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ネット物販で南の島暮らし 8

 
 翌日、プーさんにショップ名を伝えた。

「アイランド・ブリーズ〜島風…うん。良いんじゃない。なんか智恵ちゃんらしさも感じる。」

「ありがとうございます!私も結構気に入ってるんです!」

「じゃあ、いよいよセールスレターを書いてみようか?」

「セールスレター…文章ですよねぇ。(汗)」

「そう、セールスコピーなんて言われることもあるけど、その文章を読んだら思わず『欲しいっ!』tって言いたくなっちゃうような文章。(笑)」

「なんか メッチャ難しそう…」

「(笑)そうだよねぇ。まぁ、みんな初めはそうだよ。もちろん才能がある人、ない人はいるけどさ、でも、やってみないことにはそれも分からないからね。とにかくやってみようよ。」

「…はい…」

「まぁ、まずは『真似=マネ』からだから。いろんな同業者や、同業じゃなくてもいいんだけど色々と商品を販売しているネットショップなんかを見て、智恵ちゃんが読んでみて智恵ちゃん自身が『これ、欲しいっ!』って思えるようなセールスレターを見つけて来るわけ。あとは、それを真似して自分の商品のセールスレターを書いてみるの。ネットショップ以外でも、通販雑誌のセールスレターなんかもとっても参考になるよ。」

「真似するんですね。」

「そう。僕らはさ、子供の頃『真似しちゃダメ』みたいな教育を受けて来てたりしてさ、真似することは悪いことだみたいな刷り込みがある人が結構いるんだけど、この世の中に完全なオリジナルなものなんてないからね。人が作ったものである以上、必ず何か過去にあったものが参考になっている…つまり真似してるんだよ。だから、まずは成功しているものを真似するわけ、それができるようになったら今度は独自のアイデアをそこに入れ込んでいって、最終的には他にはない、その人ならではの味とか魅力が出てくるんだよね。守・破・離ってやつだよね。」

「守破離…まずは、真似するってことですね。」

「ただね、重要なこと…」
プーさんが、一段声のトーンを落とした。

「麻由さんのアクセサリーを喜んで買ってくれるのは誰なのか?どんな人なのか?…それを想像すること。」

「…買ってくれるのは誰なのか?どんな人なのか?ターゲットとか、想定顧客とかって言われるやつですね。」

「そう。たとえばさ、五十代の家庭持ちの男性と、二十代の独身女性だったらさ、趣味嗜好も変わってくるでしょ。響く言葉も違ってくるんだよね。だから、自分のお客さんが日々、どんな気持ちで生活していて、どんな悩みや不満を抱えているか…とかを想像するわけ。それで智恵ちゃんが売っている商品が、その悩みや不満を解決してくれたり軽くすることができると感じられたら、喜んで買ってくれると思わない?」

「そうですね…でも、五十代の家庭持ちの男性の気持ちとかって…ちょっと想像できないですね。(苦笑)」

「(笑)そう!まぁ、大抵は自分と近い年齢や性別の人になるよね。上級者になると自分とは全く違った境遇の人を想定することもできるんだけど、初めは自分と同じような状況の人を想定した方が良いと思うよ。
そして、どうやったらお客さんの心が動くか?を想像するのに最も重要なこと…なんだかわかる?」

「…えぇ?…何ですかね?」

「智恵ちゃん自身が、いろんな事に感動して、そしてそれを意識して観察すること。」

「え?お客さんじゃなくて、私の心の動きって事ですか?」

「そう。智恵ちゃんの心が動かないと、お客さんの心も動かないんだよ。
たとえば、テレビのドキュメンタリー番組とか見ていて、誰かが感動して泣いているようなシーンがあると、こっちも泣けてく時あるでしょ?あれはさ、そこに登場している人の感情に同調しちゃってるんだよね。あれと同じで、書き手の心が動いて書いた文章は、それを読んでいる人も同じように心が動かされるんだよ。
だから、智恵ちゃん自身が心を動かす、感動する事が重要なわけ。」
 
私が感動することが重要…
 
「結構ね、普通の人って、心が固くなっちゃってるの。感動するってのは、結構筋肉みたいたところがあるんだよ。子供の頃はさ、いろんな事に感動して、ワクワクしたり、悔しがったりとかさ、してた訳よ。でも、大人になるにつれていろんな経験を積んでくるとさ、だんだんそうやって心を動かすのが面倒になってさ、鈍感になっていくんだよね。
まぁ、それはそれで必要な事なのかもしれないけど、僕らみたいに人の心を動かして物を売ろうなんて人間はさ、常に心を動かして、『あぁ、これって楽しいな!』とか『これって、メッチャ腹たつな!』とか『悲しいなぁ』とか、『切ないなぁ』とか、ポジティブな感情も、ネガティブな感情も感じておかないと、お客さんがどういう事で心が動くのか想像もできなくなっちゃうんだよね。」

「そうか…そういう事なんですね。」

「まぁ、あとはセールスレターには大体決まった『型』っていうのがあるから、そういうのを参考にしてもいいと思うけどね。ネットで『セールスレター書き方』とか、『セールスレター テンプレート』みたいな事で検索すれば、いろんな人が色々と解説してくれているよ。
でもね、一番重要なのは、その文章が智恵ちゃんの心が動いて書かれた文章かどうか?なんだよ。
まぁ、最初は真似でいいんだけど、ただただ他の人が書いた文章をコピペしただけのようなセールスレターになっちゃっているような文章もあるわけ。それって、お客さんの心には何故か不思議と響かないんだよねぇ。」
「なんか文章にもエネルギーみたいなのが、こもるんですかねぇ…」
「うん。そういうこともあると思うよ。」
 
何だか、とっても深いレベルの話のような気がした。

 正直、自分でまともな長文を書くなんてことは、高卒の私の経験上、高校の授業でレポートを書いた以来か…もう、◯十年ぶり…って感じ。まぁ、まずは挑戦してみよう。

 まずはパソコンに向かって、ワープロソフトを立ち上げてみた。

 さぁ、書くぞ!





…頭が真っ白…って感じ。キーボードで文字を入力することが、こんなに大変なことだなんて思ってもみなかった。(汗)

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