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コロナ禍で起きた奇跡の広報連鎖。苦しむ飲食店ために知恵を絞ったら取材と賛同が相次いだ。

福山雅治さん主演のドラマ「ラストマン 全盲の捜査官」について、盲学校の先生から福山さんのラジオ番組にメッセージが寄せられました。
それによると、盲学校でもドラマの話題で持ちきりで、視覚障がい者の生徒たちがドラマのシーンについて生き生きと目を輝かせて話すなど、ドラマが同じ境遇にある人たちに与えた影響は少なくなかったようです。
観ている人に生きがいや勇気や希望を与えられるのがメディアの役割なんだと改めて感じたメッセージでした。

こんにちは!株式会社丸信グループで広報(兼採用)を担当する田中(@marusinofficial)です!私も「ラストマン」の感想を投稿しましたが、今のところ読まれていません(^^;

さて、noteの記事テーマについて「ひとり広報、4年間を振り返る」をいつか書こうと思い、これまでの年表みたいなものを作ってみたところ長いっ!長すぎる!! 100歩譲って社内資料としてならアリだけど、一般公開でこの長さは無いわ、と。そこで年表を細かく分解していくと、その中でも広報としての自信につながるような、そんなきっかけを掴んだ出来事がいくつかありましたので、それを少しずつ紹介したいと思います。懐かしいな~。

初めてのテレビ放送がコロナで延期

広報専任として入社して初めてのテレビ取材がやってきました。アポなし風の番組ですが、前日にテレビ局のディレクターさんから電話があり、「明日、アポなし風で訪問させていただいても良いですか?」との依頼。もちろん快諾して当日の取材撮影を終え、2週間後の放送日当日を迎えました。
初のテレビ取材を心待ちにしていた放送の数時間前、ディレクターさんより電話があり「福岡県で初のコロナ感染者が出て特番を組むことになり放送が延期になりました」とのお詫びでした。この時2020年2月、そうです、ここからコロナ感染症が一気に広がっていく時期でした。

記念すべき初のテレビ取材。延期になりましたが2週間後に無事放送されました。

社内のプロジェクトチームで支援検討

2月に県内で初のコロナ感染者が発生して、5月には緊急事態宣言が出ました。中でもコロナ感染拡大の影響を受けた業種の一つが飲食店。当社にはお取引いただくお客様を支援するプロジェクトという活動があり、私が所属していた販促支援プロジェクトチームで飲食店に対する支援がテーマとして議題に。「コロナ禍で苦しむ飲食店向けに何か丸信でできる支援はないか?」ということでした。社長からは「少々、手出しがあっても構わないのでアイデアを出してほしい」と。
実は、こうしたボランティア的なお客様の支援については、コロナ前から普通に行っていました。例えば豪雨災害で店舗や倉庫に浸水被害があったスーパーや酒造会社があると、特に営業社員は翌日の予定をすべてキャンセルして大勢で片付けや清掃のお手伝いに出向いたり。何でも良いから困っているお客様がいたら出来る限りチカラになる、というのは、何十年も前から当社に染み付いている理念でした。
こうした経験があったので、プロジェクトチームの会議でも自然と「支援できることはないか」という声が上がったのでした。

飲食店テイクアウト支援策を考案

さて、コロナ禍で客足が一気に止まってしまった飲食店ですが、店内での食事が制限されることから、調理した料理を持ち帰ってもらうテイクアウトを始めるお店が出てきました。
もともと当社は衛生関連商材等で飲食店との取引もあり、担当営業からの情報では、実際にはテイクアウトを始めたくても始められない飲食店もあるとのこと。また、そもそもどうやってテイクアウトを始めたことを告知したら良いのか分からない。
そこでプロジェクトチームで考えたのが、テイクアウト店を紹介するWebサイトの制作と商品撮影。当社にはWEB制作チームがあるため、そこで「久留米テイクアウト応援団」(https://kurume-supporter.com/)というサイトを作り、希望する飲食店の情報を無償で掲載。また、同じく社内には専用スタジオと専属カメラマンが在籍しているため、必要であれば商品撮影も無償で行い、さらに店舗に掲示するポスターやのぼりで使える「テイクアウト始めました」のデータも社内のデザイナーが制作して無償提供。facebookページも作り、少しでも飲食店の売上につなげようと、可能な限り発信・拡散していくことにしました。

WEB課と残業しながら作り上げた記憶があります。
社内には食品撮影用のスタジオがあります。

「Webサイト掲載」「商品撮影」、この2本立てで支援していくことが決まりかけたとき、プロジェクトチームのメンバーの営業社員が、ふと「食品トレーの余剰在庫って結構ありましたよね。これ無料で配ったりできないですか?」と提案。これには社長をはじめメンバー全員が瞬時に同意。食品トレーを取り扱う営業所が九州には6か所あるため、すぐさま各営業所に在庫を確認して、提供できそうな食品トレーをすべて久留米営業所に集めることにしました。
当時の久留米営業所には包装資材全般を取り扱う小売店も併設されていたため、この小売店の店舗の一角に「テイクアウト容器無料提供」のコーナーを設置。容器を取りに来ていただいた飲食店の方にヒアリングをして、前述のWebサイトへの情報掲載を促すことにしました。

とりあえず手作りでテイクアウト容器の山を作りました。

SMS連絡から10分で取材が決定

数日後、久留米営業所の店舗に続々と資材が集まってきました。どのくらいの飲食店の方が取りに来ていただけるか分かりませんが、2~3日で配布は終わりそうな量です。「で、いつから始めるんですか?」と営業所の部長に聞いてみると、「明日から配るばい」と。えっ!?なんですと? プレスリリース作る暇ないやん。焦った私は、ひとまず携帯電話番号を知っている地元紙支局の新聞記者さんに慌ててSMSを投げました。

「明日からテイクアウト容器の無料配布を飲食店向けに開始します。よろしければ取材にお越しください」

すると10分後に「伺うと思います」と返信が。早っ!ホントに!?ありがたい! SMSの一文だけで取材に来てくれるケースがあることを、この時初めて知りました。

夕方に本社に戻り、詳細を新聞記者さんにメールをして、さらにその詳細をfacebookにもアップ。約1600人の友達と繋がっている弊社社長のfacebookを始め、多くの関係者がシェアしてくれたことで、この情報は一気に拡散、配布初日は店舗の前に30名以上の飲食店関係者が並ぶこととなりました。

67件のシェアは過去最高かも

地元紙掲載から賛同と取材が連鎖

テイクアウト容器の配布初日、多くの飲食店関係者に撮りに来ていただき、ほどんとがWebサイトへの掲載も希望されました。そして翌日、地元紙の朝刊の地域面で大きく取り上げていただきました。記事が掲載されると、翌日にはさらに多くの方に店舗に来ていただけました。

この新聞記事が広報連鎖のスタートになりました

余談ですが、当社はこの年の1月にSDGs宣言をして専用ページを公開していました。その取りまとめを担当したのですが、SDGsについて調査したり勉強したりする中で出た答えが、SDGsに関する取り組みこそ積極的に情報発信しなければ意味がない、ということ。1人で、あるいは1社でひっそりと行うのも良いですが、外部に情報発信していくとSDGsの輪は確実に広がります。SDGsや社会貢献に関しては広報活動を通じて「これならうちの会社でもできるかも」と思ってもらえることが大事だと思います。
だからこそ、テイクアウト容器の無料配布もメディアに知っていただき、できれば取り上げていただくことが大事だと考えていました。

新聞を見た取引先メーカーが賛同

地元紙に掲載していただくことで想定していたのは、まずは当社の支援策をまだ知らない飲食店の方々に伝えてもらうこと、もう一つが、同業他社が各地で同じような支援策を始めるきっかけになれば、と。しかし、予想外のことが起きました。それは食品トレーメーカーからの賛同の声でした。
当社の包装資材事業は、食品トレーメーカーから仕入れたものを食品スーパー等に卸販売する流れ。この記事を見た食品トレーメーカー数社から「うちにも提供できるトレーがたくさんあるので是非使ってください」と賛同をいただき、これまた数日以内に、多種多様な大量の食品トレーが当社の久留米営業所に届きました。その量、当社が各営業者からかき集めた余剰在庫の3倍以上。さすがメーカーさん、半端ない。そして、これほど嬉しいことはない。
SDGsや社会貢献こそ支援の輪を広がるために広報するーー。この思いが、実を結んだ瞬間でした。

追加支援の際は賛同いただいたメーカー名もばっちり明記しました

飲食店からの問い合わせも急増

当初、2~3日を予定していた無料配布の期間が、食品トレーメーカーの賛同による追加支援により10日間に延長となりました。新聞記事を見たテレビ局からも取材が入りましたが、期間延長となったことで取材対応が可能になるという幸運にも恵まれました。

地元紙と地元局のニュース番組で一気に認知されました

地元紙の記事やテレビ局のニュースを見た飲食店関係者からは「まだありますか?」「いつまでやってますか?」などのお問い合わせが連日入り、WEB掲載を希望する飲食店も100店を越えました。この無料配布の期間はプロジェクトチームやWEB制作課のメンバーは残業をしながら対応にあたりました。
また、無料配布期間が終わった後にもテレビ取材や業界紙の取材の依頼が数件あり、そのうちテレビの1件は、久留米市内の飲食店を勇気づけたエピソードとして、飲食店のメニューとともに長尺で紹介していただきました。

苦境の飲食店もしっかり紹介する素晴らしい番組内容でした

心の底から「やって良かった」

3年前のこの出来事を振り返ると、いくつかの奇跡や偶然や巡り合わせみたいなものがあったと思います。
最初に余剰在庫のトレー提供を発案した営業社員が、自社の包装資材の在庫の状況を把握していたこと、翌日から無償提供が始まることになり慌ててSMSを送った新聞記者がたまたま当日に予定が入ってなかったこと。その新聞記事をトレーメーカーの方も見てくれていたこと。こうしたいくつかの要素が重なって、賛同を呼び、連鎖し、支援の輪が広がっていきました。この一連の流れの共通点として全員が“すぐ動いた”ことも大きなポイントでした。

思えばメディアへの情報提供は最初な46文字のショートメッセージのみ。広報活動としては大したことはやってませんが、当社の社員だけでなく、記者、テレビ関係者、メーカーなど関係した方々が同じ思いで一丸となり輪が広がったのは間違いないと思います。
「ラストマン」ほどの影響力はなかったかもしれませんが、メディアの影響力をひしひしと感じながら、広報として大事な役割を果たせた気がします。そして何より苦境にある多くの飲食店の方々に喜んでもらえて「やって良かった」と心の底から思いました。

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