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IT業界の人々

毎日、電車に乗っていると仕事では絶対関わらないような人達がいっぱいいて、何やら動物園にいる気分になりますね。ドア脇(実態は出入り口の端)に立って、人の通る方向に向けてスマホやバッグを突き出す人とか。そもそもほぼ片方しか開かない路線でそこまで混んでないのにドアを1/3とかふさいで突き出したスマホに夢中な人とか…。知り合いに見られたら恥ずかしいものでもないのかねぇ。ゲームで顔真っ赤にして連打してる人とかね。

今回はIT業界の人達です。これは最初から上位層の強々ガチ勢でなく、ずっとコーダーでもなく、未経験でIT業界に入り一歩ずつステップアップして最終的に海外でコンピューターサイエンス修士号取得して上場目指してスタートアップで働いている人間の見てきた各層の人達の話です。非常に主観に満ち満ちていますし、人の数だけ見える形が違うのをご承知おいた上でお読みください。

技術力と人間の思考力と言うかまともさは結構比例していて、できる人が増えると当然周りが見えるまともな人が増えるものなのですが。

今回は4層構造と区分して、どのような業界でどんな人たちが多いか、という話です。繰り返しですが非常に主観的な話なので、ご参考までに。特に、IT業界に未経験で挑戦している人は頑張る活力になると良いです。

結論だけ先に言ってしまうと、他業界から来て、「エンジニア話通じなくてヤバい」と思う人は技術力を磨きつつ経験を積んで上の層に上がることをお薦めします。上がり過ぎて努力しても話についていけないとかは辛いかもですが、相手に話が通じないと感じたりするなら、通じる環境で働いた方が人生は楽になります。

第1層(入門層ー裾野)

SESや受託を中心に"他の会社の仕事"を手伝うことで収入を得ている会社が中心です。ぶっちゃけ、その業界の元請けとかも入れていい(本人達は格上のつもりだろうけど)と思う。

ここにいるのは玉石混交です。ここから成長していく人もいますし、技術力が低くてもお金がもらえるのでぬるま湯でゆでガエルができやすかったりします。会社で一番できる、まで行っても要求が低いので上の層に行くと基礎すら知らないの?という扱いになります。技術選定に関する基本的な知識がないので、誤った選択をすることも。あるべき姿のコードではなく、表面的に要求を満たすように動いているコードがそこにあります。地雷が多く、結構踏んで障害出します。リリースと障害はセットです。技術力は基礎構文を書くのに慣れて有名なライブラリをググりながら使うレベルが上限辺りですかね。新しい技術より熟していてノウハウが多い(いわゆる枯れた)言語やフレームワークを選び、検索やchatGPTでもなんとかなりそうな仕事が多いです。結構話が通じません。レビューでコメントしても理解できなかったりします。

15年ほど前ですが、他社でインド人下っ端社員が他の人がいないから会議に出て勝手にお客さんと仕様を決めてきてキレられてるのを見たり。中国にアウトソーシングしたら、必須機能が実装されてなくて、勝手に便利機能が足されてたという話もありました。Excelでテスト管理したり、人海戦術が取られたりします。元請けは設計と言う名前のメモを投げつけて自分で実装できないからテキトーな見積もりで現場が燃えることも度々。マネージャがキレて怒鳴り散らしたり。社会人ってやるべきことやるだけで評価されるんだな、と思った記憶があります。常に期待以上を目指してはいますが。

その反面ここが未経験者や文系エンジニアの受け皿になってたりすることも多かったです。最近、インフルエンサーがSES叩きすぎてSESの未経験受け入れが渋くなってるとか聞いたりしますが、結局相応で始めるなら最初はここです。背伸びは良いけどジャンプしないと見えないレベルの層に入ると怪我します。当然ですが、入口の層なので一番人数の多い層です。コーディング試験よりポテンシャル採用や人柄を重視したりします。文句言わずに残業するような人の良さが評価されたりします。採用は人柄重視、とか言う人要注意です。馬車馬の騎手疑惑です。

基本的に仕事は似たようなことの繰り返しで検索すればどうにかなります(露骨に検索してコピペしただろと言う変数のコードも散見される)。2~3年もすればたいていのことができますが、やってることは土方です。設計と言う名のメモをプログラム言語に翻訳する仕事が中心で、テクニカルな解決方法はほぼなく、あってクラウド使うくらいでしょう(が、インフラがちゃんとやればあまり区別付かない)。プログラム翻訳者。広い裾野部分なので、ここは2層に分けれると思います。

給料は400万円台で壁に当たりますが、会社を選べば600万台に早めに上がれたりもします。当然、残業代をそれなりに含んでですが。企業間の取引の売上(個人間と桁が違う)から給与が出るので意外と仕事のレベルに対して給料高めだったり。ですが天井は低めです。

特に大きい仕事は納品後に支払いということもあり(今は知らないけど)体力のあるSIerしか運転資金回せず、大手が先に下請けに払った上で報酬を大きく中抜きしたりする関係か不相応な金の流れになりがちな印象。入札案件で1年後に納品して支払いとか、中小じゃ無理ですよね。そして、そういう理由で大企業が体力(資金)を理由に下に投げる簡単なお仕事で儲けるのはいかがか。ホント、そういうのはデジタル庁が元請けになって、しっかり中小でもいいもの作る会社が入っていけるといいですね。とか言って今の仕組みはよく知らないです。大きいシステムの開発依頼して月々の人件費払ったものの完成せず逃げられるリスクとか考えると変わりようがない気はする。

というか、内製にして、大元が管理して月々直接雇ってる社員に給料払う方が安く良いもの作れると思います。アジャイルで結果を積み上げていけば完成前に逃げられるリスクも減るし。この層は皆で損する(丸投げ企業だけ得か?)構造の中の人になりがちです。

第2層(駆け出し卒業)

SESや受託の中でもまともな会社辺りはここに入るでしょうか。あとはソシャゲ系の人海戦術必要な人手のかかる自社製品とかはこの辺ですかね。スタートアップだと、上場を夢見ても証券会社と組んだりVPとかから資金調達はしていない感じの、金になりそうで始めてなんとなく給料払える程度に儲かってる勢いで起業した自力自社開発系など。なろう系で人気のweb業界は第1層と2層を跨いで存在してることが多く、たまに3層目(大学のCS専攻からオリジナルのアイデアでAIの研究開発系サービス持ってたり?)という感じかと思います。

技術力はややまともに。データ構造くらいはわかる(1層は使えるけどpros & consやメモリの使われ方説明は無理で選択は勘なのが大半)人が増えますがアルゴリズムはわかる人が少なく競プロ勢もほぼ皆無。コンピューターサイエンス卒がたまに紛れていますが、遠くない未来にメガベンチャーに行ったり、新卒の情報系出身だったけど、あまり向いてない人だったり。コーディング試験はあまりなく、エンジニア採用なのに気づいたら違う職種になってたり、嗚呼日本企業。ここにはコミュニケーションは苦手だけど技術はある人が少人数いたりして、検索でなかなかヒットしないような事案で暗躍していたり。しかし勤務態度が悪かったり(基本昼出社とか)で評価されなかったりで遅かれ早かれ去っていきます。この層にいるできる人はコミュニケーション時の解像度の調整があまりうまくない人もいます。これくらいわかるだろ、と情報を圧縮し過ぎて前提とかがわからない人には何を言ってるのかさっぱりわからないという感じですね。聞き手の能力が足りないのもあるのに、あいつはダメだと一方的に評価されたりも。

また、会議で話聞いてた?みたいな人がいて詰められたりしてるのを見て気分が落ちたりします。ガチでコードレビューすると1週間以上やり取りが続いたり…。下手に2層から入ってあまり向いてない人は地獄かも知れない。

この辺の層にはフリーランスや派遣は結構出入りしているイメージ。といっても結構当たり外れあって数日で消えるフリーの人も病気がちの凄腕とかもいる。盛って入ってきても厳しいので自分で考えて動けた方がよいです。
また未経験でも理系出身とか独学でやってたような人はここら辺から入ってきます。外部の出入りが多い分特許だとか独自の先行研究的な要素は少ないです。

仕事量も多くマネージャが残業しまくり、残業前提の線が引かれたり、突然失踪する人が出たりします。気づいたら有給消化に入っていなくなったりします。給料は600万位になってきますが、ガラスの天井でなかなか上がらなくなります。

第3層(~上級/専門職)

この辺からだいぶガチ勢増えてきます。
エンジニアはコンピュータサイエンス卒が中心です。ポテンシャル採用で入ってくる人もいますが、結構挫折して去っていきます。自分は海外大学院経由してステップアップしたので、この層に独学で入ってる人の努力はすごいな、と思う。自社開発が多く、主幹事証券やVP(ベンチャーキャピタル)がついて上場への道筋を具体的に立ててたりするスタートアップとかもがこの辺でしょうか。そこと4層の違いは資金力もあるかも知れません。できることの規模が違うのでやや小さいけど難解な問題の解決が多い印象。

仕事は日本語で検索しても出てこないタスクが増えてきます。
フリーランスは専門性を持った人は入ってきますが、基本的に減ってきます。替えの効かない人だけです。この辺の会社は自社の強みである技術は自社で作るスタンスで、社員は会話も回転が速く、話してる途中で理解しており、質問にも適切に返答が返ります。これはすごく楽で、例えば例外処理の考え方でも、言語仕様的なやり方以外にも選択肢(Googleのように例外を投げずにエラーコードを返す場合もあったり)をいくつか用意できますし、どこまでエレベーションしてログを出すかみたいな問題がありますが、知識を土台に経験による共通認識もあって、あー、あれね。みたいな感じになります。

設計に関しても、外から内のみ参照して循環参照を防止したりとか。クリーンアーキテクチャ的な話ですね。基本的な考え方が共有されているので方向性も微調整で済みます。基礎があるということは独学だとしてもコンピュータサイエンスの素養がある、ということです。技術書もよく読んでてリーダブルコードに文句言う人とかほぼいないです。全肯定でなくても、概ね同意できるし、多くの名著に書かれてることは最前線の人がたどり着きやすいやり方という話。ベストプラクティスというやつ。

もし、他業界で活躍して他専攻からエンジニアになって、初心者や社会科学系の多い会社でエンジニア話が通じないと感じた人はこの層を目指すと良いと思いますが、この層は大半がコンピューターサイエンス卒なので、相当センスがないと厳しいかも知れません。コンピューターサイエンスの勉強をガッツリすることをお薦めします。個人的には大学に入り直すような海外では一般的なリスキリングが良いと思います。CSの技術は日進月歩で5年10年前にはなかったような科目ができてたりして、新卒以上に最新技術を知れたりアドバンテージができます。国のリスキリングの仕組み使えそうな気がしましたが、民間の講座が対象みたいで…。日本はこれからも専門職に簡単なスクール通った毛の生えた素人を増産して送り込むんですかね?人手不足だけど、誰でもいいわけでなく、不足してるのは専門家なのですよ。毛を増やすのは必要なエンジニアを増やす意味では種まきのレベルです。発芽率かなり低いわけで、とほほに次ぐトホホという感じ。

給与は残業あまり多くなくてほぼ残業代なしでも600~1000万位が多いと思いますが、そこにストックオプションが付いてくることが多いです。SOも上場時にどれくらいの額になるかは会社によります。数百万~数億まで変わってくるので、上場を目指して頑張りたいなら会社の将来性やリターンをしっかり確認しましょう。

第4層(業界をリード)

ここは自分もまだ入れていないです。面接で話したり勉強会で会ったりからの話なので正確性は低いのはご了承ください。
外資の有名企業やPFIとか日本の技術力のトップ企業、大企業でも研究開発部門はここに入るかも知れません。技術力としてはまだ解決されていない問題を解決するような世界。また基本的にある技術の組み合わせというよりは新しい技術やプラットフォームなどを作り、他の人に使われる技術を作ったりもするイメージです。SDKであったり、ライブラリであったり、使う側から提供する側になります。計算量や動作に関しても厳密に証明できる必要がありますし、重要な機能ではデザインドキュメントも当然書きます。使われる側なのでリファレンス用のドキュメントも書きますし、問題が難しいのでアルゴリズムも当然駆使します。カンファレンスで話したり論文書いたりも。

この層になると、高い基礎に加えて自分の領域のとがった知識や経験が積まれると思います。コンピューターサイエンス卒は当たり前で大半が卒業を書類審査のチケット替わりにするような感じです。大学院、博士持ちも多いです。別に独学でも同じくらいできる人はいるかも知れませんが、給料も高くレベルも高いところは応募も多いので足切りは簡単な方が良いので、CS卒で足を切られることは多そう。でなければ、OSSやコミュニティでトップレベルである必要があるかも?

この辺だと家でもコード書いたりOSS参加してたり、家でIoTで何か作ってたりする人も多いです。素養あって、勉強してて、楽しんで技術の海を泳いでる人達です。

給与は1000万超えることが多いでしょう。普通に数千万もある世界です。

まとめ

ITエンジニアになるには独学からでもプログラミングスクールからでもいけると思います。ただ、その入り口はほとんどが一番下の層から始まるわけで、そこにいる人達のふるまいはさもありなんなわけです。

IT業界で面白いのは最低限のセンスがあって、努力が苦にならないなら、少しずつ知識や経験を積み上げることで上の層に上がっていける、そして、それぞれの層で違った種類の人達がそれぞれの解像度(やり取りする情報の圧縮度であり、鮮明さのようなもの)で働いているという事です。

解像度は様々でExcelに毛が生えたような仕事もあれば、本当にExcelで作業管理してたりもする世界から、全てITの作法に置き換えてしまうようなところもある。未経験でも転職できるのは当たり前です。求められるものが違うから。といっても、エンジニアと名乗れる仕事なのか、という仕事もありますが。

そして面白いのは上の層に上がると求められる技術や知識のレベルは上がるものの残業が減るのに給料が上がり、コミュニケーションもどんどん円滑になっていく、ということです。そりゃ、できる人が多ければ効率がよくなって残業減るのは当たり前かもですが。異業種から転職したけど、速度感とか合わなかったら上の層を目指してみてください。上に上がるほどに仕事が楽しく楽になっていきます(ただし、向いていれば)。

向いていて楽しいと思える人には非常に魅力的な業界なので、楽しんで業界を盛り上げていきましょう。

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