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成長の礎:アイデンティティ確立の重要性

アイデンティティとは

自分が何であるかということを表す言葉です。岩﨑清隆さん、花熊暁さん、吉松靖文さんの著書である『標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野』からの引用です。『過去の自分、現在の自分、そうありたいと考えている自分、社会が期待している自分、それらをすべて統合する概念であり、自分もそう感じ人もそう見ているだろうと感じる自己を意味する。自らの中によってたつべきものがないので、まず青年は自己の外にあるものを手掛かりに自己の探索を始める。自らの表現しえない内面の代弁者を求めて、文学、思想、同僚、先輩、教師、両親、身のまわりにあるあらゆるものと人が、吟味の、そして時に依存の対象となる。それゆえ自己同一性(アイデンティティ)とは、自己の個別性の自覚でもあり、自己の客観的理解ということもできる。』とあります。

同年代との関わりの重要性

アイデンティティは成年期における大きな意思決定(就職や結婚など)を支える基盤になり得ます。そのアイデンティティ確立のための準備期間として子供の時代はとても重要です。様々な人やものに触れる中で自己を確立していく必要があるわけです。自分のことは自分がよくわかっているようでも自分を理解するにあたり比較できる対象がないと自分という特性の輪郭を捉えることも難しいと感じます。通級でも接する多くの子供達は自身の長所は答えることが難しいです。通級関係なく即座に答えられない人も少なくないと思います。様々な人との交流の中で、他者との違いに気づき、自己を客観的に見ることができ自分自身の輪郭を捉えていけると考えています。しかし、高校生年代は社会に旅立つ寸前です。これから自身の責任のもとに置いて選択をしていかなければならないです。不登校や特性からくる不安の高さ、養育環境の問題により同年代を中心とした他人との交流が極めて少ないとアイデンティティが確立されないまま社会に出ていかないといけません。その場合は主体性が欠如していることもあります。

アイデンティティの確立に向けて

通級では1対1だけでなくグループで指導を行うこともあります。お互いの相性や目標などいろんな要素を考慮して組み合わせを考える必要はありますが、我々教員との合流だけでなく同年代との交流はとても有効です。クラスでも交流しているかもしれませんが、教員という大人に守られた場でやり取りを重ねることで学べることも多くあります。メリットとしては何かトラブルやいいことがあった時に客観的に振り返りを行えることです。自身で振り返りができればいいのですが、なかなか難しいです。なので、他者から具体的にフィードバックをもらうことで、より落とし込みが図れます。大人と話している時よりも同年代とのやり取りの時の方が活発に生き生きと活動している生徒の様子を見れることも多いです。やはり、同年代との交流はアイデンティティの確立はもちろん多くの刺激をもらうことにつながると考えています。これからも積極的に活用していきたいと思います。

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