見出し画像

<専門家>

*この記事は「脱サラをする前に」というサイトから転載したものです。

今週はまったくの素人でありながら経済について書こうと思います。理由は単純に今の物価高が頭にきているからです。ですので、これから書きますことはあくまで素人の考え、発想、はたまた戯言ですので、たとえどこかしら間違っている点があろうとも責任はまったく負わないことをご留意いただきたく思います。

さて、今の物価高でなにが一番頭にきているかと言いますと、それは前の日銀総裁・黒田さんが物価高になるような金融政策をとっていたことです。しかも先日のニュースでは、瑞宝大綬章なるものまで受章したと報じられていました。「日銀総裁としての功績」が認められたことが受章理由だそうですが、僕からしますと「功績」の反対の「過失」としか思えません。

黒田さんは「デフレからの脱却」を標ぼうしており、そのための方策として2%のインフレを目標に異次元といわれる金融緩和を行っていました。マスコミ記事によりますと、物価が上がって、それによる収益で賃金が上がって、それによって消費が活発になって、…そうやって経済の好循環が生まれる、との解説でした。それを実現させるために金利を下げまくり、挙句の果てにマイナス金利にまでしました。しかし、結局のところその金融政策ではインフレになることはありませんでした。金融緩和で生じたのは巨額に積みあがった国債だけというありさまです。

現在日本の経済状況は、黒田さんが目標にしていた2%のインフレが達成されていますが、これは金融緩和が原因ではなく、ロシアのウクライナ侵攻による原油の高騰や最近の円安が原因です。その結果、今の日本はインフレが国民生活を圧迫しています。僕は車を使う仕事をしていますが、ガソリンが1年前にくらべ30円くらい上がっており、月に約100リットル使いますので、なにも悪いことはしていないのに月々3千円の費用が増えています。

生活費の面でいいましても光熱費や食費などで数万円増えています。つまり、毎月の生活がどんどん苦しくなっていっているのですが、黒田さんはこうした暮らしにくい社会を意図的に作ったことになります。これでどうして「経済の好循環」と言えるのでしょう。「経済の専門家」という肩書きにあきれるばかりです。

僕は野口悠紀雄さんという経済学者を信頼しているのですが、先日どこかの記事で、僕が納得できる解説を書いていました。経済は「構造改革や技術革新で利益を出し、それを賃金に回すことで労働者が消費を増やし、それによって物価が上がる」という流れが基本と解説していました。野口さんの考えは、黒田さんの考えとは順番が逆になっています。黒田さんは物価を上げることからはじめるのですが、それでは消費者は生活が苦しくなり、余計に消費を抑えます。どうして、そんな簡単なことが黒田さんはわからないのでしょう、…なぁんてね…。

僕が野口さんを知ったのはラーメン店をはじめた頃に週刊ダイヤモンドという雑誌を読むようになったことがきっかけです。その雑誌に連載記事を書いていたからですが、それがとても読みやすく勉強になっていました。ですので、野口さんが指摘することはどれも正しいと思っているのですが、最近になって「うーん…」と思うことが一つあります。

野口さんは「経済のグローバル化」を主張することが基本で、例えば日本で作るよりも海外から輸入したほうが得、有利な場合は「そうすべき」と主張しています。輸入先を多様化しておくことで「なにかのときにも対応できる」ということでしたが、最近の世界情勢を見ていますと、「野口さんの考えは間違っているのではないか」と思いはじめています。

仮に、どこかの地域で問題が起きて輸入できなくなっても、多様化しておけばほかのとこかから輸入できる、という論法ですが、実際問題として今はそれができなくなりつつあります。EUはロシアへの制裁の意味合いで「ロシアからの原油輸入をやめている」としながら、実は違うルートを使って裏では購入している、と報じられています。日本にしても原油は輸入しなくともLNGはロシアから輸入している、と記事にありました。

グローバル化というのは、選択肢が広がることですので理想的に思えますが、やはり海外に頼ることのリスクを取り除くことはできないようです。つまり、野口さんの論法が通用しないということになりますが、エネルギーだけではなく食料に関しても同じリスクがあります。食糧安保という言葉がありますが、やはり社会生活に必要なものはたとえ割高になっても自前でまかなうほうが正解なのかもしれません。

野口さんを知るきっかけになった週刊ダイヤモンドには山崎元さんという経済評論家の連載もあったのですが、これも好きでした。30代前半で経済や金融の知識などまったくなかったときに、僕はこのお二人のおかげで経済・金融に興味を持つことができました。前にも書きましたが、山崎さんは今年の1月にご病気でお亡くなりになっています。金融商品のまやかしについて的確に説明していましたのでとても残念です。

山崎さんの連載記事を読むようになってから、金融商品について知識を深めるようになったのですが、同時に経済評論家についても考えるようになりました。要は、企業側に立って情報を発信する人か、消費者側に立って情報を発信する人かです。企業側に立って情報を発信する評論家は、実際は評論家ではなく宣伝者です。そうした評論家の記事を細かく読んでいきますと、商品を購入したくなるように誘導していることがわかります。読者の皆さんもそうした記事にはくれぐれも気をつけましょう。

僕に、半年くらい前からYouTubeで広島県安芸高田市の市長の動画が勧められていました。市議会における石丸信二市長と議員のやり取りが注目を集めていたからです。議会開会中に居眠りをする議員を叱責する石丸市長の動画はあまりに衝撃的でしたが、石丸市長が就任するまではおそらくそうした光景が普通だったのでしょう。そう思わさせるに十分な動画でした。

あそこまで注目が集まりますと「切り抜き動画」も作られ、それがまた拡散されることで一層注目が集まるのですが、石丸市長はすべて計算づくだったようです。その石丸市長が「次回の都知事選に出馬する」と正式に発表しました。正直なところ、その記事を読んだときは「機を見るに敏」という言葉が思い浮かびました。「いい意味で」か「悪い意味で」かは、今の段階では判断がつきませんが、小池知事の最大ライバルになるのは間違いないところでしょう。

「いい意味」は誰でも想像がつくと思いますので、「悪い意味で」を書きますと、あれだけ安芸高田市をかき回しておきながら、放り出すのは無責任と思わなくもありません。安芸高田市のそれまでの悪弊・悪習を改革してほしくて支持した人たちを見捨てることになりはしないかと心配です。石丸市長の後継者のめどがついているのでしたら問題ありませんが、めどがついていないのなら無責任の謗りを免れません。なんだ、単に有名になりたかっただけか…、と。

都知事選は4年に一度行われますが、その4年に一度僕を訪ねてくる人がいます。高校時代の同窓生ですが、なにをしに来るかといいますと都知事選のお願いです。車で1時間ほどのところに住んでいる方ですが、高校時代の名簿をあてに訪問するようになりました。初めて来たのは前々回ですので12年前ということになります。このように書きますと、どこの政党か想像がつくでしょうが、最近の報道をみますと、その政党が「選挙への関与を弱める」と書いてありますので、今年は来るかどうかわかりません。

それにしても、最近の投票率の低さはあまりに悲しいものがあります。これはつまり、政治への関心が低いことを示していますが、決していい傾向ではありません。政治への関心が低いということは、ある意味、現状に満足とはいわなくてもそれなりに納得していることの裏返しとは言えます。

もちろん「納得」ではなく、「面倒」と思うことが理由になっていることもあり得ますが、本当に危険な社会になったなら「面倒」と思うことさえできなくなります。その意味では「平和ボケ」と言えそうですが、「平和ボケ」になれない社会にしないためにも選挙に行くことはとても重要です。

経済もそうですが、政治に関しても専門家に任していたほうが「楽」と思うことは誰しもあるでしょう。しかし、専門家が「自分に都合よくしたい」とか「楽をしたい」ばかりに、普通の人たちをないがしろにしたり、踏み台にすることがあるかもしれません。

専門家はみんないい人で、常に正しい判断をするとは限りません。

じゃ、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?