東京家族~伝説のキャバ嬢~

 うちの夫は家に居ない。平日は勿論仕事をしている。だから家に居ないと指すのは週末のことだ。夫は会社勤めなので土日祝日がお休みだ。このご時世、有給なんかも取りやすい。けれども夫は家に居ない。趣味のゴルフに行く事もあるが、毎週ではない。けれども毎週末、夫はいない。では何をしているかというかと、誘いが多いようだ。仕事繋がりもあれば単純に友人からの誘いもある。家庭を持って、一桁の年齢の子どもがいる人をこうも誘えるものかと疑問に思っていたが、それは夫が結婚をしていて、子どもがいると知っている場合のみに通用する。そもそも、夫が結婚をしていることも、子どもがいることも知らない人が多い。一度夫の友人に聞いたら、結婚のイメージがないと言っていた。だからと言って、誘いを断る事も出来るはずだ。夫曰く、これでも誘いは断っているらしい。妻として何だが、夫のどこが人を惹きつけているのかが分からない。
 誕生日月ともなれば平日もいない。今年の誕生日は福岡でお誕生日会があるといい、三泊四日で出掛けて行った。お星さまの付いた寿司を食べてきたみたいだ。お土産のめんべいに娘は喜んでいた。私に買ってきた通りもんは夫が全部食べてしまった。娘からしたら父はこういう者で、朝に少し会う人らしい。娘が三歳の頃、会社に行く夫にかけた言葉は「バイバイ、また来てね。」だった。
 娘が小学生になり家族旅行という言葉を学校から覚えて帰って来た。今までだって旅行は何度も行っているが、いつも姉夫婦に連れて行ってもらっていた。なので、娘は夫を旅行に誘った。だがしかし、予定が詰まっていると断られていた。
 私は純粋な疑問として、家族とプライベートのどっちが大切なのかと質問をしてみた。「そりゃ、家族の方が大切だよ。でも俺って人気者じゃん。困ったもんだよね。」その答えに娘が「ナンバーワンキャバ嬢みたい。」と言っていた。
 私は娘と二人でグアム旅行に行きました。とっても楽しかったです。そんな私と娘を見て夫も幸せそうな顔をしていました。

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