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読まずに捨てられてた「社内報」をワクワクする媒体に変身させた3つのポイント

待合室で名探偵コナンのマンガ本を手に取り読み始めると、大抵はモヤモヤしながらその場を後にすることに。また、友人の家にコナン全巻あろうもんなら、全部読まないと帰れない状況にーー。

こんにちは、株式会社丸信で広報を担当している田中(@marusinofficial)です。名探偵コナンが好きすぎて自分の子供に登場人物の名前を付けました。

名探偵コナンのマンガ本はよく出来ているとつくづく思います。基本は1話完結だけど、その1話が1巻でちょうどは終わらない。必ず続きは次の巻にまたがって描かれているんです。1巻読み終えると次の巻を買わないと続きが読めないので買うしかない。待合室だとタイムオーバーで続きが読めずにモヤモヤし、友人の家では取り憑かれたように次へ次へ行ってしまう訳です。

ついつい次も読みたくなるような誌面を目指して、読まれずに捨てられていた社内報を見直した話を紹介します。

配布直後に読まれずに捨てられていた⁉︎

入社した4年前の9月1日。入社直後の手続きを終えて、毎月1日に発行される社内報を手に取った瞬間、「・・・」となったのを覚えています。お世辞にも捲りたくなるような表紙とは言えませんでした。かといって社内の動きがある程度は分かるので内容は悪くない。

社内報の制作体制は全て内製化しているものの、あらかじめ決められた年間掲載スケジュールをもとに、デザイナーではないMacオペレーターが取りまとめて原稿を回収して、DTPソフトで割り付ける。
このオペレーターをはじめ原稿を用意する各部門やチームの担当者も、日頃は本職があるので片手間で社内報に携わっている状態(これで毎月はある意味スゴい)。可能な限り時間をかけずに作る社内報だったため、デザインや内容にこだわることはなかったようです。

ただ、この結果、社内報が配布された直後にゴミ箱に捨てられていることも少なくなかったようです。紙資源を無駄にしないでっ(実際には捨てられても資源ごみで回収されます)と言いたいところですが、内容は悪くないのに、読む気を起させない表紙デザインや誌面構成になっていることが何よりもったいない。日常業務の忙しさに追われて、知らず知らずに発行することが目的になっていたのかもしれません。

編集長が交代して編集方針が「自由」に

入社直後に社内報の問題点を把握したものの、広報専任の自分もまた当初は社内報の優先順位は低かったです(ゴメンナサイ)。自社の社外広報とお客様のパブリシティ支援、オウンドメディアのライティングが優先業務。正直、これで手一杯というのもあったし、社内報が担当ではなかったこともあり、見直しの必要性を感じていながら、しばらく静観していました。

転機が訪れたのは、年が明けて編集長が変わったこと。新しい編集長は現在の人材育成部門のトップ。交代してすぐに社内報を見直したいとのことで声がかかりました。
新しい編集長もまた読まずに捨てられている現状を何とか変えたいという思いを持っていました。編集等の経験がある訳でもなく明確な企画があるわけでもなかったけど、方針として打ち出したのが「新しい企画への挑戦」や「自由な発想」。そして、編集チームを再編成し、毎月1回の編集会議で新しい企画を出し合うことになりました。

ワクワクに変身させる3つのポイント

【ポイント①】中を開いてみたくなる「表紙」

話は変わって、マガジンハウス社が発行する雑誌「BRUTUS」がお気に入りです。好きになったきっかけは1990年代にガラりとスタイルが変わり、とくに一目でページを捲りたくなるような表紙のデザインとコピーに魅了されました。雑誌編集に携わったことはなかったけど、もし自分で自由に雑誌を作れるなら絶対にこんな表紙にしたい。「BRUTUS」はそう思わせてくれる雑誌でした。
「BRUTUS」は書店などで見かけると必ず手に取るし、そのまま購入することもしばしば。そして何度も「やっぱ表紙、大事だよな~」と感じていたので、社内報が自由な発想をして良いとなった時に、真っ先に見直そうと思ったのが表紙でした。

BRUTUSは表紙だけでなく特集企画もいい

従来の社内報は名称がそのまんまの「丸信社報」。これはいかんと思い、まずは社内報の名称をちゃんと考えて付けることを提案しました。編集チームで5つほど案を出して、社内でアンケートも取って最終的に決まったのが「まんなか」でした。これは「丸信の仲間たち」から文字を選んで組み合わせたもの。あわせて「丸信で働く人のためのコミュニケーションマガジン」というサブタイトルもつけました。そして「まんなか」の文字は、制作部門の社員で書道7段(現在は8段)の師範に筆文字で書いてもらいました。

題字も多くの案があったけどやっぱ師範

次が写真とコピー。これも雑誌「BURUTUS」を意識しました。編集会議の中で毎号、何かしら特集企画かインタビュー企画を掲載する方針となったため、この辺りの紙面内容を表紙で表現するようにしました。

ここだけの話、自分がもっとも重視しているのが表紙です。あとはどうでもいい、は言い過ぎですが、今でも表紙には強いこだわりを持って、何とかページを開いてもらえるような写真・イラストやコピーを頭を悩ませながら考えています。

BRUTUSの足元にも及びませんが表紙は大事

【ポイント②】読者参加の「双方向性」

2つ目のポイントは「双方向」。ここで始めた企画が「これ差し上げます」のコーナーです。自宅で要らなくなったものを誌面で紹介して、それを欲しい人が応募。条件は社内報の感想を添えること。企画はとてもシンプルだけど、ちょうどSDGs宣言をした時期だったので、社内でSDGsやリサイクルの意識を持ってもらうことを目的に始めました。
これまでに、湯沸かし器、子ども用自転車、キックボード、スキー用具セット、フィギュアなど。どれも必ず欲しい人が現れて、もらった人の中にはお礼代わりに別のモノをコーナーに出品してくれることも。商品提供のない月もありますが、企画としては飽きずに続けられるし、感想ももらえるし、リサイクルもできる。さらに、商品の受け渡しがあるので、これまで会ったことない人と知り合えるのも大きなメリットだと思っています。

地味ですがSDGs的企画として人気です

【ポイント③】続きが気になる「連載」

ここで、ようやく名探偵コナンの話です。社内報も単発で終わらせず、コナンのマンガ本のように次号が気になる仕掛けが必要です。

続きが気になる企画はいくつかありました。社内には従業員満足度向上に取り組むES交流委員会というのがありますが、ここでは不定期に川柳大会を行ったことかあります。次号に当選者が発表されるので“続きが気になる”企画の一つ。また、社内報をリニューアルした当初は、4コマ漫画にもチャレンジしましたが、ネタ考案が難しく2回で終了。
これらの企画は長続きさせるのが難しい。毎号、川柳大会やると飽きられるし、4コマ漫画はセンスや才能が問われる(いつか再挑戦したい)。

そこで、自分ができる“続きが気になる企画”として提案したのが社史「丸信物語」の連載でした。
社史はノンフィクションなので対象者を取材して記事にまとめればいい。取材経験を活かせば十分に出来そうでした。コロナの影響もあり発案からしばらく経ってからになりましたが、社長・会長の了承を得てスタートし、現在は16話まで掲載しています。
毎月、編集チームから原稿を催促されるプレッシャーはありますが、自分で取材・執筆すると、とても勉強になるし、先人の苦労や努力をしることでモチベーションアップにもつながっています。おそらく会社の歴史を誰よりも詳しく知っている社員になったと思います。

続きが気になるレベルは、こちらもコナンの足元にも及びませんが、ここだけの話、社史の連載が終わったら、これを元にした小説も視野に入れてます(誰か書きたい人いますか🙋‍♂️)。

コナンほど待ち遠しくはないけど連載中

改めて考える社内報の役割とは

社内広報あっての社外広報

社内報の位置づけとして、入社当初は優先順位が低かったと言いましたが、いま思えばこれは大きな間違いでした。
外部広報をメインに活動していくと、所々で社内の事情に話が及ぶことがあります。その時に、会社として目指しているビジョンや方向性について、どこまで社内で共通理解ができているか、疑問に思うことがありました。そんな中、SNSでの広報の諸先輩が仰ってた「社内広報あっての社外広報」という言葉が心に突き刺さりました。

そこで改めて弊社にとっての社内報のメリットを考えてみると、「情報共有を強めて社内情報格差を解消すること」がもっとも大事ではないかと思うようになりました。

弊社のように工場部門がある場合、工場部門とPCやメールを多用する事務系部門とでは情報格差が広がりやすくなります。それを埋める一つの方法が社内報です。
社内報を通じて、会社の動きが把握できるし、他部署の人、会ったことない人のことを知れたり、共通項を見つけて仲良くなったり、まさしく社内交流を活性化できることは間違いないです。昨年に経営理念が変わったこともあるので、こうした理念の浸透施策の一つとして重要なツールだと思います。

このように、せっかく社内情報を共有するツールとして存在しているのに、冒頭のように読まずに捨てられては本末転倒。情報共有を図るのであれば、編集チームが知恵を絞って情報にしっかりと触れてもらう工夫は必須です。

新体制でも変わらない自由度

現在は体制が少し代わり、工場長が編集長を務め、編集チームも別の広報スタッフがメインで動いてくれています。私の引き続き、連載やインタビュー企画、案出しなどで関わっています。
ちなみに、この編集長が映画好きのため、毎月、おススメの映画を紹介するコーナーがあったりしますが、読者からのニーズがあるかは不明(^^; 仮にニーズがなかったとしても失敗を恐れずいろんな企画にチャレンジできるのも社内報の良さ。引き続き、自由度全快で社内報を作っています。

ニーズ無くても私は読んでますよ。観てはいないけど。

この記事のタイトルに「ワクワクする媒体に」と書きましたが、あくまでもリニューアル前と比較しての話。お陰様で最近では配布した直後にゴミ箱に捨てられているという報告は聞かなくなりましたが、現状の社内報がこれで十分というわけではありません。コナンのような次巻に対する待ち遠しさやBRUTUSのような秀逸な表紙には到底敵わないけれど、毎月1日、手に取った時にちょっとだけでもワクワクしてもらえる誌面にできたらと思います。

さて来月の社内報はラグビー関連特集です。表紙も記事も担当します。本人の了解が得られたら、note等でも紹介したいと思います。

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