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日本がサッカーで揺れてほしい

小学生になってから、サッカーを始めた。
大人になった今もサッカーが好きだ。
当時から日本代表の試合と海外サッカーだけが好きだ。
Jリーグには一切興味が持てなかった。いや今も。

名古屋に住んでいたからいつでも名古屋グランパスの試合を観に行けたし、何試合かは観戦したことがある。自分よりはるかにレベルの高い技術、フィジカルで展開されるプロサッカー選手の試合だから当然のごとく関心した。
当時のグランパスで言うと、玉田選手や闘莉王選手、すげーなー、と。
しかし憧れたのは海外のトップクラス選手、クリスティアーノ・ロナウド、メッシ、カカ(当時ACミランの10番)といった世界屈指のリーグで戦う人だった。部活の試合前に彼らのプレーを真似てイメージトレーニングすることが習慣で、帰ってはYouTubeでプレー集を擦り切れるほど見返した。

大学生になってからはアルバイトで貯めたお金で渡欧しドイツを中心としたクラブの試合を観戦し、クラブユース世代のトレーニングを観にいったりもした。特に強烈な記憶とした残っているのは、その日たまたま予定がなくて、近くでドイツ2部のケルンvsカールスルーエの試合を観にいった時のことだ。さすがサッカー大国とだけあって2部の試合でもサポーターはほぼ満員。ホームサポーターとアウェイサポーターはスタジアム行きの電車の中からいがみ合っている。キックオフをしてから更にサポーターの熱は増していく。自分の席から後ろを振り返ってスタンドを見渡すと、中年男の図太い合唱がスタジアム全土に反響していることに圧倒される。更に、ドイツビールを右手で揺らしながらど図太い大合唱に負けまいと、セミの大群のような高いキーで大大合唱する小学生低学年くらいの女の子たちが5人横並びでいた。
正直に言う。それを観たあの時あの瞬間、めちゃくちゃ興奮した。
変な意味ではない。
愛するクラブへ対するサポーター(そしてその家族や友人も含めて)の熱量にだ。

日本でも例えば浦和レッズサポーターの熱量、一体感は有名だし、自分も知っているつもりだ。ドイツのそれと比較する天秤は持ち合わせていないが、感覚値でいうと3倍、4倍の熱量だった。

まだ小さな女の子達が、中年男の合唱に混ざるときもあれば、選手がイージーミスをしたときはそれを決して見逃さずに「何してんだ!」と声を荒げる。一方で素晴らしいプレーが生まれればプレー中でもたった数秒のスタンディングオベーションが始まる。
ドイツの場合、日本人よりもフィジカルが優っているためプレーの傾向もテクニカルと言うよりとにかくデュエル、デュエル、アグレッシブだ。もはや格闘技に近い要素かもしれない。

僕は、ずっと憧れていた海外サッカーのプレーレベル以上に、そのサッカーを数段盛り上げる12人目の選手のマインドに心を打たれて、今も忘れられない。世界最高のエンタメ空間だった。

海外の強い国は本当に歴史があるし伝統的スポーツとして全国民のハートに焼き付いてる。一方で日本はサッカーと言うスポーツ自体の歴史もまだ浅いから、これから10年、50年、100年と経ればどんどん盛り上がってくるのだろうか。

いつしかW杯やオリンピック、各種代表戦以外の場でも、この島国が揺れ、温暖化が一時加速する程の魂がサッカーに宿ることを期待したい。

そしてチャンピオンズリーグで優勝するチームに日本人が当たり前にいてほしい。

今は久保選手を応援しています。


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