ボール運びからチャンスメイク、シュートまでを自分一人でやろうとしてしまい、他の選手の仕掛けの機会を奪ってしまった。
しかし、この日はボールハンドルを宇都選手に任せてフォワードに徹し、時間が無くなりチームが困るまでは味方の最善のシュートを探した。
彼は自分の1on1にこだわり過ぎず、得点チャンスのある選手へと球離れ良くパスを供給していく。
これによって攻め過ぎて疲弊する選手も、攻められなくて冷める選手も生まれない。
チームで均等にボールをシェアし、各自が自分のプレーを試せるオフェンスを作り続けていた。
それらのシュートは中々点に繋がらなかったが、5人が足並みを揃えながら状態を上げていく、次につながるバランスの良いオフェンスを継続していた。
さらにこの日の富山はフリースローでも高い集中力を見せる。
琉球戦のようにフリースローミスで主導権を渡してしまうことなく、このクォーターを5本中4本決めた。
その結果、FG5本ながら15点と食いつなぎ、ターンオーバーをたった2本に抑え、千葉に簡単に速攻の機会を与えない事にも繋がった。
・各自のエナジーが連動するチームディフェンス
ディフェンスにおいても東京戦の反省が活かされており、富山は非常に集中していた。
ここでもマブンガ選手、スミス選手に我慢が見られた。
マブンガ選手は前回頻発していた過剰ヘルプをせずに富山のディフェンスルールの範囲内でヘルプをする。
スミス選手は変わらず万全の体調ではないが、それを受け入れた上で自分にできる範囲までのDFを集中して行った。
これらにガード、フォワード陣もむやみに個人がエナジーを出すのではなく、味方の動きを見ながら正しいローテーションでハードにDFをし、全員のエナジーがバトンのように連動していく。
富樫起点のP&Rに対してもスリーへコンテスト(シュートチェック)できる間合いを維持しながら対応し、千葉のオフェンスを10分間で17点に抑え15-17と喰らいつく。
目先の失点を恐れ、一人で勝手にルールを崩してしまえばそれは収拾がつかなくなる。
まずはチームのルールでディフェンスをし、相手の反応を見る。
その上で修正するべき点をチーム内で擦り合わせ、ディフェンスルールの変更を、全員が足並みを揃えた状態で行っていく。
富山は各々が個人能力にあぐらをかかず、丁寧に、我慢をし、チームで試合を作っていた。
2Q前半_千葉を苦しめた変則2-3ゾーン
富山はこの試合の多くの時間、2-3ゾーンディフェンスを使用していた。
2-3ゾーンでは、ハイポストへ中央のスミスが寄ってしまえばゴール下かコーナーが空く。
千葉がこれをしっかり決められることを確認した富山は、これに変則的なローテーションを加えた。
それがこれだ。
これによって富山は千葉のオフェンスを惑わせようとした。
(もしかしたら岡田とマブンガだけでなく、全体でマンツーへチェンジングしているのかもしれない)
ただ、見る限りこのマブンガと岡田が入れ替わる変則シフトには発動条件がある。
①サイドからハイポストへ寄るのはマブンガ選手のみ。
②マブンガがハイポストへ寄るのはダンカンorエドワーズorサイズ選手が入ってきた時のみ。(原や富樫が入ってきた場合は放置)
③ダンカンorエドワーズorサイズ選手がハイポストへ入ってきても、マブンガ側のローポストにもう片方のビッグマンがいたならこの場合も寄らない。
つまり、この変則シフトはなるべくビッグマンに対してビッグマンが対応する形で行われているのだ。
これは恐らく、仮にシュートを外させても、リバウンドシチュエーションでミスマッチがそこら中に生まれていたら失点に繋がる可能性が高いので、それを防ぐためだと思われる。
その為、原選手や富樫選手がハイポストへドライブしてきた場合はマブンガは寄れず、ハイポストエリアのシュートかそこからキックアウトされるスリーかのどちらかを捨て気味にせざるを得ない。
この変則シフトが使えるケースでは上手くいっていたが、ガード陣がハイポストへ侵入するケースでは特に原選手がしぶとくこのシュートを決め、中々このゾーンがハマらなかった。
しかし、富山もチーム内で最初に当たりが出始めた岡田選手が独力でシュートをねじ込み続け、試合はオフィシャルタイムアウト時点で30-30と一進一退の展開。
そしてここから試合が動く。
富山はこの2-3ゾーンを変えずに我慢を続け、その代わりハイポストへのドライブに至るまでのプレッシャーを強めた。
それによって乱れた状態でハイポストを打たせるであったり、スリーへのキックアウトを乱れさせるであったり、選手によって捨てる場所を変えるなどで千葉のシュート確率が落ちるのを狙った。
そして千葉が2Qの後半に4回連続でシュートミスをした。
2Q後半_富山の極悪オフェンスの完成形
ここから先は
¥ 100
この記事が参加している募集
頂いたサポートは、執筆環境、グラウジーズ観戦費に当てさせていただきます。