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正義で世界は救えない?

株式会社リアライズの佐藤です。
先日ちょっとした出来事があり、慈善活動というものについて考えるきっかけとなりました。

そこで、今回は慈善活動に対する考え方について書きたいと思います。実は僕と慈善活動の歴史というのは割と長くて少し持論もあります。
このお話は自分の人生に思い悩む方には生きるヒントになるかもしれません。そんなに長くはならないと思いますのでお付き合いいただけると嬉しいです。

もっとも苦しかった頃の話

2008年春、僕は自分の人生に絶望しかけていました。
30歳を迎えるこの年、人生をかけてやっていた音楽活動に対して「このままやっていても音楽で成功はできないのではないか」と思い始めた事をきっかけに、急速に自分の人生に価値を見いだせなくなっていきました。
それまでの金銭的な苦しい生活は未来に対する希望があったからこそ乗り越えてこれました。でも「信じていた未来は来ないかもしれない」そう思った途端日々の生活がより一層苦しく感じられ、頭の中に常に重いものを抱えているような感覚で過ごすようになりました。

”世の中に自分を発信しても喜んでくれる人はいない”

”俺は何の為に生きているんだろう”

”自分の人生にはなんの価値もない”

人が生きる理由はきっと死への恐怖だけではなく、未来に希望がもてるからこそなのだと当時を振り返ってそのように感じます。

少しずつ心の状態が悪くなっていくのがわかりました。一人になりたいと思い人を避けるようになっていき、ぼーっとすることが増えていきました。

きっかけがあった訳ではなかったのです。でもこのままではまずいとは思えていました。

”日々荒んでいく心をこのままにしていたら最悪の結果になってしまう”

”なんとかしなくちゃ”

と自分を客観視できた理由は今でもわかりませんが、運よくそのように思えた僕は自分の人生に価値を見出す方法を探し始めました。

人生に価値を見出す為にとった行動

今にして思うと、家族がいて友達がいて仕事がある、それだけで人生に価値はあるし、人は生きてるだけで尊いなんてことは当たり前なのですが、そんな当たり前のことも忘れてしまう心理的状況だった僕は、わかりやすく自己肯定感を満たすにはどうしたらいいのかを考えました。
その中で僕がとった行動はボランティア活動をしてみるということでした。

そうして始めたのがカウントボランティアという書き損じのハガキや寄付された切手を仕分けるという作業でした。
書き損じのハガキや切手は郵便局にもっていくとお金をもらえるそうです。
そうして集めた資金で海外に学校を立てたり井戸を掘ったりしている団体のお手伝いです。
バイトの帰りに事務所によって2~3時間程度ハガキを黙々と仕分ける作業をする。その作業を数週間やったところ、

そこそこ心境が変わりました

なんて単純なんだろうw
と自分の単純さに呆れなくもありませんでしたが、

”自分のやってることが遠く海外の誰かの生活の役に立ってるらしい”

この”らしい”ってのが多分大事で、”らしい”でも構わないのでそう言い聞かせるように意識すると、単純にも心のモヤが少し晴れたような気持ちで過ごせるようになってきました。

”生きる価値なし”と思ってたところからこんな簡単なことで変われてしまいました。
バカでよかったw心からそう思います。

他力のすすめ

カウントボランティアに味をしめた僕は自分の心をより落ち着ける為に別のボランティアを調べ始めました。その中で見つけたのがチャイルドスポンサーというもの。
チャイルドスポンサーとは毎月一定の金額の寄付をしてその資金を特定の誰かの成長の為に係る費用にあてるという仕組みです。
特定の誰かのというところに引かれた僕はすぐに登録をし、スワジランドという世界最貧国のひとつに住むンディフェテくんという2歳の男の子のスポンサーになりました。

自分の寄付したお金でこの子が教育を受けたりワクチン接種ができたりするんだ。具体的に誰のどんなことに役に立ってるかがわかるこの仕組みによって(上記の通り単純な僕ですから)

めっちゃくちゃ自己肯定感が上がりました

寄付している金額は毎月5000円程度、貧乏バンドマンに生活の余裕はありませんでしたけど、それでも一回の飲み代くらい。それだけの出費で毎日活き活きと過ごせるようになっていったので当時から安いものだと感じられていました。
あと、人に話すとけっこう褒めてもらえてうれしい。←これ大事でした。

そうして過ごしていくうちに自分の人生には価値があると思うこと以上に、

”俺が人生コケたらンディフェテくんはどうなるんだろう”

”絶対この寄付をとめる訳にはいかない!”

と、どん底の自分の精神状態を持ちこたえさせてくれたばかりか、むしろ人生に成功しなくてはいけない、と思うようにさえなってきたのです。
2008年秋でした。
この頃から2008年12月の缶バッジ製作事業の創業に向けて僕の人生は動き出していきます。

ンディフェテくんを救ったのではなく、ンディフェテくんに救われてさらに導いてもらった気さえしています

こういう力の使い方を”他力”ということをあとで知りました。

他人の為にがんばろうと思える仕組みをつくることが実は原動力になる

他人の為になることが自分の為になる

僕はこの商売の鉄則とも言えるような考え方をこの時に体験を通じて感覚的に学びました。
これを自覚するのはまだずーっと先ですけどねw

会社としての取り組み

その後僕は事業を立ち上げてその3年後に法人化します。経緯は『社長になった日』に詳しく書いてあるのですが、法人化するきっかけは東日本大震災で働くことが難しくなった人達に作業をお願いするという取組みが、個人事業だったことを理由に頓挫したことがきっかけでした。

力がないと人助けもできない

これを教訓に法人化した僕は翌年の2012年に障がい者の就労支援施設に作業をお願いする取組を始めます。その当時書いたブログがあるのでよければご覧ください。

障がい者施設での缶バッチ製作作業

この取り組みはその後台東区の障がい者就労支援室の紹介で2013年には区内の施設とも始まり、リアライズの製造拠点である新潟、静岡、でも地域の就労支援施設に作業をお願いをするようになり、2019年現在は全国4カ所での取り組みへと少しずつですが拡大しています。

余談ですが、リアライズのお客様にある競合さんが恐ろしく安い加工賃で営業をかけてきたことをきっかけにリアライズも加工賃を叩かれ、ある作業をお願いできなくなってしまった施設があります。しばらくお願いできる仕事が極端に減ってしまったのですが、最近ようやく新しいアイテムのニーズを生み出すことができて作業を用意することができ、再び以前と同じボリュームでお仕事がお願いできそうです。
安売りって本当にいろんなところに影響与えるんですよ。自由競争は資本主義の原則ですけど製造業の抱える悩みでもあります。

障がい者就労に関しては世の中的にまだまだ多くの課題があります。
リアライズでは今後も誰かの為になることが自分の為になる仕組みをつくって取り組んでいきます。数年間構想しているとっておきのビジネスモデルがあるんです。
あー、、、この勢いで話してしまいたい。
いつかドーンと発表できる日を目指してがんばります!

慈善活動はどんどんした方がいいし話した方がいい

慈善活動をすると割とつきまとわれるのが「偽善」という言葉です。慈善行為を人に話すとウソくさく思われるという空気もあります。慈善活動に関わる人は聖人君子でなくてはいけないかのような風潮は事実あります。
でもそんなの関係ねぇw

正義で世界は救えないかもしれない。でも自分は救えました。それでいいと思うんです。

慈善活動は誰の為にやるか、自分の原動力にする為、自分が気分良くなる為、もうこれでいいと思います。自分が幸せになることは世界を一人分幸せにすることだから。
だからちょっとでも気になる活動があったらできる範囲でガンガン手を差し伸べて下さい。お金だけでもいい。そして人にそのことをガンガン言って褒められて下さい。間違いを指摘されたり、単なる支援がむしろ罪になるケースだってあるかもしれない。でも間違えてもいい。だって自分の為だもん。間違ったと思ったら修正すればいいだけですよね。

打算があってもいい。自分の為になることと誰かの為になることをリンクさせようとした心は相当に尊い。
だから気にせずに自分の心指す方へ言動を向かわせればいいと思います。

商売の本質は世の為人の為になることです。だから言ってしまえば全ての商売は慈善活動とも言えるのだと思います。
僕はビジネスパーソンとしてこれからも自分の正義を育てながら慈善活動をし、その中にはお金になることもならないこともありながらその総和を黒字にできるように会社経営をしていきたいと思います。

先日ンディフェテくんから手紙が届きました。2歳だった彼ももう13歳になりましたが相変わらず字がへたくそですw

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彼との関係の中で教えてもらって以降、僕の中にはたくさんのがんばる理由=他力がつまっています。だから今日も明日もお仕事がんばります!

最後までお読みいただきありがとうございました^^

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