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自分の生産性について考える(考えさせられる)10冊

社会人10~15年目くらいの時期、コンサルタントだったこともあり(訳:忙しくて死にそうだったので)、どうやったら自分の生産性を高められるんだろう、ということに、ものすごく敏感になった。

世界トップレベルのノウハウが社内に蓄積されていたので、仮説思考とか分析の仕方とかスライドの作り方といった内容は、いくらでも吸収し実践できた。

それでも、自分に足りないところがたくさんありすぎて、日々苦しんでいた(本当にツラかった)。そんな当時の自分が良い刺激を受けた本、印象に残った本を10冊、ご紹介したい。


考える

そもそも「考える」とは、どういうことなんだ?という問いにぶつかってしまったときにお勧めしたいのは、「考える」の達人たちが書いた本だ。
哲学的な考える(思索)ではなく、原因や実現手段を考える(思考)の方ね。

例えば、意外かもしれないが、民族学や文化人類学とコンサルティングワークは、とても近しいアプローチを取る。どちらも、純粋なサイエンスのように、再現性のある実験によって検証することができない。また、非常に複雑なシステム(生態系や組織など)を扱うため、モデル化することが難しい。

そういったなかで、どうやって断片的な情報を整理し、それらを統合して、ひとつの仮説をつくっていくか、というアプローチについて、まったく異分野の先人たちから学べるのだ。

日本が誇る偉人たちの発想法や技術に触れてみるのは、けっして悪くないと思う。

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(「発想法」 より)

『発想法 創造性開発のために』、『続・発想法 KJ法の展開と応用』 川喜田二郎


『思考の整理学』  外山滋比古

同様の例は、さらに異分野にもある。著名な英文学者が書いたこの本は、たしか東大の生協で数年連続売上No.1、なんと累計245万部売れてるそうだ。
目次から一部を抜粋してみよう。

醗酵(発酵)
触媒
アナロジー
セレンディピティ
情報の”メタ”化
つんどく法
時の試練
とにかく書いてみる
拡散と収斂

ね、noteユーザーのあなたなら、興味をそそられるでしょ?
自分の考えを整理したい、アイディアがまとまらない!という人にお勧めしたい一冊。

読んでいて、おもしろい!ワクワクする!という印象だった本なので、書いてるだけで、また読みたくなってくる...


『使える弁証法 ― ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える』  田坂 広志

「物事は、螺旋的に発展する」

この本で述べられているのはこれだけ、と言っても過言ではない。たったこれだけなのに、ものすごく奥深く、新たな視点を得られる一冊。

時代は一方向に進んでいるように見えるが、流行は数10年ごとに繰り返される。
技術は大きく進化しているように見えて、本質的には似たような課題をちょっと違う形で解決しているだけ。

こういった現象が気になる方には、一読をおススメしたい。

きちんと哲学を学んだことがないので、これをもってヘーゲルを語っていいのかは判断つかない。ただ、ふとしたときに自分の考えを整理するのに役立っていて、私にとって良い学びになったことは間違いない。



インプット → アウトプットの習慣

現代のビジネスパーソンはすべからく「知的生産者」だろう。
だとすると、その先駆者から学べることはたくさんあるはず(と、20年くらい前に思った)。
さすがに、古典で紹介されるテクニックがそのまま使えることはあまりないが、その精神やアプローチから学べることは多い。
安定的に生産性が高い状態を維持しようと思うなら、日々のインプットや生活習慣が大事だと、先人たちは言っている。

『知的生産の技術』 梅棹忠雄

このような整理や事務の技法についてかんがえることを、能率の問題だとおもっている人がある(中略)これはむしろ、精神衛生の問題なのだ。
知的生産の技術のひとつの要点は(中略)日常の知的活動にともなう情緒的乱流をとりのぞくことだといっていいだろう。
努力によってえられるものは、精神の安静なのである。


『知的生活の方法』  渡部昇一

この本の初版はスマホはおろかパソコンすら普及していなかった50年前(1976年)なのだが、著者が引用している『知的生活 (Intellectual Life)』という本の初版はさらにその100年前(1873年)で、その内容がいま読んでも、なるほどー!と唸らされる内容だったりするからおもしろい。

知的生活を志すような人は、はじめっから時間を無駄にすることに無頓着ではない。だから時間をいかにも無駄に使っているように思われるぶんには大した問題にはならない。たとえば友達と一晩飲んだとか(中略)いうのは、まったく無駄な時間のようであるが、気晴らしや気分転換にもなっているので、大したことはない。危険なのはまさに勉強なのだ。
(中略)
やっている当人は勉強をしている、つまり、いいことをしている気になっているのだから、時間を浪費しているという反省がない。だからほんとうに危険なのだということになる。

ほかにも、理想の書斎レイアウト(今ならテレワーク部屋か)が紹介されていたり、本を身銭で買うことの大事さが説かれていたり、時間を金で買えと言っていたり、意外と現代にも通じる内容が多いからこそ、40年以上読み続けられているのだと思う。



タスクを整理する

『ストレスフリーの仕事術』、『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』  デビッド・アレン著、田口 元監訳

「考える」ことについて自分なりのやり方が見えてきたころ、事業会社に移ったこともあり、違う種類の忙しさや悩みを抱えるようになった。

ひとつのプロジェクトに集中して取り組めるコンサルティングワークと違って、事業会社ではものすごくたくさんのイシュー(のようなもの)に囲まれる。優先順位が低そうに見えても、自分がやらなければ止まってしまう業務もあるわけで、「これはイシューではない」なんて言っても仕方ない。大小さまざまな大量のタスクをどう処理していくかは、切実な課題だった。

そんなときに取り組んだのが、GTD (Getting Things Done) という手法。今でもこの手法は自分のタスク整理術のベースになっている。



決める

『正しく決める力』 三谷 宏治

どんなに考えを整理し、生活を整え、タスクを整理したところで、実はこれができなければ、生産性は上がらない。
著者いわく、「超基本」でありながら、ほとんどのヒトができていない、基本の技3つが紹介されている。

①考える = 「重要思考」大事なコトから3段階で考える
②議論する = 「Q&A力」大事なコトを問う・答える
③実行する = 「喜捨法」捨てることを強制する・楽しくする

著者はバリバリのコンサルタントでありながら、わかりやすい表現と柔らかい語り口調でスイスイ読み進められる一冊。
どうやら私が持っている版は絶版で、こちらが改訂文庫版のよう。



効果的に生きる

『7つの習慣』  スティーブン・R・コヴィー

生産性について考えるとき、この本はどうしたって外せない。小手先ではなく、本当の意味で「効果的」とはどういうことか、グリグリと問われる。ちなみに、原題は 『The 7 Habits of Highly Effective People』だ。生産性が高いということは、目的達成に対して効果的に進んでいる、ということ。あなたが「効果的」であるとはどういうことか?を、ふかーく掘り下げられるので、人生のいろんなことを突き付けられて(笑)、なかなか読み進められないのが難点。

正直に白状すれば、過去に読んだときはあまり頭に入らなかった。最近、あらためて「完訳版」を読んでいるのだが、ようやく咀嚼できるようになった気がする。

ちなみに原書なら Kindle で610円、お買い得。Unlimited対象にもなってる。英語にチャレンジしたい人はどうぞ。



次回予告

こうして自分に影響を与えた本を振り返ると、またあらためて読み返したくなる。多読も良いけど、ときおり自分にとっての「古典」を読み返すのも悪くない。
なお、関係者の皆さんは、私がこれらを実践できてなくてもスルーしてください。切実にお願いします。

さて、あなたに刺激を与えた本は何でしたか?コメントで教えてください。
Twitterもフォローしてもらえるとうれしいです。
https://twitter.com/Masa_Hagiwara


名著シリーズは次回で最終回になるはず。
まだ紹介できていない、マネジメントや経営を目指す人にとって参考になる名著や経営者の著作をご紹介します。

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