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私がスタートアップ企業の経営(≠起業)に活用してきた10冊

私が影響を受けた名著をご紹介するシリーズ第3弾です。

第1弾は ジェネラリストな私を形づくった10冊(社会人10年目までに読んでおいて良かった本たち)を、第2弾では 生産性について考える(考えさせられる)10冊をご紹介しました。

シリーズ最後となるこの記事では、スタートアップ企業の経営という今の仕事をやる上で、影響を受け、直接に間接に役立てている書籍をご紹介したいと思います。
私は起業家ではないですが、0→1を考えると同時に、どうやったらスケールさせることができるか、に頭を捻ってきました。
今回紹介するのは、そんなときに参考にした先人の知恵・知見です。

(最後に告知あります)


理論的裏づけを持つ

スタートアップや新規事業の立ち上げ時には過去の実績データがないのはもちろん、そもそもマーケットが存在しておらず市場データがないことも多い。顧客もいなければ、チャネルも存在しない。

そんなときに何を拠り所にするか?
もちろん自分たちが信じるビジョンということになるのだけど、それだけではやはり心もとない。
そんなときに心の拠り所にしたことが個人的には2つあって、ひとつは世の中の流れ。いわゆるビッグトレンドというやつ。世の中はこっち方向に動いていて、この流れは不可逆だよね、という感覚。こっち方向に張ってる限り、間違いないだろうと。

そして、もうひとつが理論的な裏づけ。世の中の仕組みがこうなってるんだから、これからはこうなるのが当然だろうと。もちろん理論が完璧に当てはまる状況なんてあり得ないので、そこは割り引いたり差し引いたり、いろいろ考慮しなきゃいけないんだけど、大枠で「そもそも、世の中そういう仕組みになってる」というのは、何もないときの心の拠り所になる(というか、拠り所にした)。


『イノベーションへの解』  クレイトン・クリステンセン

ビジネスコラボレーションという古くから存在している市場で、リソースがふんだんにある既存プレーヤーと、どう戦うのか。
私が、戦略の基盤を考えるときに、理論的裏づけとして参考にした一冊。

もともとは「ジェフ・ベゾスが幹部に必ず読ませる3冊」(ホントかどうかは知らない)に入っていると知ったのが、読んだきっかけ。クリステンセン教授の著作は論文感が強くて読みにくい(そもそも論文だから当たり前だ)のだが、『イノベーションのジレンマ』よりも、こちらの方がビジネスパーソン向けで、読みやすかった印象。


『ブルーオーシャン戦略』  W・チャン・キム、レネ・モボルニュ

リソース(ヒト・モノ・カネ)が圧倒的に不足しているスタートアップが、既存プレーヤーと戦うときには、どうしたって競争の軸をズラす必要がある。
相手が力を入れている部分ではガチンコ勝負をしない。
既存プレーヤーが満たせていないポイントに価値を置いている顧客セグメントを狙う。
そんな考え方の基盤になるのが、この一冊。

実は、この本で紹介されているフレームワークは、コンサルティングの現場で使っていた(本を読んで、後から知った)が、きっちりデータを押さえた当時と違って、フレームワークとして参照した程度。

今あらためて考えると、もっと参考にすれば良かったかもしれない。



定石を知る(経営・戦略)

『キャズム』  ジェフリー・ムーア

普及曲線は、テクノロジー系の企業であれば誰しも一度は使ったことがある鉄板フレームワークだと思う。ちなみに、原典は エベレット・ロジャースの「Diffusion of Innovation (イノベーション理論と言われる)」で、それはそれで参考になることは多く、特に新たなアイデアや技術を個人が採用するために必要な5つの要件は、知っておいて損はない。

で、その理論を踏まえて、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にある崖(キャズム)の越え方を解説したのが、こちら。

正直に白状すると、普及曲線を使ったり、アーリーアダプターやアーリーマジョリティという言葉を多用していたのに、キャズムの越え方をちゃんと理解したのはつい最近、この本を再読してから。。。もっと早く、ちゃんと読んどけば良かったと後悔している。

増補改訂版がKindleで半額のようなので(2020/8/15現在)、未読の人には良いチャンス。


『Startup Owners Manual (スタートアップ・マニュアル)』  スティーブン・G・ブランク

Yコンビネーター』とか『ゼロ・トゥ・ワン』とか『HARD  THINGS』とかも、もちろんいいんだけど、私にとって参考になった度合いが高いのはこれ。

自分がスタートアップに行くなんてこれっぽっちも思っていなかった大企業勤務時代に「へぇ~、こういう世界もあるのねー」と思いながら、のんびり通読したのが良かったと、しみじみ思う。この本のキーメッセージは、スタートアップはスモールビジネスではないし、大企業の縮小版でもない。
スタートアップに行ってから読むのはしんどいので、事前に読んでおいて、あとで参考資料として使うのが適切。
(今なら『起業の科学』が同じ使い方ができて、もっと便利なのかもしれない)



定石を知る(マーケティング)

『グロースハック』  梅木雄平
『インバウンドマーケティング』  ブライアン・ハリガン、ダーメッシュ・シャア
『いちばんやさしいグロースハックの教本』  金山裕樹、梶谷健人

おそらくどれか1冊読めば事足りると思う。私は、たまたま前職(マーケティング職)のときに読んでいたので、折に触れて参考にしている。

グロースハック的アプローチは、もはや定石となっている(競合や他プレーヤーが実践している)と考えた方が良くて、顧客の期待値がそこにセットされてしまったら、実践しないと単に比較劣位になってしまう。B2Bの世界もジワジワとそうなってきている。



難しい意思決定こそが経営の要諦だと理解する(思い知らされる)

『巨象も踊る』  ルイス・ガースナー
『小倉昌男 経営学』  小倉昌男
『カルロス・ゴーン 経営を語る』  カルロス・ゴーン

スタートアップの経営とはまったく関係なさそうに見えると思うが、経営者という仕事について考えさせられた3冊を挙げたい。

著者たちは、社内で大きなポーションを占めていた既存事業を捨てて、新事業にリソースを突っ込むという意思決定をしたり、瀕死の企業を立て直すために大胆な意思決定をした経営者。

各企業ともその後の変遷はあれど、彼らが経営(意思決定)したことで、業績やビジネスモデルが劇的に変わった。IBMと日産はほぼリアルタイムでその変化を見ていたので「経営者が変わると、企業はこうも変わるものなのか」と実感したし、ヤマト運輸は1ユーザーとして「このときのこの決断があったから、今のヤマトがあるのか」と驚いた。

以前ご紹介した三枝3部作と同様、「自分がこの状況に置かれたら、この意思決定をできるか?!」と考えながら読むのがお勧め。
『いや、これは無理ー (;´・ω・)』と思いながらも、読んでいて鳥肌が立つ。
最近だと『破天荒フェニックス』とかが同じ感じなのかな。読んでないのでわからないけど。



私とオンライン読書会、やりませんか?

シリーズ3記事をとおして、最近の若者が知らなそうな古典的名著を多めに紹介してきました。
あなたの興味のアンテナに引っかかった本はあったでしょうか?

さて「ペア読書」という読書法をご存知でしょうか?
聞いたことはありましたが、私もつい最近やり方を知りおもしろそうだなーと思っています。

ペアである意義の大半がピアプレッシャーなら、実は3−5人でもいけるんじゃないかと思ってます(ピアプレッシャーがきつかったビジネススクールのグループワークも大抵3−5人)。

そこで私自身も初体験ではありますが、4−5人くらいで読書会(オンライン)をやってみたいと思います!
自宅からリラックスした環境で参加できるし、好きな飲み物を手元に用意できるし(お酒も可)、気楽にできそうじゃないですか?
やり方はペア読書風に、30分ほど黙々と同じ題材を読み、その後1時間ほど全員でわいわいディスカッションするイメージです。
題材はこれまでにご紹介した30冊の中から選び(参加される方の意向次第ですが)、日程は8月下旬から9月上旬あたりを想定しています。

(追記)

#カタノリ 読書会と題して、継続的に開催しています。ご興味ある方は #カタノリ で検索、またはカタノリFacebookグループ(プライベートグループ)へご参加ください。

https://twitter.com/Masa_Hagiwara


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