小規模企業の人材不足の原因対策を内部から取り組んでみた
ヒトが足りない〜、後継者がいない〜、こんな声をよく耳にすることはないでしょうか?小規模企業のベテランおじさま達の口癖です。確かにヒトに関する経営課題は日本の多くの企業の悩みですが、よく分析してみると企業内部に問題がありました。外部からの支援だけでは解決し難い問題です。ぜひ参考にしてみてください。(ちなみにこんな会社をイメージしてみてください。)
・社員数10名ほど ・平均年齢50代後半 ・年功序列型 ・役員は定年を迎えた勤続45年おじさま ・名ばかりの役職者の為経営に関する知識は皆無 ・人事専属の社員はいません
私は上記のような会社に出向中です。何度か採用面接を行い見えてきた問題と対策について書いていきます。
1.小規模企業のヒト不足
「日本の中小企業の後継者不足」なんてタイトルの記事をよく目にしますね。帝国データバンクさんの中小企業に対する統計では国内企業のうち「およそ3分の2(65.2%)」の会社が後継者不在とのことです。うちみたいな小規模企業だと後継者どころかそもそもヒト自体がいないんですよね。
じゃあ求職者が全くいないの?という訳ではなく求職者に選ばれていないだけなんです。そう、昔ながらの採用してやるという横柄な姿勢が問題です。(有効求人倍率はここ数年1.0倍を超えていますね)
私が社内のおじさま達とコミュニケーションをとる中で感じたのは「転職市場に対する理解不足」です。
彼らはまじで何も知りません。(いや、ほんとに!)彼らの常識は転職=ハローワークで大手求人媒体を使う訳ない!や、年収交渉なんて何様だ!など。驚きます。おじさま達は数十年転職をしていないどころか、引退まで一つの会社に勤め続けることが美学なので、情報に触れる機会がなかったのです。ただし、これは彼らに問題がある訳ではなく、社会情勢や社内制度がそうさせたのであって、合理的に生きてきた結果です。なんの問題もありません。
そして小規模企業の人間は同業種&同規模の会社の人間との交流を大切にする節があります。これではただの愚痴大会にしかならなくて、市場動向を掴むことは難しいですよね。オフラインでの交流を大切にするおじさま世代が交流を活かせていない皮肉です。
転職経験が無いことと交流範囲の狭さによる転職市場に対する理解不足が大きな問題です。
2.リクルーターの活用では解決しない採用課題
拝啓 大手リクルーターのみなさん、弊社みたいな小規模企業にも営業に来ていただきありがとうございます。
成功報酬型or広告掲載型いずれにしても投資すればヒトを採用できると、淡い期待を抱いていらっしゃる企業はたくさんいらっしゃると思います。ですが、弊社のような小規模企業はお金がありません。そんな高いお金は払えません!!ではなく、、、その投資効果を発揮できる状況ですか?というのが一番大きな課題。
何を言いたいかというと、採用とは
集客 → 面接 → 入社 → 教育 → 活躍=利益貢献
ですね。
「活躍=利益貢献」を前提に、面接、教育を社内で準備しないと「集客」に投資しても無駄になってしまいますよね。
ここを疎かにしたまま採用してしまい、高い離職率やモチベーションの低い負債人材を生み出してしまう。というのが現状です。
じゃあ人事担当はどのように手を打てばいいか。
・募集人材の要件設定に巻き込む
・面接の仕組み化(質疑内容を決める)
おじさま達に採用活動をやらせましょう💡(支配欲グフフ)
3.ターゲティングの重要性
まずどんな人材が欲しいの?という議論をしてみます。
・・・見事に意見が合いません。
おじさま達の願望がぶつかり合っています。「欲」だけが散らばっている世界。子供かっ⭐️
ここで私が取り組んだのは
・SWOT分析
・ペルソナ設定
で、自社の強みや魅力と求職者のイメージを具体化し、マッチングさせていく作業です。(採用サロン様の記事が参考になります。詳しくはこちら)
私の会社では、
・コミュニケーション能力が高い ・業界経験者 ・高い技術力(自社で使っているツール全ての実務経験) ・積極的な姿勢 ・下積み経験を受容出来る忍耐力(矛盾)
こんな人材転がってる訳ないです。「思ってたのと違う」ってなりますよね。
必須要件と歓迎要件を分けて、歓迎要件は自社内で教育していくという共通認識をこの時点で行う必要があります。
人物像を共有できたら次はどこで探すのか。コストをかけずに採用したいのでハローワークを使っていたのですが、ターゲットがハローワークに居なくては無意味ですよね。居ればいいんですけどね・・居れば。
弊社では機械エンジニアを探していたのですが、東京都のハローワークに来る求職者の統計から計算すると、
・求職者の半数は女性
・求職者の半数は事務職希望
(現場作業がある為)男性かつ機械エンジニアで実務経験有り若ければなおよし、という人材は限りなく0に近い。弊社の求人を見る可能性のある人数ですら年間500名ほど。んー、ムリやろ?
無料で採用するのであれば、無料の求人媒体にいる求職者に合わせて必須要件・歓迎要件をリバランスする必要が有りますよ。おじさま達!
ここについても説明するだけでは理解してもらえないのでおじさま達と一緒に必須要件・歓迎要件を決めていきます(決めさせます)。
ターゲティングの目的として
採用媒体にいるであろう求職者から選ばれるように要件定義。特に歓迎要件は社内で共有し教育する前提で検討し、求職者と採用側の期待値のミスマッチが起きないようにする。
4.面接も仕組み化必須〜1時間喋り倒すおじさま達〜
※採用媒体の運用はプロがたくさんいらっしゃると思いますので割愛します。
ここでも私にとってビックサプライズが有りました。
面接って『求職者がどんな人物なのか知りたい!』『入社して何をしたいの?うちで実現できるの?』などなど。
求職者のパーソナリティーを引き出す為に多くの時間を使う場所だと思ってました。
おじさまA「志望理由を教えてください」
求職者「〇〇だからです」
おじさまA「へぇ。」
私(まじか!!!)
おじさまA「私たちの会社について知ってもらいたいので会社説明を・・・」
1時間後、
おじさまA「では、後日面接の結果を連絡しますね」
全然人の話を聞かないんですよね。求職者が話そうとしても無視してしゃべり倒すんですよね。そりゃミスマッチおきますよね。(忍耐力だけは確認できるか。。)
という事で、質問内容も全部決めました。おじさま達に質問していただきました。
面接評価シートを作り、必須要件、歓迎要件を確かめる質問内容を必ず質問していただき入社後のフォローは可能かどうかを意識してもらうように仕向けました。社員教育、環境づくりに面接の時点から巻き込んでいく作戦を実行しました。(採用サロン様の評価シートを参考にさせていただきました。こちら)
採用課題と向き合う小規模企業はたくさんあると思うのですが、多くの企業はどこに課題があるか、視点が間違っている場合が多いように感じます。中途入社した社員の早期離職で「彼は〜だったからな〜」といった風に退職した人間に問題があるような言い方をする方が非常に多いですが、働き続けたい理由づくりはしただろうか。また、応募がこないな〜、きてもろくな人間がこないな〜と、では、適切な場所に適切な要件で求人を出しているだろうか。
集客の為のサービスがたくさん有りそこにお金をかければ上手くいくと思いがちですが、採用は集客だけでは有りません。根本的には社内の経営課題です。経営に関する重要な課題を外部(大手リクルーター等)に依存しても解決しません。
・求職者を選ぶのではなく、選ばれているという意識
・社員の価値観のボラティリティやギャップは採用活動に参加させて無くす
という、小規模企業の採用課題に対する取り組みを書いてみました。
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