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[第20節_富山vs秋田]‐ クセが凄い。最後まで続く我慢比べ -【ライト層版】

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第20節。東地区同勝率で迎えた富山vs秋田の対戦。
結果は74-64、79-76で富山が辛くも勝利し、秋田に2ゲーム差をつける形となった。

今回はライブ視聴していた筆者も全く予想のできない試合だった。
情報量が多すぎる試合だった為、今回は長くなってしまったので、時間のある時にゆっくりと楽しんでいただければと思う。


【GAME1】

20  1Q  12
15  2Q  13
22  3Q  13
17  4Q  26
  富山 74   F    64 秋田     


【前半】ブロックを量産する秋田のDFの仕組み

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・秋田のDFの特徴①

秋田のDFはボールが止まったとき、間合いを詰めてパスコースを制限しつつあわよくばスチールも狙ってくる。
それと同時に2線、3線も締め上げてくる。

DFというのは間合いを詰める途中が最も無防備である。
オフェンス側方向への推進力がある状態はカウンタードライブへの対応が難しくなる。
しかし、間合いを詰め切ってオフェンスと密着した状態になるとパスを制限しつつオフェンスの1歩目を潰す事ができるため、DF有利になる。

故にこういう時は詰め切られる前に抜き去るのが正解なのだが、もしもその時オフボールの4人が準備を出来ていなければフロアバランスの悪い中へ移動することとなるので悪手となる。

そのためボールを保持した選手が、ウイングやセンターのチャンスメイクを待つ時間を生じさせてはならない。

ボールを停滞させることなくスムーズに5人がプレーを繋げていく必要がある。

・秋田のDFの特徴②

秋田の1線のDFは1on1DFを仕掛けているようで実は1on1で止めようとは思っていない。
彼らの本命はパスの視野を遮断し、ドリブルにもある程度ストレスを与え、"レイアップにしか行けない状態" にさせた相手を3線のブロッカーまで送り届けることだ。

彼らがリーグダントツの一試合平均4.7ブロックであること。
アレックス・デイビス(2.7本、1位)、カディーム・コールビー(1.6本2位)らがブロックを量産できるのは実は彼らのブロックの上手さだけでなく、こういった秋田のガード陣のDFによるアシストの部分もあるのだ。


・影響を受けたフリースロー

この日は第1Qから宇都、スミス、橋本と3人がフリースローをもらったが、3人とも1投目を落とした。

ハードなDFとコンタクトによるファールは体に力みを生ませる。
富山の選手たちはこの影響を大いに受けていた。

1投目と2投目でシュート動作の力みが明らかに違うので、気になる人は確認してみて欲しい。
これらによって、富山の前半は35得点に留まった。

【前半】富山も鍛えた2on2DFで粘る

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得点では35点とローペースに終わったが、それでも10点リードとしたのが富山の2on2DFだ。
特に、スミス選手が完璧にマスターしたと言わんばかりにP&Rをショウとドロップを使い分けて対応し、最初の5分を2点に抑えた。

3P多投の信州、高精度かつバリエーションのある東京のP&Rに鍛えられた富山にとって秋田のP&Rは単調で守りやすかっただろう。

しかし、秋田は2Qにはホーンズ→ハンドオフ→スペインP&Rという高難易度なフォーメーションを行い、これを成功させる場面もあった。
こういった攻撃の精度が高まってくれば秋田は渋谷同様に危険なチームになってくるだろう。

【3Q】見事な修正で富山が一気に決める

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・富山側のオフェンス

富山は前半の内容をしっかりと修正。
ボールを保持した選手が持ち続ける必要がないようにオフボールのフォワード達がスムーズに連動していく。
早いパス経由でクリアな1on1を作り、徐々に持ち前の得点力を発揮。
一気に点差を離していく。

富山のようなオフェンシブなチームはリードを持ち、1on1の成功を体験してリラックスしてしまうと途端に得点が止まらなくなる。
一方こうなるとディフェンシブな秋田は厳しい。
東京のように点の取り合いで競り勝つ見込みが薄く、辛い展開となる。


・秋田側のオフェンス

これはシンプルにシュートが入らな過ぎた。
2on2、P&RからDFをスクリーンに引っかけて処理し、フリーのシュートを作れていて、シュートセレクトは全く問題なかった。
が、こういったフリーのシュートがとにかく入らなかった。

全ての戦術の終着点は"フリーのシュートを作ること"である。
故にフリーのシュートが入らなければ戦術は成り立たないのである。

古川選手達の躊躇なくシュートを放つ様子を見る限り、恐らく普段は入る選手達なのだろう。
しかし、外れ方を見ていてもリングに嫌われているというより明らかに自分のリズムで打てていない力みがあり、ほとんどがリングの外側に当たって外れていた。

秋田はしっかりとした強固なディフェンスというチームカラーを持っているが、オフェンスに関してはこういった悪い流れから立ち直るほどの安定感が無いようだった。

しかし、これが後に富山にとって脅威となる。


・57-38というスコア

第3Qは57-38で終了した。

4Qで21点差がひっくり返ることは無い話ではない。
しかし、3Q終了時のスコアが57-38なのと80-60なのとではその確率が違う。
各Qで20点取れている時の21点差と、12~13点しか取れていない時の21点差では点差の重さが違うのである。

この試合のように良くてせいぜい1クオーター当たり10点後半という試合では、4Qに逆転できるボーダーラインはせいぜい9点差程度。

故に事実上、この時点で富山は勝負を決めた。

【4Q】静かなクロージングセレモニー

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・決まった試合の戦い方

基本的にはこういう時、水曜日にゲームがある点からもメンバーを下げてタイムマネジメントを図る。
しかし、秋田であれば話は別だ。

このチームとは同じカンファレンスであり、シーズンの最後まで勝率で競る可能性が高い。故に富山はさらに点差を付けて勝利したい。

秋田はオフェンスが停滞しすぎているので明日の事も考え、点差よりも内容を重視したい状況。
富山はここを好機に点差にこだわって勝ちたい。

しかし10分後。
この試合はこれまでとは打って変わり、スコアは64-74の10点差で終了した。

一体何が起こったのか?
とある2つの要因によって試合は秋田の流れで終えることになったのだ。

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