経営者と体育会系の先輩
私は体育会系のノリが嫌いではない。
最近「不適切にもほどがある!」というドラマがNetflixで放映されている。
これを普通に笑いながら共感できるくらいには体育会系だ。
私は若い頃に起業したので、体育会系の経営者の先輩をたくさん持っている。
今回はこの辺りのことを書き綴っていこうと思う。
体育会系の理不尽
体育会系のノリの中には、理不尽と思えることがたくさんある。
宴席の後のタクシー内でのこと。
「今から3分間でリーダーとは何かを語れ!」
――― こんなオーダーは軽いジャブだ。
カジュアルなバーでのこと。
「あそこのテーブルの女性二人組をお前の ”人間力” でこっちのテーブルに連れて来い!」
――― ”人間力”ってなんだ?
地域イベントでのこと。
「今から(イベントの)ステージをお前の ”トーク力” で10分ほど間を繋げ!」
――― さすがに、これは理不尽では?
某団体のプレゼンテーション大会でのこと。
「この大会へ出場して、俺たちを全国大会の徳島まで連れて行け!」
――― おそらく、旅行に行きたいだけだ。
他にも数えきれない無茶振りと理不尽があった。
昔の社会の半分程度は、理不尽で構成されていたように思う。
ただ、これが「悪かったのか?」と言うと、そうでもなかったりする。
その時は理不尽に感じていても、後から思い返せば良い想い出だ。
また、数々の理不尽を乗り越えた過程で、随分柔軟な対応ができるようになった気がする。
無茶振りは、頭の回転を。
理不尽は、底力を。
人間としての基礎能力を上げてもらったと感じている。
当時は、辛かったが。
先輩から教わったこと
私は社会人としての経験がないまま、会社を立ち上げた。
社会のルールもマナーも慣例も全く知らなかった。
だから、良くも悪くも先輩から多くを学んだ。
学んだことの中には、少し変わったこともある。
行政書士の先輩より。
「君は、女と酒とギャンブルにはまらなければ、成功できると思うよ」
と、最も恐ろしい3つの事を教えてくれた人がいた。
旅行代理店の先輩より。
「自分の仕事を大手と比べて考えている内は、まだまだだな」
と、経営戦略を定めていく過程を助けれくれた人がいた。
建設業の先輩より。
「他人の目を気にして、好きな車も買えないようじゃ心が弱いな」
と、嫌われる勇気を教えてくれた人がいた。
自衛隊出身の先輩より。
「お前みたいな奴が自衛隊にも欲しかったわ」
と、生意気な私に ”高度な皮肉” を教えてくれた人がいた。
これは、要らなかったかもしれない。
とにかく、他にも挙げたらキリがない。
こういった「一般的には人に言い辛いこと」を普通に言ってくれる人は貴重な存在だ。
そして、それは先輩に多い。
体育会系は諸刃の剣
私くらいの世代だと、体育会系のノリを受け付けない人も多い。
若い世代だと、なおさら多いはずだ。
最近は、セクハラ、パワハラ、モラハラだと騒がれることが多い。
ハラハラ(ハラスメント・ハラスメント)という間抜けな言葉すらある。
しかし、「ハラ」をつけられてしまう本質は、お互いの付き合い方にあると思う。
そもそも、嫌われている人以外から「〇〇ハラ」と騒がれることはない。
合ったとしたら、何か、仲たがいをしているはずだ。
問題は「〇〇ハラ」を感じさせた付き合い方にある。
信頼関係が築かれてない人への発言は注意が必要だ。
つまらないが、当たり障りのない言い方をするしかない。
しかし、信頼関係が築かれている人への発言に対して、必要以上に神経質になる必要はないと思う。
それこそ、つまらない人間関係だ。
――― 体育会系のノリは諸刃の剣
最近は、体育会系のノリで信頼関係を築きにくい若者が増えたと思う。
同時に、体育会系のノリで信頼関係を築くのが下手なベテランも増えていると思う。
だから、体育会系は衰退していく。
これは、時代の流れ。
それでも懐かしいのが体育会系。
私の中で、無茶振りは「健康ドリンク」の味。
理不尽は「酒」の味を思い出させる。
サポートに感謝申し上げます。 執筆活動のクオリティアップに精進致します。