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リーダーシップとマネジメントの違いを日本一分かりやすく解説します。

私が実際に企業研修で講義する際に使用しているスライドに照らして解説します。最後までお読み頂ければ幸いです。

リーダーシップは影響力のことではない

リーダーシップの定義を曖昧に使っている方が多いので、ここで明確にしたいと思います。リーダーシップを「影響力」と定義をする人がいますが、これは不十分で、そもそも説明になっていません。なぜなら、このワードを影響力と捉えるなら、どうやってそれを発揮することができるのか、その方法論を説明しなければなりません。しかし、影響力の発揮の仕方について書かれたものはどこにも見当たりません。なぜなら、影響力とは自分でコントロールできるものではないからです。影響力が発揮されたかどうかは、自分以外の誰かが評価するものであり、影響力があったかどうかは結果にすぎないのです。つまり、それを意図して発揮することはできないので、リーダーシップ=影響力というロジックは成立しないという事をまずは冒頭で共有させて頂きたいと思います。

リーダーシップとは何か

しからば、リーダーシップとは何か?それを一言で述べるなら、リーダーシップとはその人の「意思」に他なりません。わかりやすくお伝えするならば、あの山に登りたいという意思があるならばリーダーになる資格があります。そして、その意思に一人でも追随するメンバーがいるならリーダーシップが発揮されたということです。逆に、ついていく人が誰もいなかったら、残念ながらリーダーシップは発揮されていないという事になります。つまり、リーダーになれるかどうかは、その人に意思があるかどうかが問われている。その結果として、意志の強さが影響力に左右する可能性はあるかもしれません。

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップ リサイズ1

上記のスライドで改めて解説します。リーダーシップとマネジメントの違いはそもそも目的が違います。リーダーシップは「変革」を目的としており、マネジメントは「効率化」を目的にしています。そして、先ほど述べましたようにリーダーシップに必要なものは意思であり、一方、マネジメントに必要なものは技術です。技術を習得するためには、学習と経験が必要です。ここではマネジメントの内容を詳しく述べることはしませんが、やるべきことは以下5つです。1、目的の明確化 2、目標設定 3、業務指示 4、指導・育成 5、成果の奨励。この5つを学習し経験を積むことでマネジメント力は身についていきます。

そして、「発揮が望まれる領域」については、下記の下半分の図をご覧ください。仕事を緊急度と重要度の2軸で整理します。

リーダーシップ リサイズ2

まず、マネジメントの領域ですが、4象限の左下の✖印の領域に注目して下さい。ここは緊急でも重要でもないのでマネジャーは部下の仕事から排除しなければなりません。右下の△印の領域は緊急度は高いが重要度は低いのでこの領域の仕事も極力なくして、右上の緊急度も高く、重要度の高い仕事に部下を注力させることが求められます。つまり、無駄をなくし重要なことに集中させて、仕事を効率化することがマネジャーの役割ということです。一方リーダーの役割は変革ですから、左上の〇印の重要度は高いけれども緊急度が低い領域に率先して先導することが必要です。この領域はもし実現できれば将来的にかなり大きなインパクトがあるのだけれども、緊急性が低いのでついつい後回しになり、いつまでたっても実行されないという領域です。例えば、営業部門であれば既存顧客の将来予測と優先順位の再考、人事部門であれば対立する部門の現状ヒアリングと解決策の提示等がこの領域にあたります。

人を動かすために注力する領域

ここで人の行動特性について触れておきます。リーダーシップもマネジメントも人を動かす(動いてもらう)ことを前提とするならば、人が動くのは緊急性が高まったときだということを改めて認識しましょう。明日の重要な商談のためには人は動くが、1年後の会議の準備は誰もしません。言い換えれば、重要なことは常に救急性を高める事でそこに向かわせることができます。これが人を動かすときの要諦です。

手順をおさらいすると、第1ステップとして、まずは緊急度と重要度の2軸を切り、4象限で仕事を項目別に整理し、重点化を図ります。次のステップとして、整理した中で、最も優先度の高い項目を2軸の右上、緊急度が高く、重要度も高い◎の領域に移行する事。つまり、1で整理、重点化し2で人を動かす領域(緊急度が高く、重要度が高い)に最重要項目を持ってくることで、今やるべきことを明確にします。

改めて申し上げますが、人はこの領域(緊急度が高く、重要度が高い)でしか動かないし、モチベーションが喚起されません。もしやったとしても継続できないということです。変革も効率化も人が行うことですので、この行動のメカニズムを理解した上で、人を動かす(動いてもらう)ことが肝要です。

ここではリーダーシップとマネジメントの違いを分けて解説しましたが、実際にはリーダーがいて、マネジャーがいるわけではありません。どちらの側に立つとしてもこれまでお伝えしたリーダー、マネジャーの双方の能力が求められます。つまり、長に立つ人はリーダーであり、マネジャーであるべきだという事です。

人の上に立つ人、長と名の付くすべての方々は、今何をするべきなのかを明確に発信すること、それが役割です。そのためには、最も効果的な事を選択し、最大の力を引き出すこと。これ以外にありません。

いかがでしたでしょうか。リーダーシップとマネジメントについては長年の私の研究テーマであり、もちろん、私自身も学びながら研鑽を積んでいる最中です。

最後までお読みいただきありがとうございます。忌憚のないご意見、ご感想を頂ければ幸いです。



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