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【読書録7】致知 2021年9月号「言葉は力」 感想

 人間学を学ぶ月刊誌「致知」。

 毎号、読んではいるが、改めて心に残ったことをアウトプットして自分の中に定着させていきたい。今回は、2021年9月号。

総リード 言葉は力

 知人からもらったあじさいの花がしおれてしまった話から始まる。花にとって、命の元は、「水」。人間にとってそれは「言葉」。言葉によって勇気をもらったり、やる気になる。逆に人を貶める言葉は、人の心を腐らせ、時によっては学校でのいじめのように人に自らの命を断たせるところまでいく。心をどんな言葉で満たすかで、その人の人格が決まり人生が決定する
 確かに、自分の気持ちは、その時々の「言葉」で大きく変わっていく。前向きな言葉で心を満たしたい。

 次に松原泰道師に聞いた話として、経営危機に陥った経営者が、茶室に招かれ、そこにある「南無地獄大菩薩」と飾られた掛け軸をみて、自ら「現実から逃げず思い切って地獄に飛び込む」ことを悟った話が続く。
 その言葉をどう受け止めるか、受け取る側に準備ができているかできていないかで大きく変わってくる。本を読んだり、映画を見てもその都度、心にささる場面や言葉が変わるのはそのためであろうか。真実の言葉を受け取り、受け容れるだけの人間的器量を養っていきたい

 さて9月号もこころに残る話がたくさん詰まっている。その中の2つの記事について書いていきたい。

「寿司は永遠なり 思いを引継ぎ道を開く」

玉寿司社長・中野里陽平さん

 コロナ禍、飲食店は大きな打撃を受けている。大正13年創業の玉寿司も例外ではない。しかし、若くしてその暖簾を受け継いだ4代目の中野里社長は下を向いていない。
 その心の支えになっているのは、「大丈夫だ。焼け野原から立ち上がってきた歴史を忘れるな」という先代からの言葉であり、後を次いでバブルの後遺症から立ち直った経験から身に着けた「運命自招」(うんめいじしょう)という考え方である。

 先代から後を継いで10年、バブル崩壊が招いた経営危機を何とか切り抜ける。その際に指針としたのが、守るべきものは、お客さまからの信頼と社員という先代からの教えである。またその試練を乗り越える中で、道は必ず開けるという「運命自招」の考え方である。

 事業の目的を単に自社の発展とせず、「寿司は永遠なり」の標語で表されるように食文化の担い手として社員を大切に育て、海の幸のおいしさを追求し、寿司の文化を発展させるというところに置く。

そんな考え方に惹かれる。

 厳しい時に、あきらめないのも言葉を素直を受け取れる社長の広い心がもたらしていると思う。是非とも応援したい会社である。

「愛心から発せられる言葉は必ず相手に伝わる」 

マザーズスマイルアンバサダー組合代表理事・田崎由美さん

 著者は、お子さんが大病を患いその看病をする中で、「大病前には子供の能力を伸ばすことに注力していたが、本当は今こうして生きていること子育てのチャンスをもらったことが有り難い」ことに気が付く。
その気づきが、お母さんと子供の心と自信を育む活動を行うことにつながっている。

 私自身、子育てをする中で、最初は、ただただ「どんな状態であってもなんとか生きていてほしい。」と願っていた。今年11歳になり、愛おしさは変わらないものの、求めるものもいつの間にか大きくなってしまったなとちょっと反省する。

著者は、お子さんやその友人に森信三先生の「10代のための人間学」の読書会を行う。
その活動を通じて、子供はちゃんと考える力を持っていて「自分は自分の主人公」自分の人生に責任をもった自立した人に育つと確信する。

11歳になり、幼いところもあるが、自分の考えをしっかり持つ息子を見ると、確かに同感である。息子の個性をどう伸ばしてあげられるか、親としての役割が変わってきていることを感じる日々である。

著者が活動を通じて大事にしている考え方・言葉。

「まずはお母さん自身の心を満たし、我が子に愛心のある言葉を賭けられる状態にする。お母さんの心が満たされれば自然と子供にも愛のある言葉を掛けられるようになる。」

 確かに、まずは自分の心を平穏することなしに、利他の心の芽生えというのは難しい。仮に一時的に芽生えたとしても、持続性はない気がする。

「愛語よく廻天の力あり」(道元禅師)
愛語は愛心より起こりて、愛心は慈悲の心をもととする。つまり単なる言葉ではなく、愛の気持ちから湧き出てくる言葉には、天をも変える力がこめられている。愛心からでた言葉は、相手の心にきちんと伝わる。

道元禅師の言葉の、まさに本心から真心を込めてふり絞った言葉は、気持ちが乗っかっていて、人に伝わるだろう。

最後のパートも非常に印象的である。

人生とは、習慣の連続です。日頃どんな習慣を持ち、どんな言葉を自分にも他人にも掛けているか。よい一日の積み重ねで結局人生は変わっていきます。息子の闘病中、多くの方から掛けていただいた言葉、読書を通じて出逢った言葉に支えられ、救われて、今があります。
言葉は生きる力になると実感しているからこそ、良い言葉を使う習慣を身につけ、自分の手で人生を切り拓く人が一人でも増えることを願っています。

言葉を発する側と受け取る側

言葉を発する側の愛と、受け取る側の器量、両面から言葉の力について考えてきたが、発する側と受け取る側の心と心が共鳴してこそ、言葉は伝わるのかもしれない。

如何に、日々、良い習慣を持って、真剣に生き、感度を高めるとともに、真心を持って言葉を発したいものである。


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