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会社を熟知する広報だからできる!売上に貢献する「稼げる広報」への道

ひとり広報を卒業して3人体制になり半年くらい経ったころ、テレビ撮影現場に現れた取締役から「3人になったけん期待しとるよ」と声をかけられたので、「はい、情報発信を3倍に増やして、稼げる広報を目指します!」と勢いで回答。うゎー言ってもたー(^_^;

こんにちは、株式会社丸信で広報を担当している田中(@marusinofficial)です。で、稼げる広報って何ですの?

自分で宣言しておきながら具体的に何を持って”稼ぐ”と言えるのか。要する売り上げに貢献できることを目指すんだろうけど、その方法論は明確ではないし、そもそも広報は売り上げを目指す活動ではないし。あ〜変なこと宣言してしまったなぁ〜、と少し後悔しつつも、よく考えると間接的にでも、遠回りにも、売り上げにつながった事例はないことはない。

例えば一般的には、広報活動の一つであるパブリシティ活動により新商品がテレビに取り上げられて、放送直後に注文が殺到する。あるいは飲食店や店舗の場合は報道翌日に行列ができたり。これは正真正銘、売上に貢献する広報活動と言えます。

ただ、BtoB企業である弊社は、本業においては最終商品を持たないので、この方法で稼ぐとができません。いや、BtoCの企業だって新商品ネタはそうそう取り上げられることはないので、一般的に広報が直接売上に貢献することは難しい。売上への貢献が見えにくいため、とくに中小企業においては広報というポジションは重要視されてこなかった歴史があるのでしょう。

それが最近、風向きが変わり、このネット社会、SNS社会で「やっぱ広報って大事だよね」と見直されていますが、それでも広報に期待されるのは利益というよりは認知度や採用、従業員満足度などへの貢献だったりします。
一般的には広報は無理して売上を追求する部門ではないし、当社でも広報が売上目標を持つことはありませんが、結局このことも広報に対する評価が未だに難しいと言われる理由でもあります。

そんな中での「稼げる広報」宣言なので、他の広報メンバーからしたら「おい、お前、何言ってやがる!」となりそうです。すんません🙏
ただ、この3年ちょいの広報経験で、実際に売上に繋がったことは何度かあり、弊社が注力するSDGs活動を通じた引き合いもじわじわ増えていて、広報活動って結果、稼げることもあるんだな、というのが徐々に分かってきました。
分かってきたタイミングだったので取締役からのエールについ「稼ぐ宣言」をしてしまったんですが、せっかくなので過去の事例を振り返りながら、広報が稼ぐ方法を考察してみたいと思います。

売上につながりそうな広報業務

一般的な企業広報と比べると弊社の広報業務は少し変わってます。自社の社内広報と社外広報のほかに、他社(お客様企業)の広報活動支援を行っているのが特徴。印刷会社が何で?とよく言われますが、お客様との持続的な関係を保つため、印刷物等を納めた後のアフターフォローとして、PR代理店の要素を持ち合わせています。
その他には、オウンドメディア運営や販促・通販・採用支援などにも関わったりします。これらを踏まえて、まずは弊社の広報が担当してる中で、売上に繋がる可能性がある業務を挙げてみました。

お客様の広報支援

本業である包装資材やシール・パッケージ印刷加工事業でお取引のあるお客様企業に対して、パブリシティ支援やSDGs宣言サポートなどを行っています。この活動はお客様に喜んでもらえればOKです。
お客様のパブリシティ支援といっても自社の社外広報と同じく、プレスリリース等を活用してメディアに情報提供して新聞やテレビでの露出を目指します。
一方、SDGs宣言サポートはとても引き合いが増えている業務。SDGs宣言を検討しているお客様を取材して取り組みをテキストに取りまとめ、SDGsゴール番号までを提案します。
これらは基本的に料金は頂かずに無償でサポートしているので、この時点では稼がない広報活動です。

自社広報よりお客様案件の方が数が多い

自社の社外広報

自社のメディア露出を目指すパブリシティがメインで、プレスリリース、Webサイト、FB、Instagram、Twitterなどで情報発信。その他にはセミナー講演や本社工場見学の受け入れなどを通じて、行政や業界団体、他企業などへさまざまな情報を提供することも大事な広報業務の一つです。

自社のニュースはコーポレートサイトに集約

自社の社内広報

社内広報としては、毎月の社内報「まんなか」の発行のほか、従業員満足度向上や離職率低下を図るES交流委員会と連動して、社内イベントの企画や社内啓蒙ツールの制作、各種情報提供を行っています。社内報は主に社報編集チームが担い、広報チームやES交流委員会がサポートするイメージです。

オウンドメディア

マーケティングDXの一環として、複数のオウンドメディを運営しています。中でも広報チームが絡んでいるのが食品業界のマーケティング情報サイト「ショクビズ!」です。既存のお客様の多くが食品関連ということで食品に特化したオウンドメディアとして2021年に開設。一応、自分が編集長を務め、広報ライターとWeb制作チームを中心に運用しています。

少しずつアクセスも増えてきました

https://shokubiz.com

売上や引き合いにつながった事例

広報活動は、情報発信してメディアから取材→報道までで一旦は完結します。その後どこまで会社の売上に貢献したかを評価するのはなかなか難しいものですが、それなりに貢献できたであろう事例を紹介したいと思います。
ただし、広報だけの力で売り上げにつながることはほとんどありません。もともと営業担当者が強い関係性を構築していたお客様だったり、広報しなくても、そもそもメディアが放っておかないネタだったり、貢献していたとしても貢献度合いはさまざま。そこで一応、推測ですが「広報貢献度」も併せて表記してみました。

パブリシティ成功で事業が拡大

年間数十件のお客様のパブリシティを支援しており、概ね5割くらいの比率でメディア露出できてますが、その中でも本業に貢献できた代表的事例がこの2件です。

「食品メーカーの冷凍自販機」
業務用食品を飲食店等に販売しているメーカーが、コロナ禍で小売りを強化し、その一環として特定ジャンルに特化した冷凍食品自販機を設置する、というプレスリリースをお手伝いしました。
その結果、地元紙で取り上げられたのを契機にテレビや全国紙でも取り上げられ瞬く間に話題に。当初、工場併設の1台のみのだったのが、広域に100台設置する計画にまで発展し、これに併せて冷凍自販機で使用する包装資材やシール等の受注が飛躍的に増えました。これを契機に担当営業とも仲良くなれました。
もともと新商品ネタだったのをヒアリング中に先方がこぼした自販機設置情報を拾えたのが大きかった。
(広報貢献度:35%)

「水産加工品の冷凍自販機」
こちらも冷凍食品自販機のプレスリリースをお手伝いした話。鉄道駅の改札内に設置するという斬新な取り組みだったこともあり地元のテレビや新聞がこぞって取材に。最終的には有名ビジネス誌などでも取り上げられました。
もともと業務用が中心だった水産加工会社の小売り事業が加速するきっかけに。こちらも併せて包装資材の受注がかなり増えました。
ただ、冷静に振り返ると、そもそもメディアが放っておかないネタだったと思うので貢献度は低め。
(広報貢献度:20%)
※テレビスクショ

セミナーや紹介を通じた引き合い

「環境配慮のカレンダーの引き合い」
県内で開催されたSDGs関連の研究会にお呼びいただき、弊社の環境配慮の取り組み発表させていただいたところ、聴講された地元有力企業の幹部の方から後日連絡があり、環境配慮カレンダーの引き合いをいただきました。次年度用なので今まさに商談の大詰めらしいので何とか頑張って欲しい。(広報貢献度:60%)

環境系の印刷物は引き合いが急増しています

「Webサイトリニューアル受注」
お客様企業のSDGs宣言サポートを行いテキスト等を納品する際に、SDGs専用ページをホームページに追加したいとの相談があり、どうせなら古くなったコーポレートサイト全体をリニューアルしたいとのご意向もあったため、商談の結果、弊社のWeb制作課でリニューアル案件を受注しました。お客様の悩みや課題を解決できた代表例だと思ってます。(広報貢献度:40%)

SDGs専用ページの制作代行は何件か頂きました

「補助金を使ったWebページ制作」
弊社は包装資材や印刷加工の会社でありながらWeb制作や補助金支援なども内製化して注力ーー、という事業内容を新聞記者さんに説明したところ、記者さんがその直後に取材した食品会社が補助金やWeb販促で悩まれていたらしく、記者さんの中で食品会社の悩みと弊社の事業がピタッとハマってご紹介いただき、新規受注につながりました。記者さんが取材先企業の悩みを聞いて、弊社のことを思い浮かべてくれたことが嬉しすぎる。(広報貢献度:60%)

「工場見学での一言から新規取引開始」
県内で行われたSDGs会合の延長で、弊社の工場見学に企業や大学の関係者にお越しいただいたときのこと。たまたま案内中にすれ違った書道8段の弊社社員を紹介したのを覚えていただいていて、後日、筆文字の案件をいただき、そのついでに本業の包装資材についてもご注文をいただきました。
たまたま案内中に師範が通りかかった奇跡があったとは言え、紹介しなくても良かったのに紹介した自分を褒めてあげたい。(広報貢献度:75%)

特殊なスキルは積極的に発信した方がいいかも

「環境施設で配布されるパンフやチラシ」
アポ無して来社された建設会社から、突然、環境施設建設のコラボを提案されました。聞くと、施主から徹底的に環境に配慮したい、できれば市内企業とも協業して欲しいとの要望をもらったもののの、この建設会社は市外の会社で市内事情には疎いため、市役所に相談したところ教えてもらった複数の企業名の中に弊社が入っていたとのこと。その結果、施設内で配布予定のパンフやチラシの引き合いをいただきました。市役所の人々と仲良く(適度な情報提供等)しといて良かった〜。(広報貢献度:65%)

社内業務の成功事例を外部に展開

「社内報制作代行サービス」
毎月1回、社内報を発行してますが、制作はすべて内製化してます。企画から取材・執筆、撮影、デザイン・編集、そして印刷まで社内で完結。このリソースを外部に提案しようと考えたのが「社内報制作代行サービス」です。新たな事業として、これから提案していく予定です。これぞ会社一丸、ワンチームです。(広報貢献度:25%)

自作の営業提案チラシです

「オウンドメディアからの引き合い」
マーケティングDXの一環として複数のオウンドメディアを運営しています。広報が絡んでいるのが前述の「ショクビズ!」です。最近ではオウンドメディアも広報業務に含まれる場合が多いようですが、弊社は15名近くいるWebチームが主体で運営し、企画や執筆のところに自分ともう1人の広報スタッフが加わってます。
少しずつアクセスも増えてきて、コンテンツとしても紹介している包装資材や店舗販促のトレンドなどの記事から引き合いをいただくケースが増え、実際に受注につながる案件も出てきました。WEBチームや社内のコンテンツネタ提供者などの協力のもと、日々、コンテンツ制作に関わってきた努力が少しずつ実を結んでいます。(広報貢献度:15%)

広報本来の役割に専念

冒頭では「稼げる広報を目指す」とは言ったものの、実際に稼ぐことを優先してしまうと、本来の広報の役割が果たせなくなるのはご承知の通り。かとって、広報としての役割を果たしながら虎視眈々と稼ぐことを狙う、というのも違います。稼ごうと下心を見せた時点で、広報ではなく「宣伝」になってしまうからです。

これらの事例をじっくり振り返ると、全てに共通して言えるのは、「稼ごう」「売上に繋げよう」と思ったことはほとんどなかったこと。ひたすら会社の情報を可能な限り発信し、メディアだけでなく行政や業界団体や他企業などにも同様に情報提供するなど、目の前の広報業務に全力に取り組んだだけでした。

あえて売上に貢献できるポイントを挙げるなら、それは引き合いをいただいた時に迅速に営業に動いてもらうこと。そして、お声がけいただいたこと、ご紹介いただいたこと、ご縁をいただいたことに深く感謝する。ここまで話が展開すると、もはや広報は関係なくなってきますが(^^;
とは言え、広報担当者は、社内の誰よりも社内のことを熟知しているし、誰よりも外部の人と接する機会があると思います。こうした業務特性を活かして、愚直に広報の役割を果たし続けることが、結果的に売上に貢献できる近道ではないかと思いました。

さて、今日も感謝の気持ちを忘れずに、地道に情報収集から1日の仕事をスタートしたいと思います。

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