南部鉄器プチ講座〜材料と作り方とお値段と〜
こんにちは masaccoです。
暮らしたい「我が家」について、気負わず考えてゆきます。
週末の朝、平日よりはゆっくりめ。
ゆっくりめとは言っても2歳児がいるので、ぼーっと座っていられるわけではありませんが、鉄瓶で淹れたアールグレイティを味わえるくらいの余裕はあります。
先日、夫は、講座設計を担当した京都造形芸術大学の藝術学舎「東北の暮らしと芸術(2018 冬)一南部鉄器一」に同行して盛岡の岩鋳さんへ。
夫「いや~、良い講座だった~。」
私「へー。」
夫「鉄瓶には、正面と裏面があるって知ってた?」
私「え?正面と裏面?」
夫「茶道の茶釜にルーツがあるから、亭主が右手で持った時、客から見える方が正面。要するに、鉄瓶に向かって注ぎ口が右側にくる方が正面なんだって。」
(我が家にあるあられ模様の鉄瓶で実演する夫)
私「へー!」
夫「図柄は正面にしか描かないらしいよ。アラレ模様だと分からないけどね。」
我が家の鉄瓶にアラレ模様を選んだのは、南部型鉄瓶を代表する模様だからと夫。
夫「それに、鉄瓶には伝統工芸の技が3つ入ってるらしいよ。もちろん、1つは金属工芸だけど、型をつくる時の陶芸、それに漆芸も。」
私「え?漆?鉄瓶って、漆が塗ってあるの??」
夫「そうだよ。」
私「なんで?」
夫「仕上げの塗装。黒とか赤茶とか。塗らないと銀色だよ、鉄の素材の色。」
私「へーー!あ、カラー鉄瓶とかあるよね。パステル系だったかな。何かの記事で紹介されてるの見た。」
夫「うん。あの色は漆じゃなくて化学塗料。あと、あれは鉄瓶じゃなくて急須。鉄瓶は伝統的工芸品に指定されてるから、カラーのものはないよ。」
私「へーーー!」
ちなみに、「急須」は内側がホーロー仕上げなので「直火不可」なのだとか。
我が家で「鉄瓶」と呼んでいるのは、正確には鉄瓶兼用急須という、急須サイズで茶漉しも付いている「直火OK」のもの。
▲漆の焼き付け塗装の様子
右側に積まれている銀色のものが塗装前
夫「原料となる鉄には2種類あって、鉄鉱石からとれる鉄と砂鉄の鉄がある。砂鉄の方が硬いから、お湯が湧いた時に蓋が蒸気でカタカタとなる音がキンキンキンって感じで高い音がするんだって。風鈴みたいな。」
私「へーーーー!なんかいいね。」
夫「砂鉄が原料の鉄瓶は材料が希少だから、当たり前だけど高価になる。今は全体の1割くらいしかつくってないらしい。」
私「へーーーーー!」
夫「もちろん、手仕事か機械かでも値段がかわる。」
私「なるほど。」
夫「例えば、手仕事の場合は、この鉄瓶のアラレ模様をひと粒ずつ手でつけていく。」
私「うわぁ。大変そう。つまようじみたいな棒でつけていく感じ?」
夫「そう。手仕事か機械かの見分け方はね・・・」(まだまだ続きます。)
▲鋳込みの様子
鉄瓶の価格にはかなりの幅があるけれど、その理由はしっかりと材料と手間にあることが分かります。
夫「受講者の中に5万円くらいの鉄瓶を買って帰った人がいたよ。以前、別のお店で買おうとした時は20数万円したと言ってた。岩鋳さんにも100万円以上する茶釜も売ってたよ。」
私「すごっ。そっかー、その人は講座で色々知って納得して買われたんやね。なんかいいね。」
夫「うん。ちなみに受講生の半数以上が鉄瓶を持ってた。」
私「おぉ。」
夫「先生にはメンテナンスの話もお願いしてるんだけど、やはり関心が高い。先生が長年使っている鉄瓶は、鉄さびのコーティングが綺麗に出来てて、水を入れたままにしても錆びないらしいよ。」
私「へーーーーーー!みてみたいな。メンテナンスを楽しむ暮らしっていいな。我が家も少しずつそんな風にしたいな。」
我が家の鉄瓶は機械生産&化学塗料のエントリーモデルでお湯をわかしながらお茶も紅茶も出来る便利な鉄瓶。
アラレ模様もお気に入り。